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二の甘 「人生は砂糖の様に甘くない」

ニの甘 「人生は砂糖の様に甘くない」


 

 - オレは甘いものが嫌いな甘党である


 可笑しい? 矛盾してる? 意味分かんねぇ?

 おいおい。この程度で音を上げるようじゃ、この先ってやつが思いやられるぜ。

 まぁ、いい。カミングアウトついでにもう一つ教えてやる。

 いいか? 一度しか言わねーから、耳の穴かっぽじってよーく聞けよ?


 - オレの姉は、魔訪遣いである


 笑っちまうよな。

 こいつばっかりは、流石のオレも全力で目を逸らしたい事実だし、そもそも事実だとか現実だとすら認めたくない。


 やれやれ。

 いつからだろうか、オレと姉貴が…こんな、甘くない関係になっちまったのは。


          ◆ 


 仮定。


 そうだ。こいつは、あくまで仮定の話であり、もしもの話であり、つまりは決して事実じゃねーし、ましてや現実の話である筈が無い。

 少なくとも、オレは今でもそう思っているし、断固そう信じている。或いは…ただ単純にそう思いこみたいだけなのかもしれない。

 つまり、オレが何を言いたいのかって言うと、これはあくまでそういう精度の与太話だってことさ。



 - 話は、三ヶ月前に遡る



             ◆ ◆ ◆



 四月某日

 朝鳥家リビングにて



「嘘だ!! そんなのぜってー可笑しいだろ。いや、有り得ない。断じて否だ。んな戯言、誰が受け入れられるかよっ!!!」


 昔から、オレは姉貴の事が嫌いだった。大嫌いだった。

 今は亡き義母に連れられ、初めてオレの前に現れた、その日その瞬間から。

 何をやらせてもすんなりこなしちまう完璧超人。頭脳明晰。スポーツ万能。文武両道。品行方正。大和撫子。が、そんなものはコイツを形成する極ごく一部、表層のほんの一部分に過ぎない。

 外面だけは抜群に良い女。どういうわけか、こいつには他人を騙し通せるだけの妙な説得力ってやつが備わっているらしい。実に、憎たらしい事にな。だが、アイツが完璧超人だろうと、猫被っていようと、んなことは大した問題じゃねーし、ぶっちゃけどうだっていい。 

 

 問題は、そう問題は…姉貴の「頭」と「性格」と「本質」って奴がかなりぶっ飛んじまってるってこと。ちなみに、ぶっ飛んでるって表現は、これでもかなり控えめで抑えられた表現だということを付け加えておく。


「ふふっ。それは違うぞ、少年」

「何だよ? 何が違うってんだよ?」

 姉貴は、不敵に笑いながらも、オレの顔から一時たりとも目を離さず言う。

「もはや、君が受け入れられるかどうかの話じゃない。これはもう、決定事項でありただの事実なんだよ」

 最悪だ。

 今、オレの身に起こっている事も勿論そうだが、何よりこれは、この流れは…オレが何より嫌いな、《為すがまま流されるまま》な状況そのものじゃねーか。そりゃもうオレにとっちゃ最悪以外の何者でもないわけで。

「何十回でも、何百回でも言う。私はね、君を愛しているんだ。心の奥底から。狂おしいほどに、ね」

 もう一度言う。最悪だ。


「アイシテイル、だと? ふん。ああ、実はオレもだ……なんて、言うと思うか? えぇおい。人の身体をこんなにしちまった奴に、んなこと言われる資格があると思うか?」

「やれやれ。相変らずいけずだな、君という男は。だが、そこが良い。それが良い。そんな部分が、堪らなく私を刺激する」

 姉貴の、そんなネットリとした微笑に思わず嫌な汗が出ちまうのを感じながら、オレは屈せず尚も反抗する。そうだ。反骨心こそオレの本質。だからこそ落ち着けオレ。何としてでも、突破口を見つけるんだ。オレなら出来る。やれば出来る、筈。

