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影だのみ  作者: 須羽ヴィオラ
第一章 日常
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日常 #5

「あれ!?」

 と友稀が疑問の顔をつくる。

「心美。今日は、イチゴ牛乳はどうしたの? お気に入りなのに」

 あぁ、いつも目ざといな友稀は…。

「えーとぉ」と私は言いよどむ。ちょっと言いにくいことなんだよな。

 でも、胡麻化しても友稀には分かっちゃうだろうし、そもそも私は嘘が苦手だ。


「お金…、持ってなくて…」と応えると

「えーっ!?」と友稀が驚くが、次の瞬間には怒った顔になり

「あー、そういう事。また誰かにお金を巻き上げられたのね、これで何回目?」

 と小言を言われる。

 ほんとに頭の回転が速いな友稀は…。何でも御見通しだ。


「そうじゃなくて。財布を忘れてタクシーに乗ったお婆さんに貸してあげた」

 と言い訳をしてみる。

「そうやって、見ず知らずの人にお金渡して、返ってきた試しが無いじゃない」

 やっぱり、友稀に呆れられた。

「私、いつも名前を言うの忘れちゃうから。きっと、相手も私を探してくれてると

思うんだけど…」

「全く。心美は人がいいんだから。美影さんも、そう思うでしょ」

 話を振られてなんと応えるのかと、四つの瞳が典子に注がれる。


 その視線に気圧されたのか、典子が消え入りそうな声で

「心美には…、困っている人を見つける才能があるんだと思う」

 とつぶやく。

 その答えが、全く見当外れだったので、私と友稀は顔を見合わせて笑った。 


 これが、いつもの私たち昼食の光景。

 この光景が私の日常のシーンになってから、半年ほど経っている。

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