表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/59

7.崩壊


「……そうは言われてた、と思う。あんまり覚えてないの」


 事実、それ以上のことを俺は知らない。

 アリサも詳しくないだろうから黙っている。


「……その手袋で、スキルを封じてるのか?」


「う、うん……たぶん、これがないと死んじゃうから」

「死ぬって、自分のスキルでしょ? 流石にそれは……」


 アリサの言う通りだ。

 自分の持っているスキルのせいで死ぬなんて、そんな話があってたまるか。それじゃあ本当に呪いだぞ。

 でも、アルテラが嘘を付いているようには見えない。

 ……崩壊か。俺の鑑定スキルにも影響を及ぼしてしまうほど強いのなら、自分自身さえも壊してしまうというのは納得が行くな。


「手から腕に、腕から体に、私の崩壊は進んでいくの」


 ……待て。それなら俺の治癒で崩壊を食い止めることはできないか?

 崩壊を治癒すれば防ぐことが出来るんじゃ。


 まずは俺自身の“鑑定スキル”を治癒してみる。

 感覚的には失ったという感じはあるが、やってみなければ分からない。


 『治癒ヒール

 

 心の中唱え、自分に掛ける。

 ……鑑定。


 フェルスとアリサのステータスはしっかり見える。

 アルテラのは、見ない方がいいな。また壊される。

 でも、これで治癒魔法が崩壊に効くことは分かった。


「手を見せてもらえるか?」

「えっ……う、うん……でも、見ない方が良いと思うよ?」


 アルテラはゆっくりと手袋を外して、その下にある手を見せてくれる。酷く歪な形をしていて、灰色に変色しヒビだらけだった。

 指先は腐ってるな。普通であれば切断しなければならない。

 だからって、少女の手を切断なんかしない。


「……酷いですね」

「そうね……」


 噂は噂だからこそ、気軽に話すことが出来る。事実を目にしてしまうと、言葉を失ってしまった。

 

「アルテラは、このスキルが嫌いか?」

「嫌い、こんなのがあるから、私は一人なんだもん……」

「俺が治してやる」

「えっ……?」

「これでも街一つ救ってるんだ。だから、信用してくれないか」


 余計なお節介だと分かりながらも、彼女にどこか懐かしい感じを覚えている自分が居た。

 一人ぼっち。


 忘れていたはずの記憶が呼び起こされた。


 俺も前のパーティーで一人ぼっちだったんだ。誰にも意見を聞いてもらえず、努力しても認められなかった。


 アルテラはみんなから嫌われ、存在自体を否定されてきたはずだ。

 そんなのいくらなんでも可哀想すぎる。


 少女一人くらい、救ってやるさ。


治癒ヒール

「こ、これはスキルなんだよ? どんなに凄くたって……」


 みるみるうちにアルテラの手は美しく元の形に戻っていく。

 ……スキルをなかったことにしようと思ったが、これはダメだ。


 スキルを“なかったこと”にしてしまうと、アゼル同様に自壊する恐れがある。

 やはり繋がりが深いものを消してしまうのは危険だな。


「崩壊の侵蝕を抑えることはできるが、スキルは消せない」

「……なに、これ」

「なにって、アルテラの手だろ?」

 

 何か変だろうか。

 治癒は成功しているし、綺麗な手だ。


「……だって、これ、綺麗、だよ?」

「そりゃ、アルテラくらいの年の子はそんなもんだろ」

「……さっきまで……ボロボロ、だったのに」

「気にするな」


 アルテラが泣き出してしまった。

 な、泣かれると困るんだが。


 そういえば食事を取っていなかったな。


「フェルス、食事の用意はできるか?」

「そうですね。良い時間ですし、すぐに準備致します」

「頼む」


 フェルスのご飯は楽しみの一つなんだ。

 何と言っても、日に日に実力を上げてるんだよなぁ。


 流石は器用適性が高いだけある。


「こんな綺麗な手、まるでお姉ちゃんみたいな……お姉ちゃん?」

「どうかしたか?」

「う、ううん……気のせい……だと思う」


 何かが突っかかるようで、僅かに顔を俯いた。

 すると、屋敷の窓から堅守のドラゴンがこちらを覗き見ていた。

 にっこり笑って堅守のドラゴンは首を縦に振る。元気になったことを喜んでいるらしい。


「ガウ」

「……ドラゴンさん?」

「コイツが助けてくれたんだとさ。……窓から入ろうとするな、入れないから」

「ガウ……」


 少し可哀想になって軽く頭を撫でてやった。

 褒められたと勘違いしたのか上機嫌になって俺をなめる。


 そのまま少女もペロペロとなめる。


「く、くすぐったい……あっ……わ、ドラゴンさん~」


 これだけ見ると、この子はただの少女に見える。

 何も変なところはない。


 普通の子だ。


 あぁ、この子が怖がっていたのは俺たちじゃない。自分が人を傷つけてしまうことを恐れていたのか。


「一応、手袋はしておけ。それとしばらくは俺から離れるな」


 崩壊が治癒できることは分かった。なら、

 やることが増えたな。

 アリサのスキルである【原初の火球使い】と【原初の崩壊】は同じ原初繋がりだ。どう見ても無関係じゃない。


 ようやく事件が落ちついたかと思えば、今朝同様にリーシャが駆け出してきた。


「に、ニグリスさ~ん!」

「またか……お前これで三回目だぞ」

「で、でも! 大事なんです!」

「今度はなんだ?」

「せ、聖騎士団が……貧民街に来てるんです!」


 聖騎士団だと?



 評価はまだって方は下の星を【⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎】から【★★★★★】にぜひお願いします!

 それほど読者様一人の10ポイントはめちゃくちゃデカいです……!

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んで頂きありがとうございます!
上の評価をポチッと押すことで応援が出来ます!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