表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

- 蜜月 - 「終末のチョコレート」

- 蜜月 -  「終末のチョコレート」



 - あれから数ヶ月

 

「昼姉、ゆー君からお手紙」

「ほう? 少年からか。成る程音信不通ではあったものの、この地球上のどこかで必ず元気でやっているとは思っていたが。やはり、私の偉大なるおねーさまレーダーというやつも、あながち馬鹿には出来なかった。そうだろ? ヨルシー」

「それより、見て。この写真」

「! やれやれ、百聞は一見にしかず、か。こんなの、手紙を読むまでも無いではないか。…メルヒェンだな。うむ。師匠の独り勝ち。悔しいが、相手があの師匠ならば仕方がないと思えてしまうのは、やはり修行も、そして何もかもが足りていなかったという、確固たる証拠なのだろうなぁ…やれやれ。元気でやれよ、二人とも」



          ◆ ◆ ◆



「佐東さん! 大変、大変ですよ、佐東さん! 昨日、家のポストに朝鳥君からこんなお手紙が!」

「ああ、うん。うちにも届いてたよ、それ。でもさぁ、こんなもの見せ付けられて、僕達どーすりゃいいのって感じだよね?」

「元気そうで良かったです。でもでも、まさかあのお二人が突然行方不明になってしまうなんて、最初は凄く心配したし驚きましたから」

「そう? 別にいいんじゃないの? それにさ、涼も見たでしょ、あの写真。だってさぁ、僕、ユータが《笑ってる顔》なんて初めて見たよ。そりゃ、妹のヨルシーちゃんも中々笑わない子だったけどさ、実際のところ、ユータのソレなんてもっと酷いんだから。長年一緒にいた癖にさ、僕ですら見たことなかったレベルでね。…まったく、世話の焼ける幼馴染だよね、二人ともさ。本当、ちょっとは僕にも感謝してほしいくらいだよ、実際のところ。長年三人一緒にいたんだ。気がつかないわけないのにね。二人とも不器用だからさ」


 本当に、本当に、ほんんんとうに、手の掛かる口説き方もあったもんだよ、ね? なうちゃん。まったく、甘ったるくて見てるこっちが胸焼けしそうだ。おかげさまで、暫く甘いものは食べられそうにないよ。本当、ご馳走様。



          ◇


前略


 新秋快適の候、いよいよご多忙のほどお喜び申し上げます。


 あー…やめやめ。やっぱ堅苦しい書き方なんてかったるくてやってられねーぜ。


 つーわけで、改めて。よう、お前ら、元気してたか?


 オレはともかくとして、今鹿は死ぬほど元気だ。それこそ、毎晩……って、オレは何言ってんだ。まぁ、あれだ。何が言いたいかっていうとだな、どーやら、アイツはオレが思っていた以上に、いや、それこそ人並みにちゃんと女の子女の子してたんだなって話さ。すいーつ(笑)だなんて、馬鹿にできねーなって話さ。


 ウオッホん。で、肝心の本題はここからだ。

 今、オレはハネムーンと称して奴に世界中を連れまわされてる。それが何を意味するのかは、極力考えないようにしちゃいるが、一応、念のために、オレがまだ生きてるって証にこの手紙を認めた次第だ。ぶっちゃけ、生きて帰れるかも甚だ疑問だし、いつ帰ってこれるかも皆目見当もつかない。つまりは、そんなハチャメチャな二人旅。


 だが、まぁ、うん。悪くはない。


 なんつーか、何だろう。とにかくだ、オレ達はいつか必ず戻る。だからよ、お前達も元気でやってくれ。そういや今、日本の季節は秋だろ? 食欲の秋だ。うん。


 甘いもん、たらふく食べてくれよ。幸せって、つまりそーいう事なんだろうなと、最近オレは思っている。割と、真面目に。


 ま、オレが言いたいのはそれだけだ。それじゃ、またいつか。


                                    

草々




追伸



 --- 二人の関係が、永遠にすいーつ(笑)であり続ける事を願って ---


    


《甘》

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