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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

超人系高校生たちによる異世界召喚魔王討伐奇譚 解説・後付け・+小話

作者: 桜木桜

注意:政治ネタが多分に含まれますので、冗談が冗談だと受け取れない人は回れ右をしてください


でも最後の方に本編で挿入できなかったエッチなシーンがあるので、そこは読む価値はあると思います



吸血鬼


ホモ・サピエンスではない、別の人間種。そのため亜夜香は厳密には日本人ではない。だって人じゃないから。限りなく日本人に似た、日本人とは別の何か。どんなにクジラが魚に似ていても、魚じゃないのと同じ。

当然だが、中国の吸血鬼も中国人ではないし、イギリスの吸血鬼もイギリス人ではない。

見た目は適応進化の結果、その国の人種にそっくりになっているが、結局は吸血鬼であり別物。

見た目がどう見ても白人であっても、それが吸血鬼であるならば、亜夜香とDNA的に近いのは日本人ではなく、白人の吸血鬼である。


もっとも、現地民族とは普通に交配しているので、そういう意味では亜夜香も日本人の血は流れているし、亜夜香も自分のことを日本人だと思っている。



全権代理者(人)


吸血鬼の代表者。人間との交渉役。各国に最低一人はいる。

代表的な例は日本の橘亜夜香。

ちなみに日本の全権代理人は亜夜香一人だが、全権代理人が一人しかいない国は世界でも珍しい。

国土の広い国や、多民族国家であれば、その地域や民族(に似ている吸血鬼)に合わせて、それぞれに全権代理人が存在する。

アメリカは州ごとに存在し、中国の場合は各少数民族や東北地方や、華北、華南とそれぞれに複数の代表者、全権代理人が存在する。

全権代理人が一人なのは、先進国では日本以外にはフランスだけ。

全権代理人の選出方法は国それぞれだが、吸血鬼は血統を重視する傾向があるため、世襲が多く、また選挙方式であったとしても、歴史の長い貴族家出身者が選ばれやすい。





橘家


日本で全権代理人を世襲している一族。『橘』を名乗るようになったのは平安時代からだが、それ以前から歴史は存在している。

すでに二千年以上前から日本でそこそこの勢力を誇っており、当時の近畿に存在した人間の勢力(のちに大和朝廷となりうる政治勢力)と結託し、大和朝廷の拡大と共にその勢力を伸長させていった。

渡来系か、渡来した吸血鬼を嫁か婿に向かえたのか、ともかく中国大陸と何らかの繋がりがあり、大和朝廷と大陸の橋渡しを担った。


橘家に伝わる伝承によると、「スサノオの子孫の男(なぜか吸血鬼)がなんやかんやあって、日本列島に逃げてきた桀(中国、夏王朝最後の帝王)の娘(人間)と結ばれたのがそのルーツ」らしいが、十中八九、嘘。完全なる創作。


確かなのは古代の橘家が「私たちは日本土着の吸血鬼で、日本の吸血鬼の皆さんの仲間です! 神話的に見ても、天照大神の弟の子孫なので日本人の皆さんとは兄弟です! でも、中国にも縁があります! 中国の皆さん、私たちはあなたの仲間でもあるんです!」と喧伝したかったということである。


実際のところ、大陸の吸血鬼とは幾度か血縁関係を結んでいる。

飛鳥・奈良・平安時代を通し、遣唐(隋)使や日中貿易を仲介し、莫大な富を築き上げた。

平安時代には臣籍降下した男児を婿に迎え、以後『橘』を名乗るようになる。

その後も平氏政権や鎌倉幕府、室町幕府、江戸幕府と良好な関係を築きつつ、日宋・日明・日清交易を仲介し、富を蓄え続けた。

また江戸時代初期にはオランダの吸血鬼を嫁に迎え、この時から西欧勢力にも接近を始める。

尚、この時期に薩摩と共に琉球へ乗り込み琉球の吸血鬼を服従させ、また北海道にも勢力を拡大し、アイヌの吸血鬼を服従させている。

江戸時代を通して、中国・オランダ交易に一枚噛むことで現代にまで繋がる財政・政治基盤を築き上げた。

明治維新にはお世話になった江戸幕府はあっさりと切り捨てて、明治新政府の味方をすることで、戊辰戦争も乗り越えた。

日本が大陸に進出した時には、長年大陸に築き続けてきた縁故をフル活用し、大陸の吸血鬼と結託し、金儲けをした。

なお、日英同盟の前にはイギリスの吸血鬼と婚姻関係を結び、またシベリア出兵の後にはロシアから亡命した白系吸血鬼貴族と婚姻関係を結んでいる。前者は亜夜香の曾祖母で、後者は祖母である。