「姉貴、もう一度。もう一度最初っから、詳しく話してくれねーか」

「ふふっ。勿論いいとも。何十回でも、何百回でも話そうじゃないか。何といっても私は、今、最高にハイな状態だからな。ひゃーっひゃっひゃっひゃ」

 そう言って、その場でくるくると回り始める姉貴。はしゃいでやがる。年甲斐も無く、裏表無く。単純に。心の底から今の状況ってやつを楽しんでやがる。

というか、仮にも妙齢の女性がひゃっひゃっひゃって笑うのはどうなんだよ? 我が姉ながら。心底どうでも良いことだが。 


「そうだな、まず何から話すべきだろうか?」

「魔法使いとか言うふざけた戯言、幻想、妄想。まずそこが有り得えねぇ」

「戯言とはご挨拶だな。それに、その表現は適切じゃない」

 なぁ、これってオレが可笑しいのか? こいつの、この姉貴の話を理解できないオレが可笑しいのか?

 姉貴の話を聞いていると、いつだってオレという人間の中の常識とか理性とか、そーいった類のものが揺さぶられる。ぐわんぐわんシェイクされる。特に、今日に関して言えば、それはもう史上最低最悪なレベルで。

「ようするに、魔訪は魔法じゃないということさ。《魔女》から与えられし、禁断の果実。同じく、それを扱う魔訪遣いもまた、魔法使いじゃない。どうだい、理解出来たかい?」

「むしろ、一部でもオレが理解出来たと思った事が驚きだぜ」

「隠していて悪かったが、私は魔訪遣いなのさ。どうだ、凄いだろ」

「ああ。その歳にして、堂々と恥ずかしげも無く、んな事を言い切れるアンタの度胸と羞恥心の無さは確かにすげーよ。恐れ入る」

 そんなに褒めてくれるな。と、満更でもない照れ笑いを浮かべる姉貴を無視し、オレは尚も続ける。

「もういい。さっぱり分からんが分かった。もう魔訪うんぬんはいい、次だ次」

「ふむ、そうか。では、私が君に掛けた魔訪の話はいかがかな?」

 

 それだ。

 ぶっちゃけ、姉貴が魔法使いだろーが、魔訪遣いだろうが、魔女だろーが、ゾンビだろうが悪魔だろうが天使だろうが勇者だろうが魔王だろうが生徒会長だろうが探偵だろうがサイボーグだろうが宇宙人だろうが全知全能の神だろうが関係ない。


 オレが本当に知りたいのは、オレの身に降りかかった呪いとも言うべきこの《衝動》の正体。それに尽きる。


「少年。君は、今までに食べたパンの枚数を覚えているかい?」

「あぁ? 何だよ、藪から棒に。魔訪の話はどこいったんだよ? つーか、んなもん覚えてるわけねーだろ」

「…9999回。この数字は、私が君と出会ってから今日まで、君に送った愛の囁きの合計さ」

「ああ、そうかよ。そいつは恐れ入るぜ」

 歪んでる。そんな言葉だけじゃ、全く持って表現しきれない狂気が、そこにはあった。我が姉ながら、尋常ならざる狂気が。

「君と出会って今年で丁度十年になる。私はね、恥ずかしながら怖くなってしまったんだよ」

「怖い? おいおいマジかよ。完璧超人な上に、魔訪遣いであらせられる姉貴にもこえーもんがあるとは、今世紀最大の驚きだぜ」

「怖い。凄く怖いよ。むし絶望すら感じる、戦慄さえ覚える……君を失うという事は、私にとってこの上ない恐怖だ」


 オレを、失うという事。

 

 事実として。オレは、とある事情で《入退院》を繰り返すことが多かった。それが、今の姉貴にどれだけの影響ってやつを与えたのかは分からないし。分かるはずも無い。だが、少なからず今回の件の引き金ってやつになったのは確かなのだろう。


 それに、姉貴だけじゃない。オレだって…


「ふふふ。だからこそだよ、少年。魔訪遣いとして、君に対して《不死の魔訪》を掛けた。先ほど私はそう言ったんだ。どうだい? 今度こそ理解出来たかね?」

「ああ。成る程な、ようやく納得………………出来るわけねーーーーーーだろうが!!!!!!」

「君がぐーすか寝ている間にちょいちょいってね。ふふっ、我ながら自分の才能が末恐ろしいよ、こうも上手くいくとは流石は私だ。数年間の研究が実を結んだな」

「駄目だ。あー駄目だ。何度聞いたって、百篇聞いたって恐らく理解出来ねーよ、出来る気がしねーーよ!!!」

 オレを支配する怒りの感情。

だが、オレの身体を廻っているのは決してアドレナリンなんかじゃない。この衝動。その正体。

「君の言葉を借りるなら、そう、確か戯言だったか? ふふっ。そんな私の戯言を、それでも君は信じてしまう。なぜなら、今、君は君の身体の中に生じた変化を確かに感じてしまっているから。嫌というほど実感してしまっているから」

