プロローグ
1週間に1、2話投稿頑張ります
「ねえ、師匠の昔話また聞かせてよ!」
小学生くらいの少年が大柄な男の服を掴んでグイグイ引っ張っている。
「はっはー! 連はあの話が本当に好きだなあ」
大柄な男が豪快に笑って少年の頭に手を置く。
少年は頭に手を置かれた事に嬉しそうにはにかみながら続ける。
「うん! だって、師匠がどうやって強くなっていったのかも知れるし、師匠がとってもかっこいいしね!」
その少年の言葉に「そうか、そうか!」と言って、更に豪快に笑う。
男は満更でもない様子だ。
「どこまで言ったけっなぁ?」
「また、最初から教えてよ!」
男が少し思案するような仕草を見せると、少年は目をキラキラさせながら男に詰め寄る。
「おいおい、もう何度目だよ?」
その様子に男は少し呆れたように溜め息を吐くが、少年は全く気にせず、男が話してくれるのを待っている。
やがて男は根負けし、やれやれと首を振りながら話し出す。
「しょうがねえなぁ、あれはーーー」
男が話をしようとすると、
「……パパ、連ただいま」
そこに少女がやってきた。
特徴的な白い髪に整った顔立ち。
身長は少年と同じくらいで年も小学生くらいの眠たげな眼差しをしている。
将来は確実に美人になると思える美少女だ。
「おお、ずいぶん早く任務が終わったなあ。 おかえり、雪」
「おかえり、雪!!」
二人が少女に対して挨拶をする。
「……うん。 ……それで何の話をしていたの?」
「僕の一番好きな師匠のあの昔話をまた聞こうとしてたんだよ!」
少年のその言葉に少女がピクッと反応する。
「……一番?」
「うん! 一番だよ!」
少年は屈託ない笑顔でそう答える。
そんな少年に対し、少女は少しばかりムキになったように反論する。
「……それは聞き捨てならない。 ……連なんかより私の方が好きに決まってる」
「何かってなんだよ! 僕の方が先に言ったんだから僕の方が好きに決まってるだろう!」
一体それはどういう理屈だ、と思わずツッコミたくなるような口喧嘩がしばらく繰り広げられる。
「……連の癖に生意気」
「癖にってなんだ!」
二人がバチバチと火花を散らして唸っていると、
「まあまあ、二人とも落ち着け。 ちゃんと、聞かせてやるから」
見かねた男が仲裁に入り、そう言った。
その言葉を聞いた二人は今まで喧嘩していたのが嘘のように息ピッタリでパアッと表情を輝かせる。
男はそんな二人を見て苦笑し、咳払いをしてから話始める。
「あれは、確か【魔法界】って言う世界でな。 俺が勇者として呼び出されたんだ、その世界では魔法っていう力を使えたんだーーー」
しばらく男の話は続き、二人は身じろぎ一つせずにそれを楽しそうに聞いている。
「ーーーと言うわけだ。 どうだ、すごかっただろ?」
やがて、男の話は終わり、最後に二人に確認するようにそう言うと、
「すごいすごい!! 僕もその世界に行って魔法っていうのを使ってみたい!!」
「……私も」
二人はとても興奮した表情で頷き、自らの欲求を口にした。
そんな二人を男はどこか複雑な表情をしながらしばらく見つめ、それから一転しておどけるように言う。
「運が良ければ行けるんじゃねえのか?」
男のその言葉を聞いた少年は胸を張って宣言する。
「いーや、僕は絶対に行くもんね!!」
男は少年のその様子に微笑みを浮かべ、
「ああ、連なら行けるさ」
何かを確信しているかのようにそういった。