戦後、日本が大陸から撤退したことで大陸利権の殆どが蒸発……したかに思えたが、名義を中国の吸血鬼に一時的に移すことで、その半分以上を守り通し、日中国交正常化と共に回収した。

なお、日中国交正常化の裏には橘家の暗躍があったとか、なかったとか、というかあった。利権、回収しないといけないからね、うん。(そもそも中国の吸血鬼の家に橘家の一族が嫁入り婿入りしている)

なお、日中関係ばかりが強調されているが、橘家の利権は世界中にある。

特に南アフリカ共和国の全権代理人の嫁は亜夜香の叔母で、ダイヤモンド利権に一枚に二枚も噛んでいる。(アパルトヘイト中の南アフリカ共和国の最大貿易相手国は日本であり、日本人は名誉白人だった。なお、“名誉”だからと言っても、別に名誉でも何でもないことは言わずとも分かるだろう)


橘家は世界でも珍しい、極めて中央集権的な全権代理人である。

そのため日本国籍を有する吸血鬼、約二十万人(日本人口の約〇・一六%)に対し強い政治的な影響力を持っており、その「票数」と橘家による「政治献金」は決して無視できず、今でも橘家は大きな力を持っている。


ここまで書くと橘家が日本の歴史を陰で動かしていたように見えるが、そんなことはない。

亜夜香曰く「橘家が日本の歴史を陰で操っていたなら、満州事変も日中戦争も太平洋戦争も起きてないよ」とのことである。

古くから大陸利権を持つ橘家からすれば、日中戦争や日本の大陸進出は自分たちの利権が脅かされる危険性を孕んでいた(実際脅かされた)ので、いい迷惑だったのだろう。




源家


代々橘家を監視してきた一族。日本の吸血鬼殺しの棟梁。地主であり、副業で不動産を運営している。というよりは、不動産(土地)を国に補償してもらうために吸血鬼と戦っている。

現在の当主は宗一郎の父、源栄一郎。

源頼政の子孫……らしい。



土御門家


代々魔術師(呪術師)を輩出してきた一族。世襲で神社の神官をしている。

現在の当主は千春の祖父。

安倍晴明の子孫……らしい。




源宗一郎


黒髪、切れ目の美男子。

源家の長男で、日本最強の吸血鬼殺し。斬れないものは殆どない超人。時間だって斬ってしまう。

超人だが、カテゴリー的には人間。亜夜香と千春からは、NIHONZIN、BUSHI、SAMURAIなどと揶揄されている。

武士を自称するだけあって、主君(日本政府)からの命令には忠実で、人を斬ることに躊躇は一切ない。命令ならだれであっても斬る。ただし殺さずに済むなら殺さないようには心掛けている。

亜夜香や千春からは「日本政府の犬」、「日本政府や天皇を非難するジャーナリストが不審死したら犯人は宗一郎」などとよく揶揄われているが、宗一郎は真面目な顔で「そんな命令は受けたことがない」と答える。(命令を受けたら殺るのか、とは怖くて聞けない)

ただし、作中で異世界のことを日本政府に伝えなかったりと、超真面目なわけでもない。

素で女を口説く癖があるが、本人にあまり自覚はない。

亜夜香のことが好きだが、千春のこともちょっと気になっているので、少し悶々している。





橘亜夜香


黒髪、赤い瞳の美少女。

橘家の長女で、日本最強の吸血鬼。世界の吸血鬼でも五指に入る。亜夜香女王殿下(・・)と呼ばれている。

生まれながらにして、時間を停止させられる。そのため亜夜香の父と母は、彼女の子守にはとても苦労した(知らぬ間に時間を停止させて、ハイハイでどこかに行ってしまうため)


吸血鬼の吸血欲は、食欲と性欲と直結している。これが意味するところは「性欲を抱ける相手の血液しか吸えない」ということ。

つまり処女の生き血が好物の亜夜香は……


と、まあはっきり言うと彼女はレズビアンである。

ただし宗一郎のことは別枠で、唯一男なのに好き。宗一郎の血を吸いたいといつも思っている。ちなみに次に吸いたい血は千春の血。


橘家は代々大陸に利権があり、橘家の女子の何人かは大陸に嫁いでいる。その関係上、大陸に親戚がいる。そしてその親戚の多くは全権代理人かその親族であり、そして彼らは(名義上)中国共民党員(共産党じゃないよ!)であることが多い。

