2章 異世界転生とスレイクス収容所⑤
1章最後の話です。
集合場所に行くとともうほとんどが集まっていた。
こうみるとやはり男女別で1グループあたり6人とし班をなしているようだ。子供たちの年齢はだいたい7歳~12歳ほど。日本で言う小学生くらいの子供たちが集められている。男女比はだいたい7:3で、パッと見た限り100~150名程の人数だろうか。
うわっ、昨日の大人だ。
俺たちに続いて数組と大人5人が部屋に入ってきた後、扉が閉まり説明が始まった。
まず、ここは皇立スレイクス騎士学校であること。慈悲深き偉大なる第12代聖教皇が立てた由緒正しい騎士学校らしい。
その後長々と説明が続いたが、規則に関して纏めると大まかに5つ。
①全ては割り振られた班単位で行動すること。
②全てにおいて責任は個人ではなく班ごとに負う。
③座学と実技を行う。欠席は許されない。
④成績が良い班順に報酬が与えられる。
⑤①~④を守った上で何をしても構わない。ただし聖教皇を裏切る行為は決して許されない。
ここでの報酬とは金や物ではなく基本的に食事を指す。すなわち、報酬が高いほど食事が豪華になるのだ。
学校の様な育成所ではあるが、卒業に必須な条件というのは明確にされていない。説明を聞く限り優秀な班がヘッドハンティングされるみたいだ。卒業するとこの国での高い軍事的地位が約束されるらしい。
「· · ·以上がこの皇立スレイクス騎士学校における規則である。せいぜい退学にならない様精一杯励め。」
と言い残し教官と思わしき大人たちは去っていった。
「何が騎士学校だ。身寄りのない子供を集め残虐に殺すだけの“収容所”だろ。」
「· · ·え?· · ·」
その一言にルートの方を振り向くが、振り向いた時には彼は通常通りの面持ちでフィーネらの何気ない会話に混ざっていた。
他のやつは気づかなかったかもしれないが、俺はさっきのルートの言葉と表情をハッキリと見た。ボソッ呟き悔しそうに唇を噛んだこと。わなわなと震える力強く握られた拳と鋭い瞳が彼の感情を表してたことを· · ·。
· · ·ルートはここの何かを知っている· · ·他の生徒は知らない何かを· · ·
とてつもなく嫌な予感がする。
· · ·いや、でも· · ·
· · ·でもルートは良い奴だし心配しなくてもいい。余計なことは考えないでおこう。
今はそう自分に言い聞かせることにした。
この選択が悪い方向への歯車を回し始めるとは知らずに· · ·。
次回からは3章へと続きます。