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灰色の精霊  作者: 翡翠蝶
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集いの刻

ベルツァニアの南

灼熱の火山【イフリス火山】

マグマの煮えたぎる熱き山。

「・・・・・・・・感じる」

薄暗く熱気で息が詰まりそうな部屋の中央で一人の女性が、瞳を開けた。

輝く紅玉のような、はたまた真っ赤な夕日のような瞳が空中を睨む。

傍に居た雄々しい獅子が吼えた。

獅子の瞳も炎のように輝いている。

「また・・・・・・」

女性は、怒りと哀しみの混ざり合った表情で呟く。

そして錆び付いた扉をゆっくりと押し開いた。





ベルツァニアの北

寒々しい海【フェルセル海】

真っ白な霧が立ち込めた海は凍てつく寒さだ。

冷たい空気の流れる部屋では華奢な女性が水晶の玉座に銅像のように腰掛けている。

白い虎がのっそりと入って来た。コバルトブルーのギラギラとした眼が女性を見つめる。

「・・・・・・・この魔力・・・・・・・・」

俯いていた女性は顔を上げた。

虎と同じ透き通った湖を思わせる青い瞳が美しい。

白い虎に頷く。

「もう───────放っては置けないわね。」

女性は立ち上がった。





ベルツァニアの西

空に浮かぶ島【ドゥザン島】

吹き抜ける風は柔らかく心地よい。

「・・・・・・・・・・・」

一人の少女が瞑想をするように足を組んで床に座っていた。眼は固く閉じられている。

その時、一羽の鷲が少女の肩にふわりと、とまった。少女の耳元で囁くように鳴く。

「!」

少女はピクリと眉を動かした。

蜂蜜のような橙色の眼が開けられる。鷲は少女と同様の橙色の眼で少女を見守る。

「・・・・・」

少女は強張った顔で息を吐いた。




ベルツァニアの東

深い自然豊かな森【ケルサン森】

様々な生き物の住まう楽園。

「ス〜・・・・・ス〜・・・・・」

幼い少女が気持ち良さそうに眠っている。

一頭の狼が音も無く、現れた。

真っ黒な闇色の毛並みが艶やかだ。

狼のペリドット色の野生的な瞳。

狼は軽く唸った。

途端に少女の寝息が止まる。

「・・・・・・なぁに?」

少女は低い声で狼に問い掛ける。

狼はまた唸った。

「・・・・・・・解った。」

少女は起き上がった。

狼に視線を向ける。

虚ろげな深緑の森林色の瞳が忠実な守護獣を映す。

「・・・・・・・・・・行ってみる。」

フラリと立った少女に狼は黙って寄り添った。






〔今 四人の撰ばれし者が集おうとしている 永きに渡って受け継がれてきた伝説が(まこと)となる

運命の(とき)は 後少し────────〕






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