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15.魔法刻印


 俺は静かにヴェルの様子を伺った。

 エラッドを殺す? いや、俺たちから見ればかなり有難い話ではある。問題は信用するに値するかしないかが分からないことだ。


「……そっちは俺たちを信用できるかもしれないが、俺はあんたを信用できない」

「あー、ついつい一方的になっちまったか。じゃあ言い方を変えてやる」


 眉をひめて悩んだ素振りを見せる。

 

「ニグリス。あんたら今、後手に回ってるぞ。このままだと全員死ぬ」

「……なに?」

「後手に回ってるつってんだよ。エラッドが準備を終わらせちまう前に、こっちからぶっ叩く」

「ま、待ってください。準備って、どういうことですか」

「……説明するの面倒くせえな」

「しなさいよ……流石に分からないわよ」


 エラッドが準備をしている?

 何の準備だ。

 全く予想ができない。エラッドはただの貴族じゃないのか?


「最初から説明してやるか。まず、聖騎士団長ジャンヌの消息が途絶えた」

「何だと?」

「しかも最後に姿を見られたのが貧民街だそうだ。ついでにアイツの妹も数日前から行方が分からない」


 ジャンヌは一人で何かをするつもりだった。あの表情は決意だ。

 ……あの時、止めていれば。


 後悔をしても起こってしまったことは遅い。


 アルテラが堅守のドラゴンに助けられた時期を考えると、辻褄は合う。

 記憶をなくしたことは偶然……? いや、にしては出来過ぎているな。


「ジャンヌの馬鹿に聞いたんだがな、妹はどうしたんだって」

「アルテラは狙われていたのか?」

「まぁな。王国にエラッドの支配が行き届いている時点で防ぐことは難しかった。あたしよりも上の連中らは他の事で忙しくて手が回らん」

「何者なのよ、あんた」

「ギルドマスターだ。ただ、ちっと違う所は西の賢者って所さ」

 

 西の賢者か。

 さっきステータスにも書いてあったな。


「す、凄いじゃない! で、でも信じられないわね……」

「ええ、意外です」

「ひでえな」


 東西南北で四人の賢者が居て、それぞれ冒険者ギルドに所属している。だが、その詳細は全くの不明で誰なのか知る人物は少ない。

 その能力や実力は未知数で、冒険者ギルドの最終兵器とすら呼ばれている。

 秘密とされる存在が、目の前に居る。


 驚かない方が無理だ。


「……バラしてもいいのか?」

「どうせニグリスにはバレてんだろ?」

「まぁな」


 見てしまったからな。

 しかし、詳細が分からない辺りとんでもなさそうだ。

 鑑定スキル、最近少し使い勝手の悪さを感じている。何とかならないものか。


「エラッドは貧民街にある図書館と呼ばれる物を狙っている。これを奪われれば敗北だと思え」

「そこに何がある」

「魔法刻印さ。見たことあるだろ? ジャンヌの聖剣にも刻まれていた奴だよ」


 あの聖剣にあった奴か。

 最初は魔法陣だと思ったけど、少し形が違うと思った。

 

 魔法について詳しいと言えば、アリサだと思って横を見ると首を傾げている。

 アリサも知らないのか。


「あんたらの使ってる魔法。それはある意味贋作だ」

「贋作って、随分な言い様だな」

「本当のことなんだから仕方ねえだろ。言っちまえば、魔法の原点オリジンが魔法刻印って奴だ」


 魔法の原点オリジンか。

 あの聖剣の攻撃に、俺は耐えることが出来ていたが長期戦になれば負けていた。

 重着治癒レイヤードヒールすらも上回る力だ。


 欲しがるのも頷ける。


「で、後手に回ってるつったよな」

「あぁ、何度も言わなくても分かる」

「ここまで説明したら信用してもらえるとは思うから言うぞ」


 ヴェルは腕を組んで見定めるように見てくる。 

 

「エラッドよりも先に、無垢の魔法刻印を手に入れて欲しい」

「……俺が?」

「ニグリスじゃないとダメだ。その治癒の力とここの問題さ」


 心臓を突いている。

 ……心か?


 俺は別に聖人でもなければ聖女でもない。

 普通の心しか持ってないぞ。


「ギルドマスター! 大変にゃー!」

「今大事な話をしてんだぞ」

「で、でもっさっきのBランクパーティーのリーダーが大怪我したのにゃ!」

「はぁ?」


 俺たちは急いでその場から、冒険者ギルドの広間へ向かった。

 人だかりの中心に、先ほど降格させられたガイが居た。


 周りに冒険者も多くいたが、気にしている余裕はない。

 治癒をするべく傍に駆け寄る。


「大丈夫か?」

「す、すまねぇ……裏路地でいきなり変な女に斬り付けられて、やられちまった」

「安心しろ、治癒してやる」


 筋を見事に斬られている。

 これではもう冒険者としてはやっていけない。


 だが大丈夫だ。


治癒ヒール


 これでとりあえずは……っは?


 俺が治癒しようと魔法を発動すると魔法陣が出現する。

 

「に、ニグリス様……っ! これは」

「問題ない。この魔法陣が何かは知らないが、魔法陣ごと────治癒が()()()()?」


 どういうことだ。

 確かに治癒はした。

 

 なのに治癒ができていない。


「対策されたな。効果を確かめるためにやられたとは、散々だなお前」

「た、対策ってニグリスの魔法はあったことをなかったことに出来るのよ!?」

「そもそも、魔法陣ってのはあたらしらが使う魔法の上位互換だ。質や想いがニグリスと同等もしくはそれ以上なら負けちまう。しかも、ニグリス特化だろこれ。特定の魔法陣は測りなく強い」


 そうか。

 想いの強さだけじゃないのか。

 ……厄介な物を出してきたな。


「で、でもアルテラなら壊せるんじゃない……?」

「無理です。アルテラの崩壊は制御が出来ないから手袋をしているんですよ」


 ……そうだ。魔法陣だけを綺麗に壊すことが出来れば現状の打開は一気に進む。

 でも、下手をすればその人物を崩壊させてしまう恐れがあるんだ。


 危険すぎる。 


「こういうのはあたしの専門分野じゃないんだがね」


 ヴェルが隣に座り、ガイの腕に仕込まれた魔法陣に触れる。

 そのまま魔法陣内の六芒星を書き換えていた。


「お前特化の部分だけを抜き取ってみたが……どうだ、これで治癒が通るだろ」

「……治癒ヒール


 ヴェルの言う通り治癒が通る。魔法陣をなかったことにできた。

 ……魔法陣を書き換えるなんてことが出来たのか?


 いや、少し時間も掛かるし触れていなければ無理そうだ。

 賢者というのは伊達ではないらしい。


「今ので分かっただろニグリス。このままで戦えば、あんたは治癒できず仲間を全員失う」


 ヴェルの言っていることを信じて、俺は魔法刻印を手に入れるべきなのか悩んだ。

 仲間を失って良いはずがない。

 フェルスもアリサも大事な仲間だ。


 重着治癒レイヤードヒールもジャンヌに破られかけて、癒すための治癒もたった今無効化された。


「無垢の魔法刻印は対象の魔法陣を丸々コピーして打ち消す能力を持ってる。しかも魔力も膨大に備蓄してるもんだから、そんな魔法陣も一瞬で消せるぞ。魔法としての質も格段に上昇する……どうすんだ?」


 今の俺は役に立たないと、現実を叩きつけられた。


 ……良いはずないだろ。

 

「……どこに行けば良い」


 無垢の魔法刻印が何かは知らないが、手に入れてやる。



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