研究室の少女
四人は、白い壁の建物、【セディナ研究所】の非常口を見つけ、侵入した。
「随分と人気の無い所だな。」
ファイが辺りを見回し、呟いた。
「何か変な感じ。」
シャルルも肩をすくめて言う。
その時、急にティーナが足を止めた。
「どうしたの?」
「しっ!」
と人差し指を唇にあてると、耳をそばだてる。
「聞こえない?」
そう言われて三人も無言で周りの音に集中した。
すると、誰かの啜り泣く声がする。
小さな泣き声が途切れ途切れに聞こえて来る。
「この声・・・何だ?」
「行ってみよう!」
四人は走り出した。
声の出処を耳で捜しながら、四人は研究室らしき場所に辿り着いた。
扉のロックは 叩きつぶされ、火花を散らしている。
かなりの力が無ければ、こんな荒技は出来ない。
扉は半分程、開いていた。
ファイ達は其処から研究室にとび込んだ。
研究室に入った時、最初に感じたのは臭い。
ムッとするような血生臭さが空気を圧迫している。
そして、床に転がる紅い死体。
その中央で啜り泣く少女が一人。
レースのたっぷりと付いた漆黒のゴシックロリータ。背中には蝙蝠の翼が生えている。
二つに結ばれた真っ黒な髪。結んだ髪の片方は真っ赤な薔薇の髪飾りで飾られている。
そして────────こちらを振り返った少女の瞳も薔薇と同じ血の色だった。
「お前は・・・誰だ?」
ファイが訪ね掛ける。
少女はニタリと笑った。
「私・・・・・ヘラ。」