そのため宗一郎や千春からは「お前、中国共民党のスパイだろ」と揶揄されている。最近、スマホを華為ファーウェイに変えたせいか、「うわ、盗聴されるぞ!」が三人の中で定番ネタになっている。が、別に亜夜香は共民党のスパイではないし、ましてや共産主義者でもない。(そもそも亜夜香は資本家(ブルジョワジー)なので、共民党との相性はむしろ最悪なのかもしれない。まあ最近の中国共民党はブルジョ、なんでもありません)


ちなみに中国共民党にも親戚はいるが、それ以上に民自党(自民党じゃないよ!)にたくさんの親戚や知り合いがいるらしく、「今の総理大臣に肩車してもらった写真」を大事に持っている。

ちなみに何かあると、この写真を手にもって「おら、この写真が目に入らないか!」とやっている。無論、これは宗一郎と千春の前でしかやらない。本人も冗談のつもり。


写真の時よりも随分と老け込んだ総理大臣を見ては、心の底からその健康を心配し、いわれのない批判には憤慨している。





土御門千春


茶髪に茶色の瞳、キツネ耳と九本の狐尻尾を持つ美少女。マジカル☆八極拳の使い手。

土御門家長女、神社の巫女さんをしている。

びっくりすると尻尾と耳が出てしまう(わざとやってる説がある)


宗一郎と亜夜香の幼馴染で、二人の恋路を暖かい目で見守っている。

宗×亜カップリングの推進者。


……が、実は宗一郎と亜夜香の両方(・・)が好きなバイセクシャルだったりする。

しかも腐女子。

宗一郎と亜夜香のどちらかを脳内で性転換させては妄想で楽しんでいる。もっともこのことは宗一郎と亜夜香は知らない。

宗一郎と亜夜香の両方から取り合いされたいというハーレム(逆ハーレム?)願望を持っていて、彼女の最大の夢は宗一郎とフ〇ナリになった亜夜香に前と後ろから突かれることだが、亜夜香は「フタ〇リ? いや、ないわー」な人なので、その夢が叶うことはないだろう。


天才的な魔術師で、コンピューターと伝統的な魔術を組み合わせて現代魔術を得意とする。

PCに強いので、そのあたりは亜夜香と宗一郎から頼りにされている。

もっとも得意なのは幻惑魔術であり、彼女の幻惑から逃れるのはたとえ亜夜香であっても難しく、宗一郎も「斬れるか分からない」というほど。


稼業で神社を経営しており、ガッポガッポと儲かっている。

そのためか、宗一郎と千春からは「詐欺師」と揶揄されているが、別に詐欺には手を染めていないし、宗一郎と千春もジョークで言っている。


好物は油揚げ、ただしうどんよりもそばが好きなので、緑の狸派である。

きつねうどん、またはきつねそばを食べると、毎度のように宗一郎と千春に「狐が狐を食ってるぞ!」「共食いじゃん」と揶揄われている。


祖父とは折り合いが悪く、いつも喧嘩をしている。



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その他解説


亜夜香が商権を欲した理由……亜夜香視点だと宗一郎たちが日本政府に報告するかどうか分からないので、報告してしまった可能性を考慮に入れて、先に確保しておいた。おそらく、もし宗一郎が日本政府に伝えた上で助けに来ていたら「私は商権を持っている。だから交渉は私を通してもらおうか?」ということで、異世界を守ろうと……しつつ異世界の利権を一部独占することを図った。もっとも、亜夜香は今の生活に満足しており、これ以上の富はさほど望んでいないため、宗一郎たちが日本政府に報告しなかったことで、この商権は効力を事実上失った。(もっとも、今でも保有している。亜夜香に言わせてみれば「できるけどやらないのと、できないのでは、全く意味が違うのだよ」)



「私には……満月に見えます」な千春……無論、実際は三日月。ただし千春は自分自身に自己暗示をかけて、満月に見えるようにすることで、疑似的な満月を作り出し、魔力を高めた。また同時に犬養勝の視線を月に誘導させ、催眠をしかけた。

この時点で三分の一くらい、犬養勝は千春の幻惑に支配されている。


八極拳使いな千春と犬養……マジカル☆八極拳使い同士の戦いはまさに死闘。



斬れぬものはあんまりない宗一郎……東方ネタ。斬れぬものなどあんまりない程度の能力の持ち主。時間さえも斬れる宗一郎にとって、斬れないものに含まれる「あんまり」は何なのだろうか? 絆とか?