 

 《衝動》オレは今、姉貴の言うそんな言葉通り、内から湧き上るこの奇妙な感覚の波に支配されつつある。

 

 やがて、まともに立つ事さえままならなくなったオレの身体は、ふらふらとよろめきながら、リビングのソファーへと倒れこむ。そんなオレを追い込むが如く、先ほどまで仁王立ちでオレの質問に答えていた姉貴が、わざわざオレの側へと歩み寄り、告げる。


「ふふふ。いよいよもって立っていられなくなったか。いいぞ、順調に君の身体が私の魔訪によって作り変えられている証拠さ。変化さ。進化さ。愛、そのものさ」


 頭が痛い。それは、自分の現状を嘆いたある種の比喩でもあり、自虐表現であり、症状としての事実でもあった。


「喜びたまえ。これは、私から君への誕生日プレゼントでもあるんだ。君も今日で十八歳。法律上、結婚も出来る年齢ってわけだ」

 勿論、そんなものはこの私が許さないが。そんな不吉なセリフを吐き捨てつつ、がさごそとジーンズのポケットをまさぐる我が姉貴。

「苦しいか? 当然だろうな。君の身体はね、今、とあるものを欲しているからだ。それも、猛烈に強烈に、ね」

 姉貴の言う変化による苦痛でのた打ち回るオレに対して、ひたすらドヤ顔の姉貴が差し出したもの。それは。

「はぁ、はぁ、飴、玉?」

「そうさ、飴玉さ! さぁ、遠慮する事は無い。騙されたと思ってガリッと行き給え。ガリッと。すぐ楽になる」


 頭は割れるようにいてーし、目は霞むし、立つことはおろか、呼吸すらもまともに出来ない。そんなオレの状況に、果たして選択肢などという高等手段を取る余裕が果たしてあっただろうか?

 オレは、姉貴の戯言を妄信するが如く、死に物狂いで飴玉をひったくると、まともに思考する事も無く口に放り込み、強引に租借しそれを飲み下した。


 実に勺な事に。

 姉貴の言葉通り、オレのそんな異常な症状は、瞬く間に沈静化していった。


「それでいい。夕多、君は私の言葉に従っていれば、私の事だけを見ていれば、それでいいのさ。何もかも上手くいく。何もかもだ」

 何とか落ち着きを取り戻したオレは、どうにか立ち上がろうと、ようやく感覚が戻りつつある四肢に力を込めた。が、そんな今のオレの状況をあざ笑うかのように…姉貴は懐から妖しく煌く一本のナイフを恭しく取り出した。

 どうやら、依然として姉貴のターンは継続中らしい。この先も、ずっと、ずっと、ずっと。

 終わりは来るのか?

「では、最後の仕上げといこうか。君が本当に《私の絶対》になってくれたか否か。そう、これは試練であり、テスト。言わば避けては通れぬ通過儀礼なのだよ。夕多…どうかこの私の罪を許して欲しい」

「おい、嘘だろ、冗談だよな? 姉貴? おい、おいおいおいおい!」

 

 言葉とは裏腹に、絶えることの無い柔和な微笑を携えながら、姉貴は一歩また一歩と、ソファーから転げ落ち情けなくも必死に這い逃れようとするオレを追い詰めていく。勿論、件のナイフ片手に。


 後五歩。あと三歩。ああ、もう、逃げ場なんて… 


 そして、とうとうオレを壁際へと追い詰める姉貴。

 

