表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影だのみ  作者: 須羽ヴィオラ
第一章 日常
9/68

日常 #8

 私の前で元気に喋っているのは春日かすが友稀ゆき

 典子とは真逆のタイプで、いわゆる健康美人。


 朗らかで、接しやすくて、話題が豊富で、運動もできて、頭もよくて…。

 美点を数え上げたらキリがない。

 友達も多いし、男の子とも平気で渡り合える。


 スポーツ万能なのに部活はしていない。

 けれど、時々たのまれて、バスケ部やバレー部などで助っ人をしているようだ。

 演劇部の助っ人を頼まれることもあるらしい。どんだけ芸達者なんだ、友稀は。


 地味系の私と典子に対して、社交的な友稀。

 どうして、この三人が仲良くなったのかは良く分からない。

 たしか、友稀が私たちの会話に入ってきたのが切っ掛けだったと思う。

 だけども、今もこうやって仲良しでいられるのだから、やはり相性というものが

あるのだろう。


「ねぇねぇ、心美こはる。また栗山くん、私たちのことチラ見してるよ」

 友稀が、教室の反対側に陣取る男子グループをアゴで指しながら囁く。


 私と栗山くんとは、よく目が合う。

 それは、私の方でも栗山くんをチラ見しているからだ。

 実を言えば、私にとって栗山くんは気になる存在。

 美形でもスポーツマンでもないけど、真面目でとても優しい所に惹かれている。


 4月の始め頃に、入部しようとした文芸部の部室が見つからず、校内を彷徨って

いた。

 この辺なんだけど、と当たりをつけた場所にいた男子に場所を尋ねた。

「それなら、こっち」

 と親切にも道案内してくれて

「文芸部は去年廃部寸前になって、漫研と合併した後は漫画を描いてるよ」

 と教えてくれた。

 去年の事を知ってるんだから、二年生なんだろう。そう思った。

 結局、私は絵が不得意なので入部はあきらめた。ガッカリ。


 その時の子が栗山くんで、同じクラスだと分からず、翌日に教室で声をかけられ

「なんで先輩が?…」

「酷いな、同じクラスだよ」

 と笑いあった。


 男の子と話すのが苦手な私も、栗山くんとなら普通に話せた。

 けれど、友稀たちと仲良くなってからは、他の二人に遠慮してなのか、栗山くん

から話しかけてくることも無くなった。


「ホント、男子って嫌ね。きっと、イヤらしいこと想像しながら、私たちを見てる

のよ。それに、栗山くんって同時に何人もの子と付き合ってるって噂もあるし…」

 男子からチヤホヤされているせいか、友稀は男子を見下す発言をする。

「文化祭になったら、男どもが浮かれて何するか分からないから、気を付けてね」

 友稀の言葉に、「う、うん」となんとなく同意する私。

 典子は無言で、私と友稀の遣り取りを見守っている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