第0話 勘違いが死亡の原因だってよ。
初投稿になります。至らない点も多々あると思いますがアドバイス等いただけましたら幸いです。よろしくお願いします。
「ここはどこだ」雲の上のような場所に俺は居た。目の前には顎髭を生やした仙人のような老人がこちらを向いて座っている。老人は口を開いた。
「お前はもう死んでいる」
何かのアニメで聞いたようなセリフが聞こえてきた。案外すんなりとその言葉を受け入れることができた。何故こんなことになったのかなんて自分でも分かっているからだ。そう、あれは今日の午前中のこと。
俺の名前は伊藤正樹。彼女居ない歴=年齢のクールボーイだ。今日は高校の入学式だ。
「期待に胸を膨らませた新入生の諸君!入学おめでとう。これからは我が高の誇りを胸に文武両道を掲げ頑張っていってください!」
学校の定番は決まっている。何か式があるたびに校長の長い話。居眠りをする生徒。それを注意する教師。どこの学校でも同じだ。だが今の俺はそんな事はどうでも良いのだ。この後全校生徒の前で新入生代表のスピーチをしなくてはならないのだ。コミュ障の俺にとってはとんでもない苦行だ。
校長の話が終わる。次は俺のスピーチの番だ。
心臓の鼓動が速くなり、手が震えだす。隣の席の生徒はそんな俺に声を掛けてきた。
「発表頑張ってくださいね!」
ふと隣の席の生徒の方を見ると女神のような女性が座っていた。腰まで届くほどの長い黒髪。やさしそうで大きな瞳。スタイルも抜群。まさに理想の女性が座っていた。
「あ、あ、ありがとうございます。頑張ります」返答はいかにもコミュ障。それを聞き、彼女はクスッと笑うと正面を向いた。
中学まで恋愛経験皆無の俺は、それだけですっかり彼女の虜になってしまった。スピーチなんてどうでも良い。彼女と話したい。そう思いながら壇上に上がった。
改めて見ても凄い人数だ。ざっと2000人はいるだろう。そんな大人数の前で発表なんて出来るはずがない。すっかり俺は固まってしまった。動けなくなった俺の視界に彼女が映った。
そうだ。彼女が見ているんだ。次の瞬間俺は自分でも驚く言葉を発していた。
「私は新入生の伊藤正樹と言います。私はこの学校に入学し、文武両道に励もうと考えていました。しかし、そんなことはもうどうでも良いです」
ザワザワと生徒達が話し出す。自分でも何を言っているか分からない。
「私は彼女に恋をしました」俺は彼女を指差した。「スピーチで緊張している私に優しく話しかけてくれた彼女はまさに女神。この思い、もう誰にもとめられない!」
それを聞いて教師が止めに入るが、強引に話し続ける。
「もう私のこの気持ちは貴方でしか満たされない。この私と結婚を前提にお付き合いしていただきたい!」
その瞬間会場の空気が一気に静まりかえった。彼女は驚いたような表情でこちらを見ていたかと思えば、スクリと立ち上がる。
「キモいです」俺は何を言われたのか分からず聞き返す。「いや、だからキモいです」
その瞬間俺は我にかえった。全校中の生徒の視線が俺に注がれている。もう何も考えられなくなった俺は壇上からゆっくりと降り、一気に出口へと走り出した。
「あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
走って校門から飛び出した俺はただただやみくもに走り出した。学校から遠くへ、出来るだけ遠くへ!目の前に信号があるがそんなもの構わない。俺は道路へ飛び出した。視界の端にこちらへ向かってくるトラックが見える。直後そのトラックと衝突した。
物凄い衝撃を受けたと思った瞬間視界が暗くなっていく。
「あぁ俺、死ぬのか。つまらない人生だったな」
それから何時間経っただろうか。そして今のこの状況に至る。
「まぁ、お前は死んだのじゃが。さすがにあんな死に方とは」老人が発した言葉に思わず赤面する。
「お前には2つの選択肢をやろう」俺がポカンとしていると老人が話し出す。
「1つはこのまま死んで天界に行く事じゃ、100年ほど待てば別の人間に生まれ変われるじゃろう。もう1つはこの世界とは別の世界、いわゆる異世界に行く権利を与えよう。じゃがその異世界というのがちと問題でな…」
「問題?それはどんな問題なんですか?」老人に聞き返した。
「うむ。実はその異世界にはワシ達天使の大敵、悪魔がおるのじゃ。じゃがそこに目をつむれば良い世界だとおもうぞ。ワシとしてはその世界で悪魔を倒してきて欲しいのじゃ。」
老人は俺に異世界に行って悪魔と戦って欲しいようだ。
「じゃあ異世界に行かせてください」
100年なんて待ってられない。俺は昔からアニメやゲームが好きだった。一度冒険の様なものをしてみたいと思っていた俺にとっては又とないチャンスだ。
「本当か?じゃあその陣の中に入ってくれ。異世界に転送するぞ」
俺は言われた通りに陣の中に入った。
「それでは頑張るんじゃぞ!」辺りが青い光に包まれたかと思うと頭痛が襲ってきた。異世界に行ったら彼女つくろう。そんな事を考えている内に俺はそのまま意識を失った。