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勇者の杖の魔法使い  作者: mito
二章 騎士王と謳われた剣士
12/40

12話 もう逃げたくないから

読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。

「ん、ここは...?」

目が覚めると、まったく知らない天井が見えた。身体を動かそうとするけど、上手く力が入らないし、身体中が痛む。

「やっと起きたか。」

「えっ?」

声のした方を向くと、金髪の青年が立っていた。腰に剣を携えているし、おそらく騎士か何かなのだろう。

「少し待ってろ、今お前の仲間を呼んでくるから。」

「あっ、はい。ありがとうございます。」

あの青年が行ってから少しすると、ドタバタとこっちに向かって走ってくる足音が聞こえた。

「シャルロット!」

「あっ、2人とも。」

カミラとソフィアが部屋に飛び入ってきた。私の姿を見ると、カミラは目に涙を浮かべた。カミラの涙なんて、初めて見た。

「お、お前...!どれだけ心配かけたと思って...!」

「えっ!?ど、どうしたの?まず、何があったかすら理解できてないんだけど!?」

ソフィアがカミラの頭を撫でながら私の方を向いて説明しだす。

「シャルロットさんは約半年も寝たっきりだったんですよ。」

「半年も!?」

「はい、覚えてませんか?あの洞窟でいきなり現れた魔族と戦った後、シャルロットさんは気を失っちゃったんです。」

「いきなり現れた?えっ、でも私動けなくて...」

私の言葉を聞くと、2人はきょとんとした様子だった。でも、私はあの時は本当に動けなくて、戦いなんて...あっ、でも少し思い出したことがある。あの時、私は謎の声を聞いたんだ。

「ちょっと思い出したんだけど、あの時何か声がしなかった?」

「声?」

「うん、確か全部どうでもいいとかそんな事を言っていたような...」

またもやきょとんとした様子。もしかして、私の聞き間違い?それとも、私だけに聞こえたのかな?

「それって、もしかしてお前の様子がおかしかったのに関係あるのか?」

「えっ、私の様子?」

カミラの言葉を聞いて、ソフィアも反応する。この反応からして、確かに私の様子はおかしかったみたいだ。

「あの時のお前は冷静で、そして冷たかった。私達を守ってはくれたが、それでも鋭利な刃物のように鋭い目で私達を見ていた。まるで別人のようだったよ。」

「そんなことが...」

カミラが真剣な顔で言う。確かに、私はあの時の記憶はない。気を失っていたからってのもあるかもだけど、もしかしたら私の中に別の人格があって、その人格が表に出ていたのかもしれない。

「それだけじゃないぞ。」

あの剣士が部屋に入ってきて、私の前に立つ。

「お前はあの化け物を知っている様子だった。蜘蛛の魔族じゃない、三魔列強と呼ばれる最高位の魔族の一角だ。」

「えっ、そんな奴がいたんですか?」

「やっぱり覚えてないのか。何か知っているなら、話を聞きたかったんだがな。」

私が知らない内に、色々とあったみたいだ。何がなんだか分からないけれど、とりあえずは皆に感謝しなきゃいけない。私は、勇者なのにまた人に助けられてしまった。

「まあ、とりあえずだ。この国で休んで、万全の準備が整ったら魔界へと出発しよう。それでいいな?シャルロット。」

「あっ、うん。それはそのつもり...」

「その件なんだが。」

私とカミラの会話にあの剣士が割って入ってきた。まさか、魔界へは立ち入り禁止とでも言われるのだろうか。もしそうなれば、勇者の証を...

「僕を、君達の仲間に加えてはくれないだろうか?」

「えっ?」

願ってもないことだった。このパーティーにはカミラという前衛がいるけど、それでもカミラは魔法使いで、決して接近戦が得意なわけじゃない。だから、私達のパーティーには接近戦に特化した前衛が必要だった。そんな時に、私達を化け物から救ってくれた剣士からのパーティーの加入の申し出。断る理由がない。

「でもいいの?この国を守る使命とかあるんじゃ...」

「問題ない。この国で強い騎士は僕だけじゃないしね。それに、僕は魔族を滅ぼす為に動いている。こんな好機を逃せるわけがない。」

起き上がって、彼が差し出した手をとる。私達ですら敵わなかった化け物とやり合える程の実力である彼が加わったからって、慢心するわけじゃない。私はもっと自分のことを知る必要があるし、強くならなきゃいけない。

「さて、仲間になって早速なんだが、3人ともに話がある。」

彼の顔が一気に険しくなる。もしかして、2人が何かしちゃったのかな?いや、でも3人ともって言ってるし...でも何かした覚えはないし...

「僕と模擬戦をしてくれ。」

「え?何で...」

いや、理由は分かる。彼はおそらく、私達の実力不足を訴えているのだろう。多分だけど、あの蜘蛛の魔族を彼は1人で倒せる。けれど、私達は3人がかりで苦戦した。

「自分達でも分かっているはずだ。君達の実力では、魔王を倒すどころか、魔王城にすら辿り着けないだろう。だから、魔界に行くのは君達3人で僕に勝ってからだ。」

「...そうだな、確かに私達はまだまだ実力不足だ。あの化け物を見て分かった、今の私達じゃ魔王には勝てない。私は、模擬戦の申し出を受けよう。」

「私も受けます!私も、もっと強くなりたいです!」

彼が私のことを見つめる。この申し出の答え、それは決まっている。私は強くなる。強くなって、魔王を倒して、お母さんやお父さん、そしてカルムとあの村で贅沢して暮らす。そのためなら、何でもしてやる。

「いいよ。私も、強くたりたいから。」

それに...私はもう、逃げたくないから。

今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!

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