「俺はお前みたいなやつを、五十六人は殺したことがある」 な宗一郎……五十六皇殺しの宗一郎。甘夏久嗣には伝わらなかったが、宗一郎なりのジョーク。さすがに時間停止能力者は五十六人もいない。



「斬った首の数を誇る武士はいても、首を斬ったことを悔いる武士はいない」な宗一郎……殺す覚悟を持っているわけではない。ただ宗一郎は主君に逆らうやつは斬り殺せ、言われて育っているため、人を殺すことを悪いこととは毛ほども思っていないし、疑問すら抱いたことはない。むしろ名誉なことだと思っている。だから覚悟を決める必要性すらない。彼からすれば、人を斬り殺すことは、寿司屋が生きた魚を斬るのと同じこと。




「……それは三年前の話。今は私の方が、強い!」な橘龍之介……実は半分くらい自棄になった言葉。本当は絶対に勝てないと思っている。



時間を停止させられる吸血鬼……もはや語る必要もない、誰にでも分かるネタ。



「ああ、知っているとも。赤ん坊の時の君には随分と、手を焼かされた!」な橘龍之介……実は虎之助(亜夜香の父)が殺されるまでは、亜夜香と龍之介は仲が良かった。叔父さん大好きな姪だった。そのため龍之介は今でも亜夜香のことを可愛い姪だと思い、本気で殺そうとは思ってないし、亜夜香も父の仇ではあるものの、憎しみよりは悲しみを抱いている。



「ん? ああ、殺さずに無力化できたからな」な宗一郎……なんというか、主人公って「敵対した奴は躊躇なく全員殺すマン」か「どんな奴も殺さないマン」の二択が多いような気がするのは作者の気のせいだろうか? 殺さずに無力化できるなら、敢えて殺さなくてもいいじゃん? と思う。



「ホロコーストは約八十年前、ルワンダ虐殺は約二十年前……私たち吸血鬼は、自分たちがジェノサイドの対象にならないと安心して枕を高くして眠れるほど、心臓に毛は生えてないね」な亜夜香……たまに「地球は平和だけど異世界は厳しい環境」みたいな表記があると、「うーん」と思ってしまう作者。正直、ここ百年の地球は地球の歴史上では無論、大概の異世界にも野蛮レベルで勝ってるんじゃないだろうか。我々も明日は我が身かもしれない。



「俺も21世紀のコロンブスと、歴史に名前を残したくないしな」な宗一郎君……コロンブス交換は避けたいお年頃の宗一郎君、十五歳。ちなみに疫病とかその辺は、なんか、魔術的な手段でなんとかしました。



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以下、作中に挿入できなかったお色気シーン



「ちょっと、おい……」

「ふふふ……」


 両手を広げ、亜夜香は宗一郎の胸に飛び込んできた。

 こうなると宗一郎も受け止めざるを得ない。


 亜夜香は宗一郎に体を密着させ、そして肩に顔を埋める。

 そして首筋の匂いを嗅ぐ。


「くんくん……やっぱり、宗一郎君ってとっても美味しそうな匂いがする」

「やめんか、このアホ吸血鬼!」


 宗一郎は強引にでも亜夜香を引き剥がそうとするが、しかし腕力ではどうしても勝てない。


(こいつ、酔ってやがる……)


 血液は吸血鬼を興奮させる効果がある。

 過剰に飲めばアルコールを飲んだ時のように酔っ払ってしまい、理性が一時的に飛ぶ。


 さらに、吸血鬼は血液を飲んだ時に反射的に体内で媚毒を形成してしまう。

 

 本来、吸血鬼の媚毒は獲物に苦痛を与えないための麻酔と、そして獲物が逃げないようにするために性的快感を付与するための毒だ。

 これは吸血鬼が血液を吸おうとした時に、つまり吸血欲を刺激された時、自然に体内で生成される。

 

 通常、捕食時にはこの媚毒を相手の体内へ、牙を使って注入するが……

 間抜けなことに吸血鬼という種族は自分たちの作った媚毒に対する耐性がなく、自分自身で生成した毒に侵されてしまうのだ。


「はぁ、はぁ……ねぇ、宗一郎、くん……ねぇ……ちょっとだけ、良いでしょ?」

「っ……ん、ふぅ」


 宗一郎は歯を食いしばった。

 

