10話 深い闇
読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。
いつも悪夢を見るんだ。顔が見えないから誰か分からないけど、3人の死体が転がっていた。ただ、大切な人だって事は分かる。その後、私は視界に入った物を全て壊し尽くしながら歩く。とても苦しくって、とても悲しかった。私は、その悪夢がただの夢じゃない気がして、いつも怖かったんだ。
「っ!風の鎌!」
「あはっ!」
カミラが放った魔法を糸で防ぎ、あの魔族が私の方へ歩いて来る。私も何かしないと...!
「あら、何もしないの?」
「っ...!」
「動け!シャルロット!」
動けない。怖い、この魔族の圧に負けて、立つことすら出来ない。これが、高位の魔族...人型の、魔族。
「うん、あなたはもう動けないみたいね。なら、他の子を狙いましょうか。」
あの魔族がソフィアの方へ歩き出す。カミラは魔法を何発も放ったけど、それは全て防がれた。このままじゃ、ソフィアが殺される。
「ちっ!風の...!」
「いい加減、飽きたわ。」
四本の糸がカミラの四肢を貫く。今私が動かなきゃ、みんな殺られる。でも、足が...
「い、いやっ!来ないで!!」
「あらあら、そんなに怖がらなくてもいいのよ?大丈夫、痛いのは一瞬だけよ。」
体を震わせて、地面に座り込んでいるソフィアにあの魔族が手を近付ける。ソフィアの顔は恐怖で歪んでいた。
「待てっ...!ソフィアを殺るなら、私を殺してからだ!」
「うふふっ!なら、止めてみなさい?」
あの魔族がソフィアに糸を伸ばそうとした時、私の頭に悪夢の光景が浮かび上がった。
『...全部、もうどうでもいい。』
その瞬間、私の身体が動いた。いや、動かされた。
「ぎゃあああああっ!!」
耳障りな悲鳴がする。ただ腕が無くなっただけだ。人型の魔族にとって、その程度は一週間もすれば生えてくる。
「シャルロットさん?」
「...早く離れて、邪魔。」
こいつは近距離、中距離、遠距離に対応出来る魔族だ。ソフィアは邪魔だ。
「お前、シャルロットなのか?」
「...さあね、どうだろう。」
私はシャルロットであってシャルロットじゃないと思う。まあ、今はそんな事はどうでもいい。
「あなた、よくもやってくれたわね!この私の腕を!」
「ん?ああ、だから?」
「はぁ?」
「だから、その程度で何か問題でもあるのかって言ってるの。」
私が挑発をすると、魔族の身体から魔力が溢れ出す。こいつは蜘蛛の魔族、本来の姿は人型じゃない。
「ふふふっ、いいわ!なら、私の本当の姿を見せてあげる!」
「はい、どうぞ。」
魔族の姿が変化し、八本の足が生えた巨大な白い蜘蛛になる。後は、倒すだけ。
「"地を駆ける者"。」
魔法を発動し、魔族の間合いに入る。至近距離で魔法を放てば、直接大ダメージを与えれる。
「燃え盛る...」
「遅いわ!」
魔族の足に投げ飛ばされ、私は壁に激突する。やっぱりこの身体じゃ一筋縄ってわけにはいかないか。
「どうしたの?あなた、まさかその程度なわけないでしょう?」
「...燃え盛る火の玉。」
「っ!まずっ...!」
私が放った魔法は魔族に直撃した。だけど、まだあの魔族は生きている。殺さないと。
「地を駆ける者。」
私は再び魔族の間合いに入って、魔法を構える。
「だから!遅いって言ってるでしょ!」
「それはさっき見た。」
私は魔族の真上に飛び、魔法を再び構えた。でも、私は糸に引っかかった。
「っ!シャルロット!」
「あらあら!ちゃんと周りを見ないから、こうなるのよ!」
私の胴体を魔族の足が貫いて、私はまた投げ飛ばされる。でも、それでも私は立つ。こいつは、壊さないと。魔族は、殺さないと。
「"大食い"。」
杖から巨大な口が出現し、魔族を襲う。この魔法は、喰らった対象の全てを奪う。血も肉も、能力すらも私の糧とし、私は更に力を増す。
「よし、これで終わっ...」
あの魔族を完全に喰らったと思った途端、私は違和感を覚えた。私は、奴の能力を奪えていない。つまり、私は奴を喰らえていない。ならばどこへ?
「ああ、可哀想に。こんなにも傷ついて...」
「っ!冗談...だろ?」
あの魔族を抱えて、一体の魔族が私達の背後に立つ。その魔族は他と別格の存在感を放っていて、私の身体は硬直した。
「もう大丈夫だ。後は、私に任せればいい。」
その魔族は、魔王に並ぶ化け物だ。
今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!




