2章 異世界転生とスレイクス収容所③
あの血の惨劇以降のことはよく覚えてない。ふわっとしていて、気づけばベッドの上だった。6帖ほどの小さな部屋に二段ベッドが3つ並べられている。ベッドだけで部屋が埋め尽くされてる状態だ。あとは大きな出窓が1つ。俺はちょうど一番端のベッドの1段目に横たわっていた。
たった数時間で今まで経験したことのないことが目まぐるしく起こり、俺は精神的にも身体的にもかなり疲れていた。先程のことは思い出すだけでも吐き気がこみ上げてくる。
「よっ!ゆき!」
綺麗な金髪に青い瞳。向かいのベッドからこちらに向かって笑いかけてきたのはルートだ。
「偶然同じ班になるとはな!改めてよろしくな、ゆき!」
ルートはそう言って嬉しそうに笑った。
「よろしく、ルート。」
ルートがいて驚いたが、正直同じでかなり助かった。まだ数時間しか共にしていないが、ルートだけは頼りになるし心強い。
「これからはこの班で行動していくみたいだな。詳しくは明日の朝聞かされるらしいが。」
明日からか…
明日からどんな生活が待っているのだろう。正直不安で仕方ない。焼印を押された手の甲を天井にかざし疼く痛みとともにそれを見つめた。印には雪の結晶が1つとそれを右斜めから刺す形で剣が描かれている。紋章の下に何やら小さく文字が書いてあるがそれは読めなかった。
言葉は話せるのに文字は読めないとはな· · ·
疼く手を顔の真上に起き目を閉じた。今日起きた出来事が夢であることを願って俺は再び眠りについた。
今回はかなり短めです。
④に続きます。
(7月11日→主人公の心の声を丸括弧()で表していましたが、使い方を修正しました。)