13話 戦いの最中
読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。
「はぁ、はぁ...強過ぎる。」
「あ〜、もう動けない。」
模擬戦を何回かして分かった。やっぱりこの人は強い。私達が少しの傷も与えることができずに1人ずつ倒される。模擬戦後に知ったけど、騎士王と呼ばれる程の実力者らしいし、魔界から生還した唯一の人類もこの人らしい。
「全然駄目だ。そんなんじゃいつまで経っても魔王には勝てないぞ。」
「うぐぅ...」
「しばらくは1ヶ月経ったら模擬戦、そしてまた1ヶ月の繰り返しだ。それと、カミラは僕に着いて来い。」
レオンとカミラがいなくなって、私はソフィアと2人きりになった。ソフィアは私のそばに来ると、何かを置いた。
「魔法薬です、カミラさんからいただきました。疲れが取れますよ。」
「ありがとう、ソフィア。」
私は魔法薬を飲みながらさっきの戦いを振り返る。レオンは私達よりも速く、そして正確に一撃を叩き込んできた。そしてカミラはそれを目で追えながらも身体が間に合ってないような感じだ。私も魔法で対応しようとしたけど、全然駄目。でも、ソフィアだけは少し違った。
「ソフィア、あの結界って何なの?」
「ああ、あの柔らかいやつですか?」
ソフィアは戦いの最中、結界の内側から杖を突き出して攻撃していた。ソフィアの結果は杖の形に反って変形し、内側からでも攻撃が届けば攻撃は可能だった。逆に、外側からの攻撃には強く、レオンの攻撃でも2回ぐらい当てないと壊せないし、形も変えれなかった。それを何重にも張るものだから、レオンも苦戦していた。
「安全圏から攻撃が可能な結界です。まあ、レオンさんが真剣でやっていれば一瞬で破壊されて終わりでしょうけど。」
「へ〜、すごいねそれ。」
「でもまだまだですよ。私の練度も相まってまだまだ強度が低いですし、あれは不完全な魔法ですから。」
ソフィアは本当にすごい才能を持っている。カミラだって、風の魔法に関しては本当にレベルが高い。それに比べて私は全然駄目だ。勇者の杖の力を全然引き出せていない。私は、やっぱり自分の力と向き合う必要がある。
◇
「それで、私に何の用?」
カミラを呼び出して、2人だけの時間を作る。カミラを呼び出したのは、さっきまでの模擬戦で違和感を感じたからだ。
「お前、手加減してただろ。」
「っ!さ、さあ、何のことかな?」
明らかに動揺しているな。もしかして、今までもずっと手加減していたのか?何のために?今までの旅、何度かは危険な目にあっているはずだ。それなのになぜそこまで実力を隠す?
「私はいつも全力で生きてるつもりだ。手加減だなんて、そんな...」
「そうか、僕の勘違いだったみたいだな。すまない、もう戻っていいぞ。」
「あ、ああ。」
ほっとした様子で戻って行くカミラを見て僕は不信感を覚えた。彼女には、何か実力を隠さないといけない理由がある。それも、自分の命に関わるほどのものだろう。念の為、彼女は警戒しておく必要があるな。
「最後にもう一つ。」
「な、何?」
「君は魔力が異様に多い。その魔力を上手く使いこなせば、もっと強くなれるかもな。」
僕は彼女にそう一言だけ言ってその場を立ち去る。これは助言なんかではない。僕の不信感を彼女に伝えた。彼女は、戦いの最中微かに身体から魔力が漏れ出ていた。あれは僕ぐらいの実力者ではないと気付けなほどだが、それでも普通の人間ではそうはならない。それこそ、熟練の魔法使い程の実力がなければ普通ならありえない。だが、それは人間での話。そこそこの魔族であれば、あれは当たり前だ。考えたくはないが、もし彼女が魔族であるならば、僕は必ず彼女を殺す。魔族は例外なく殺す。そのために、僕は騎士になったのだから。
◇
「...はあ、どうするかな。」
私は今までの旅で、一度も本気で戦っていない。怖いから。この力を見て、みんなが私を恐れないか。私の力は、普通じゃない。でも、そのせいでレオンに怪しまれた。レオンは勘違いだったと言ったけど、おそらくまだ怪しんでいる。
「もう、時間の問題かもな。」
「カミラ!」
シャルロットが私に向かって走ってくる。あんだけボコボコにされた後だっていうのに、笑顔で向かってくる。本当にこいつはすごい奴だといつも思う。
「魔法教えてよ!あと、私のあの伝説の魔法についても一緒に考えて!」
「ふっ、分かった分かった。確かに、あの魔法については私も気になるしな。」
こいつの笑顔を見ると悩みが全部吹っ飛んで、どうでもよくなる。今までこんなに馬鹿で鬱陶しい奴は見たことがない。けど、それでも私はこいつの明るさに救われている。あの日、グランベアに襲われていたこいつを助けて良かったと私は胸を張って言える。私が人と関わりたいと初めて思えたのはこいつに救われたからだ。だからこそ、あの力をこいつに見せる訳にはいかない。私の仲間に見せる訳にはいかない。レオン、もしお前が邪魔するなら私は容赦しない。全ては、こいつと友達であるために。
今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!




