18話 共に生きる
読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。
私は、お姉ちゃんを追いかけるためにレオンさんとソフィアさんの旅に着いて行くことにした。あの惨劇の後、目が覚めて初めて知った。私は魔法の操作技術が並外れているのだと。
「レオンさん、そろそろ休みましょう。カルムさんも疲れたようですし、私も流石に...」
「まだだ、まだ戦わないといけない。」
あれからレオンさんは焦っているのか寝て起きては魔族を殺し、ご飯を食べては魔族を殺すという生活を続けていた。こんなんじゃ、いくら強い騎士といえど限界が来る。
「レオンさん!」
「っ!すまない。そうだな、休憩にしようか。」
旅を初めて約半年、私達はある程度の連携ができるようになった。だけど2人の様子を見れば分かる。このパーティーは、あの時の勇者一行より全然弱い。全然、連携が取れていないことが。
「ごめんねカルムさん、レオンさんも元からあんな風じゃなかったはずなんだけど。」
「いえ、レオンさんの気持ちは分かりますから。」
仲間が本当は魔族で、それに人類の希望である勇者が行方不明になった。レオンさんはそれなりにお姉ちゃんやソフィアさん、そしてカミラさんを信用していたんだろう。だからこそ、取り乱した。
「お姉ちゃん、どこに行ったんでしょうね...」
「きっと、シャルロットさんはカミラさんを探してるんだと思います。あの人達、すごく仲良しでしたから。」
微笑みながらソフィアさんがそう言った。気になる。無鉄砲で友達もいなかったお姉ちゃんに出来た初めての親友。その人が、どんな人だったのか。
「聞いてもいいですか?その、2人がどんな関係だったのか。」
ソフィアさんは私の言葉を聞くと、少し笑って頷いた。
「シャルロットさんとカミラさんは私を救ってくれた恩人なの。シャルロットさんが変なこと言ってカミラさんにボコボコにされたり、たまにカミラさんがやらかしたりしてシャルロットさんにキツく言われたりしてたけど、それでも2人はいつも笑い合ってた。出会ってから一年も経ってないのにね、本当に不思議な人達なの。」
ソフィアさんは笑いながら話す。ソフィアさんから見ても、お姉ちゃんとカミラさんは本当に仲が良かったのが分かる。だからこそ、お姉ちゃんとカミラさんが今、どんな気持ちで生きているのかは想像もしたくなかった。お姉ちゃんは両親を失って、さらに唯一無二の親友に突き放された。そしてカミラさんは人としてお姉ちゃんや勇者一行のみんなと楽しく旅をしてたけど、それでも限界が来て、お姉ちゃんやレオンさん、ソフィアさんを突き放さなければいけなくなった。さらには、おそらく大好きだった人間を殺さなければいけなくなった。こんなことがあり得ていいとは、とても思えない。
「ソフィアさん、あなたはカミラさんを見つけた時、どうするんですか?」
我ながら酷い質問だ。そんなこと、ソフィアさんも悩みに悩んだはずだ。
「...殺します。それは、人類のためであって、彼女のためでもあるから。」
その答えに、私は何も言えなかった。おそらく、そんなことをお姉ちゃんに言ったら、あの人は絶対にそれを阻止しようとする。最悪の場合、お姉ちゃんは敵になる。レオンさんもおそらく同じなんだろう。あの人は正義を掲げ、魔族を殺し尽くす剣だ。なら、私はどうするか?それは決まっている。私は、魔族と人類を完全に分断する。そうすれば、カミラさんやお姉ちゃんがもう苦しむことも、ソフィアさんやレオンさんと戦う必要もない。私は、そのために強くなる。
◇
「化け...物が...」
何体も魔族を殺した。休むことなく歩き続けた。それでも、まだカミラは見つからない。もう、疲れた。
「どこか、休む場所...」
「ねえ、あなた大丈夫?」
疲れて倒れそうになっていたら、後ろから声をかけられた。ここは魔界の奥地、ここには魔族しか存在しない。
「っ、魔族!」
振り向いて魔法を放とうとした。だけど、もう力が出ない。とっくに限界だったんだ。私は、もうここで死んでしまう。
「..."癒しの祈り"。」
「え?」
その瞬間、私の身体中の傷が癒えて、疲れも取れた。前を向くと、そこには山羊のような角の生えた小さな少女がいた。魔族であることは間違いない。だけど、彼女は私に治癒魔法を掛けた。何が目的なのかまったく分からない。だけど、敵であることには変わりない。
「"燃え盛る火の玉"!」
「"護りの祈り"。」
私が放った魔法が軽々と防がれた。その後も幾度も魔法を放った。だけど、それら全てが容易に防がれた。でも反撃はしてこない。戦いを楽しんでいる様子もない。何なんだ、この魔族は。
「私は争う気はないよ、勇者さん。」
「っ!」
距離をとって魔法を構える。魔族でもこの杖を見れば私が勇者だと分かるのか。それとも、そういう能力があるのか。
「とりあえず着いて来て。安全な場所に連れて行ってあげる。」
彼女は私の返事も聞かずに歩き出した。冷静に見てみれば、敵意も感じない。魔族でも、いい奴はいるのか?カミラのように。行く先もないし、食料も尽きてきた。なら、彼女に着いて行くのが最善策かもしれない。
「...分かった。」
「ふふっ、やっと信用してくれたね。」
いきなり目の前が光り、景色が変わった。似た景色を見た事がある。でも、それは魔界に入ってまだ全く時間の経っていない時に見た景色だ。まさか、あの光は転移魔法?そんな魔法、伝説上でしか聞いたことがない。
「ほら、着いたよ。」
「えっ、何ここ...」
そこには魔族の集落...いや、人間と魔族が入り交じり、共存している町があった。
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