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サンデー

サンデーの話をするって言ったわ。

あれはあたしがちょうど10歳になった日のことだった。


あたしは学校のスキー教室で雪山に来ていたの。もちろん、お金がないので先生に頼んで、泊まる山荘のお手伝いをすることを条件としてタダで連れてってもらえたの。


ちなみに、山荘や雪山は貸し切りだった。生徒や先生の姿がほとんど見えないためよ。お手伝いは魔法を使ってパパパってした。あたしは早くかたずけてスノボがやりたかっただけなの。


スノボで全身筋肉痛になって大変だったけど、楽しかった。




あたしの誕生日の夕方、数名の生徒の行方がわからなくなったの。

先生から頼まれて透視とテレパシーをやったの。

生徒たちは遠くの雪山にいたわ。あたしは、一人の先生と一緒に迎えに行ったわ。途中、雪が吹雪になってしまったの。そして、先生は吹きだまりに落ちてしまったの。ホウキがないから浮遊術使えないし、右足を挫いてしまってた。あたしは迎えに行く生徒が避難した山荘に行ったの。ここからお話にするわ。

どんどん…


バタン


「先生が吹きだまりに落ちてしまったの。力をかして」


「吹きだまりに!俺たち、まだ4年生だからたいした魔法使えないんだ。それから電話も不通だよ」


「あたしも4年生よ。たいした魔法使えるか使えないかやってみなきゃわからないじゃない」


あたしは地団駄をふんで怒った。


「でも、吹雪だしな」

「うん、そうだよね」

生徒は頷きあっていた。


「俺が手伝おうか?ちょっとした魔法は使えるぜ」


暖炉の影になったソファーから男が立ち上がった。振り向いた顔はけっこうハンサムだった。


あら、いい男…と考えてる場合じゃない!


「じゃ、一緒にきて。…名前はなんて?」


「俺のことはそうだな。今日は日曜日だからサンデーとでも、呼んでくれ。おチビちゃんはなんて名前だ?」


「あたしはおチビちゃんじゃないわ。千羽羽(ちわわ)よ。真夜中千羽羽。急ぐから名前の由来なんて説明してる場合じゃないわ。行くわよ」


あたしはドアを開けて吹雪の中を進もうとする。

進まない、

と思ったら進みやすくなった。後ろを見たらサンデーが杖を上げていた。



あたしも学校貸出しの弱い杖があるけど、簡単な魔法しかやったことがない。しかも、もし壊れたら自腹を切らなくてはいけないの。強い魔法は数回しかできないはず。

吹きだまりにたどりついた。先生は吹きだまりが吹雪で埋まらないように杖を最大限使っている。

魔法を使うとまず精神力が減る、次に体力が減る。

先生は体力まで使っているようだった。


「サンデー、あたし、浮遊術使えるの。

そう、エスパーでもあるから。集中がいるから吹雪からあたしを守って」


「わかった」


あたしの周りだけ吹雪がやんだ。


あたしは眼を閉じて、ゆっくり、開けた。その眼は真っ赤だった。


人間はやったことないけど、大丈夫、大丈夫出来る。


あたしは両腕を下から上に動かした。


先生が腕の動きと一緒に動いて浮いた。

あたしは両腕を吹きだまりから離れたところに動かして下ろした。

出来た。やった!


あたしは赤い眼を閉じてうつ伏せに倒れてしまった。


「おい、チビ。しっかりしろ」


サンデーがいってる声が遠くの方に聞こえた。


チビじゃないのに。


あたしは意識を失った。


眼が覚めたら、毛布にくるまれてサンデーの腕の中にいた。


「何してるのよ!」


「何って身体を暖めてやってるんだぜ。おチビちゃんは寒さと精神的疲労で倒れたんだ」

サンデーは目の前の暖炉に薪を一つ加える。

意識を失う前の出来事が頭に浮かんだ。


「もういいわよ。あたしはもう10歳なんだから赤ちゃんみたいに抱かれたくないわ」


あたしはサンデーの腕の中から抜け出した。

「10歳はまだ子供だぜ。

もっと子供らしく甘えろよ」


「どこの誰かわからない大人に甘えられないわ」


あたしは暖炉の横のソファーに座った。

行方不明になった生徒たちと先生は毛布にくるまって眠っていた。

「あぁ、俺のことを教えてなかったな。俺はちょっとした魔法が使えて、ちょっとした事務所を構えてて、ちょっといい男だぜ。あと人間に姿が見えるな。おチビちゃんは?」


「おチビちゃんじゃないって言ったじゃない。


あたしは孤児の魔法使いで超能力もあるの。残念ながらほとんどの人間には姿が見えないわ。魔法が使えて人間に姿が見えるって便利。人間にもなれるわね」

翌朝、眼が覚めたらサンデーはもういなかった。あたしたちは、先生たちが迎えにきてくれて山荘に戻った。行方不明になった生徒たちはこっぴどくしかれたわ。

右足を怪我した先生は魔法治療を受けたわ。

それから、12歳の誕生日に孤児院の門で会うまでサンデーには会わなかったわ。

あの時、言ったこと覚えてて屋根裏部屋を貸してもらったわ。

でも、サンデーってなんか謎だわ。まだ秘密があるんじゃないかな?

とにかく、もらえるものはもらっておくつもり。



これでサンデーは終わりです。

次は外伝になります。13歳になった千羽羽が芸能界に入ってまき起こるお話です。

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