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勇者の杖の魔法使い  作者: mito
四章 美食の始まり
15/40

15話 魔人

読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。

「う〜ん!美味しい!」

「あの、これって何ていう食べ物なんですか!?甘くて美味しいです!」

レオンとの模擬戦の後、私達は国を回って充実した一日を送っている。この国にはとても甘い物や、可愛い服、すごい魔導書など、たくさんの物がある。もちろん、人間界の中心国であるスペランツァには劣るけど、それでも歩き回るだけで楽しい。

「好きなだけ堪能するといい。魔界に行けば、しばらくはこんな贅沢は出来ないのだから。」

「うん!お言葉に甘えさせてもらうよ!」

今の間だけは魔王討伐のことも忘れて、ただ楽しく過ごそう。いつか、家族みんなでこんな贅沢をするんだから。

「よ〜し!次々!」


夕方になって、私達は帰路に着いた。新しい服を買ったり、美味しそうな食べ物をたくさん食べたり、ちょっとすごい魔法具マジックアイテムを買ったり、今日はとことん贅沢をした。明日からは魔界に出発する。とりあえず今日はもう休んで、明日に備えるべきだ。あっ、そういえばレオンに聞きたいことがあったのを思い出した。私が気を失っている間に現れたという、三魔列強の魔族のことだ。

「そういえばさレオン。あのいきなり現れた魔族ってどんな奴なの?」

「ああ、言ってなかったな。確か名前は...」

その瞬間、レオンの顔が青ざめた。明らかに様子がおかしい、すごく焦っているのが伝わった。

「くそっ、やらかした!」

いきなりレオンが走り出し、城の方に向かう。私達は急いでレオンを追う。

「レオン、どうしたの!?何かあったの?」

「強くなることだけに執着していて、完全に忘れてしまっていた!失態だ!奴は...あの魔人は、まだ人間界にいる!」

レオンはいそいで城の中に入る。それと同時に、騎士の人がレオンに向かって走って来た。

「レオン様!ご報告が!」

「なんだ?今は忙し...!」

「人間界に、魔人"アペタイト"が出現しました!」


私達は馬車に乗って魔人が出現したとされる場所へ向かっている。この方角、私はあの位置の月をよく知っている。

「ねぇ、魔人アペタイトってどんな魔族なの?」

私はレオンに聞く。いち早く、知りたい。

「...魔人アペタイトは、魔族の中で唯一魔人と呼ばれる最高位の魔族。三魔列強という魔王を含む最強の魔族の一角で、魔王"フォンドネス"、魔獣"イナート"、そして魔人"アペタイト"だ。」

「違う、そうじゃなくて。その魔人は、どんなやつなの?」

私の方を見て、レオンは息を飲んだ。多分、今の私は冷たい目を、冷たい顔をしている。だって私は、まだ魔族がどこに出現したのか分からないから。だから、怖い。

「奴の素性はよく分かっていない。だが、一つだけ分かっていることがある。」

レオンは、私の目を真っ直ぐ見つめて口を開く。

「奴は、人を食べる事を好む。」

「...そっか。じゃあ、もう一ついいかな?」

全身が震えて、上手く声が出せない。それでも、私は知らなければいけない。

「奴は、どこにいるの?」

少しの静寂が訪れて、レオンは俯いて話した。

お前(シャルロット)が生まれた町、"ロヴィーナ"だ。」

「っ!シャルロット!」

私は走り出していた。今までに無い速さで、叫び出しそうな声を殺しながら。絶対に嫌だ。あの町の人達が、私の家族が死ぬのだけは絶対に駄目だ。私は魔王を倒して、旅が終わったらみんなで一緒にあの町で少し贅沢しちゃいながら暮らすんだ。たまに王都に出掛けて、高いお肉を食べたりして、いつも通りの楽しい生活を送るんだ。私は、あのみんなで暮らした日々が大好きだ。きっと、きっと大丈夫だ。お父さんは子供ができる前は王都一の騎士だったらしいし、お母さんもすっごく優秀な僧侶だった。だから、きっと...!

「はぁ、はぁ、はぁ...」

「おや?」

そこには、ボロボロになった家屋と町の人達の死体と、血を流して倒れているお母さんと、血だらけで壁にもたれかかっているカルムと、魔族に首を掴まれているお父さんが...

「シャル、ロット...」

「っ!お父さ...!」

「逃げ、ろ...お前だけでも、生き...」

その瞬間、鈍い音がしてお父さんの首が折れた。これは悪い夢なのだろうか、それとも幻覚なのだろうか。いや、どれも違う。私の本能が、魂がそう言っている。お父さんを殺したのはアイツだ。お母さんを殺したのはアイツだ。カルムを殺したのはアイツだ。これは、現実だと。

「くふふふっ、いいですねぇその顔!私が憎いでしょう!今すぐにでも叫び出したいでしょう!ええ結構ですとも!私はそれを望んでいるのですから!」

「...ああ。」

頭の中で黒い中かが溢れる。それは私にあらゆる惨状を、憎しみを思い出させる。辺りが更地になり、あらゆる万物は滅びていた。仲間や親友が血を流し、無惨な姿に成り果てていた。魔人に身体を突き刺され、奴を睨みながら目から血を流していた。これは私の記憶でも、未来でもない。

「あはっ、あはははははははっ!結局、守れないんだ...あははっ!」

これは、別の私の記憶だ。

今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!

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