 過剰分泌された媚毒は吸血鬼の体内を侵した後、全身の穴――毛穴や口、生殖器など――から気体となって分泌される。


 これは元々、人間を狂わせるための毒なので、どの効果は覿面だ。

 

 無論、宗一郎にも効く。


(ま、不味いな……こ、ここは密室だった……)


 ここは異世界にある貸店舗の、倉庫の中だ。

 風は通らず……そのため亜夜香が全身から分泌した媚毒が淀みやすい。


 すでに亜夜香と宗一郎の周りには、高濃度の媚毒が充満している。


(本当に、これは……ダメだ……)


 宗一郎は亜夜香の体温を感じているうちに、自分の体まで熱を帯び、そして理性が徐々に蒸発していくのを感じた。


 自分の体に幼馴染の柔らかい膨らみが、しっかりと押し当てられていることが分かる。

 もうすでに自分の下半身には血流が集まり切っており……自分のそれ(・・)が幼馴染の体に押し当てられていることが、はっきりと分かる。

 普段はあまり意識せず、たまにフッと感じるような幼馴染の女性としての部分を強く感じてしまう。

 長年、一緒に、兄妹のように連れ添ってきた幼馴染の体に対してそのような意識を抱くのは、どこか自分を背徳的な気分にさせる。

 思わず両手に力が入ると、幼馴染がか細い声で喘いだ。

 幼馴染の柔らかい体、熱い体温、どこか助けを求めるような、媚びるような小さな声で息遣いは、本来ならば自分よりも遥かに強い存在である幼馴染を、とても可愛らしく、そしてか弱い生き物のように感じさせ、庇護欲と支配欲を強く掻き立てた。

 黒絹の髪はいつも以上に艶やかに見え、そしてシャンプーの良い香りと高濃度の媚毒が混じり合い、いつまでも嗅いでいたくなるように匂いがした。

 自然と右手が幼馴染の髪に、左手が臀部に移動する。

 自分の手の動きに合わせて幼馴染の体が震え、それは自分の欲求を掻き立てた。


 

 (体が……熱い……)


 一方、亜夜香の方も意識が朦朧とし始めていた。


 これ以上進んだら戻れなくなるということは理解できているが、暴走し始めた本能は理性という名の御者のコントロールから外れていた。

 年の割には育った胸部――よく幼馴染の視線を集めている――を幼馴染の体に押し当てる。

 誰に教えられたというわけではないが、そうすれば幼馴染がその気になるということを知っていた。

 事実、自分の体に、下半身に何か、堅い物がぴったりと押し当てられていることを感じ取っていた。

 それは幼馴染が自分の体に欲情している証だ。

 それを意識すると女として見られて嬉しいと思う感情と共に、どこか気恥しくも思い、最終的にそれは全て性的興奮へと帰結した。

 幼馴染の両手に力が入り、自分の体と幼馴染の体が、より密着する。

 細い体に隠されたがっしりとした筋肉を感じ、安心感を抱く。

 それと同時に、普段の自分では考えられないような、細い喘ぎ声が自然と口から出た。

 幼馴染が自分の髪の匂いを嗅いでいることを察し、恥ずかしく思ってしまう。

 さらに幼馴染の手がゆっくりと動き、穏やかに髪を撫でられ、情熱的に臀部に触られる。

 自然と、幼馴染の手の動きに合わせて自分自身の体も動いた。


「はぁ……はぁ……」 

「ふぅ……」


 二人は熱の籠った目で、互いに見つめ合う。

 もうすでに二人の視界には、幼馴染しか映っていなかった。


 そう視界には。

 二人の意識が、五感が完全に本能に支配される前に……

 まだ理性の制御下にあった聴覚が、音を拾った。


 ガタッ!


 二人は冷水を浴びせられたかのように、我に返った。

 全身の支配権が本能から理性へと移行する。


 そして音のする方を見ると……


「あー、す、すみません……」


 密かに覗き見していた千春が、申し訳なさそうに謝った。


もし面白いと思っていただけたら……

こっちじゃなくて、本編の方にブクマとポイントを入れてね

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― 新着の感想 ―
[一言] 桜木先生.....やっぱりえっちぃの書きたいんすね
[良い点] 面白かったです。 連載化して欲しいですね。 [一言] 関西には「きつねそば」はありません。 注文するとただのかけそばが出てくるので、西の方にお越しの際はご注意を。
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