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§003 「男を虜にすることが日常そのものなの」

 私、更科希沙良さらしな きさらは、トップカースト集団とおしゃべりをする振りをしながら、昨日の放課後の出来事を思い返していた。


 昨日は1日で2人も私の『サキュバス能力』で支配することができた。


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 私の能力を使えば、男は何でも私の言うことを聞くようになる。

 だって、好きな人のお願いは断れないものでしょ。


 これでクラスの『8割』の男の子は私のことを好きになった。

 残りは『2割』の男の子を私の虜にしてしまえば、このクラスで私に逆らう男の子はもういなくなる。


 なんでこんなことをするかって?

 別に大層な理由があるわけではない。

 だって、自分の持ってる能力を使うのに理由なんて必要?


 運動能力が高い人が部活で活躍するのに理由なんてあるのかしら。

 勉強のできる人がテストでいい成績取るのに理由なんてあるのかしら。

 

 私のやっていることは能力を持っている者がする“それ”と何も違わない。

 私にとってみれば男を虜にすることが日常そのものなの……。

 

 そうね、敢えて理由付けをするのであれば、『自己防衛』といったところかな。


 私はか弱い女の子だから、もし男の子に力で押し切られたらどうしようもないの。

 どんなに私のカーストが高かろうと、どんなに私が“美少女”だろうと、純粋な“力”というものには敵わないことを私は知っている。

 その“力”によっていままで築いてきたものが、一瞬で崩れ去ってしまうことも……。


 でもさ……そんな男の子がみんな私のことを好きであれば、私に乱暴することもないし、むしろ私のことを守ってくれる。

 私はそんな地位にありたいと思う。ただ、それだけよ……。


「ねえねえ、希沙良見てよ。クラスのグループLINEの『可愛いと思う女子人気投票』。希沙良がダントツトップだよ」


 私はあからさまに、はぁ~と溜め息をつく。


「男子ってホントにくだらないよね。こんなことして何の意味があるのかしら」

 

「そういえば、どこかの掲示板に希沙良がまた告白されてたって話題になってたけどマジ?」


「うぅーん、毎日のように告白されてるからよくわからない」


「そういうことサラッと言えるところがさすが希沙良だよね。でも、どうせ付き合ってないんでしょ?」


「うん。今は彼氏とかそういうのは別にいいかなと思ってて」


「それじゃあせっかくの美貌も宝の持ち腐れだと思うけどな~。いっそ誰かと付き合えば告白も減るんじゃない?」


「確かにそれはあるかもねー。もう告白から逃げ回るのも疲れてきちゃった」


「もし彼氏できたら真っ先に報告してよね」


「あはは、はいはい」


 ああ……人気投票も掲示板も告白も、それを話題にして自分の地位を確認する会話もすべてがくだらない。

 高校生というのは毎日こんな不毛なことをして過ごす生き物なのだろうか。

 それに、私が誰かと付き合うわけないじゃん。

 好きな人なんかどうせ一生できないし……。


 そんなことよりも……


 私はそんなガールズトークにテキトーに相槌を打ちながら、ターゲットの物色に切り替える。


 さて、今日はどの子にしようか……。

 放課後に買い物行きたいから誰かに荷物持ってほしいんだよな~。


 そう思って辺りを見回していると、ふと目に止まる光景があった。


 あれ? あそこでしゃべってるのは、雛山隼人ひなやま はやと成瀬未知人なるせ みちひと

 あの2人って仲が良かったんだっけ?

 あんまり接点があるイメージじゃないけど。

 いったい何の会話してるんだろう……。


「更科ってさぁ……」


 えっ? 私の話をしてるの? どういうこと?

 昨日のことは確かに口止めしたはずなんだけど。


 今回は希沙良パートでした。

 次話ではついに未知人と希沙良が再接触です。

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