 厄日だ。

 今日という日は、厄日に違いない。だからオレは、自分の誕生日ってやつが嫌いなんだ。大嫌いなんだ。死ぬほど嫌いなんだ。昔から、誕生日には何故か碌なことがない。

 オレも、この年まで人並みに色んなことを経験してきちゃいたが、そんなもの、今日一日で起こった出来事に比べたら、屁でもねぇよ。

 でもまぁ、そんなオレのツマラネー人生ってやつも、どうやら後数刻で終わっちまいそうな雰囲気ではあるんだが。悲しいかな。人生の終わりってやつは、こうもあっさりやって来るものらしい。それこそ、鼻歌交じりでスキップでもしそうな雰囲気を醸しながら。向こうから。

「痛いのはね、きっとほんの一瞬さ。大丈夫だ、君が尊敬してやまないこの偉大なるおねーさまを信じたまえよ。簡単な事だろう?」

 そう言って、とうとう銀のナイフを振り上げる姉貴。余談だが、オレは姉貴と出会ってこの方、やつを信じたことなんぞなかった。ただの、一度もだ。


 ……その割には、まぁ、姉貴に殺されるんなら、仕方がねーか。なんて思っちまってるオレがいたりするわけで。

 あーあ。

 何だよ、結局、オレも姉貴のこと、心の底から嫌いってわけじゃなかったんだな。嫌よ嫌よも好きのうちってか? 

 馬鹿馬鹿しい。反吐が出るぜ。


「では、参る!!!」


 ズン。


 ズズズズズ、、、、ズブッ

 

 最後の最後に、そんな心底くだらねーことを感じながら、姉貴に心臓を串刺しにされて。



 ………オレは、死んだ。


 …………。


 ……。


 …。

 

 ん? 


 あれ?


 その、なんだ。

 思ったより、痛くねーな。

 

 刺された感覚はあったし、現にナイフは今も刺さったままだ。だが、現実感が無い。ひたすらに。 

 これまで、何度となく無茶をして、やんちゃをしまくって死に掛けた経験はあるものの、実際死んだ経験だけはねーからな。実際死ぬ瞬間なんてもんは、こんなあっさりとしたもんなのか? 心臓一突きにされた割に、血も思ったほどでねーし。というか全然出てない。


 …は? 嘘だろ? 


「ひゃーーーっひゃっひゃっひゃっ。どおだ少年? これが私の力だ。これが私の魔訪だ。今の気分? 当然、サイコぉおおおおおおおおーーーにハイってやつさぁあああああ!!!」


 思わずWREEEEなんてセリフが飛び出しそうな、そんな姉の雄たけびを聞きながら、オレは死よりも恐ろしい現実という奴を思い知った。


 とどのつまり、オレが死んでいないという事は。

 姉貴は本当に魔訪遣いで。

 オレは姉貴に魔訪を掛けられて。

 オレは、びっくり超人よろしく、本当に不死になっちまったってことか。

 結論としては、狂ってたのは姉貴じゃなくて…オレの常識ってやつだったってオチ。というやつらしい。

 人間って奴は不思議なもので、あまりに理解の範疇を超える出来事が立て続けに起こると、逆に冷静になっちまう生き物らしい。


「おい、姉貴。一先ずこのナイフを抜きやがれ。こんな状態でぴんぴんしてるオレの体が、悲しいかなまともじゃなくなっちまったってのは十二分に理解した。けどよ、オレの思考はまだこのビジョンを現実として受け入れていーもんかどうか迷っちまってる。つまり、心臓にナイフが刺さったままってのは精神衛生上よくねーって話だ」

「おっと、すまない。私とした事がついつい我を忘れて歓喜してしまったよ。しかしこれで、先ほどの話も信じられるだろう? 現実として、受け入れざるを得ないだろう? 何より、偉大なるおねーさまは嘘つきじゃなかったろ?」

「…」

「おや、まだ気になる事があるのかい? ああ、先ほど君に食べさせた飴玉なら心配はいらない。百均で購入した、それこそ何の変哲も無いただの飴玉さ。イチゴ味のね。別段、飴玉に限った話しではないが、これから君にとってなくてはならないものになるはずだからね」


 ただでさえ、心も身体も十二ラウンド戦った後のようにグロッキーな状態のこのオレに、この糞姉貴殿はまだ追い討ちってやつを掛けようというらしい。むしろ、完全なるトドメというやつだろうか? この場合この展開は。


 ああ、聞きたくない。全くもって聞きたくない。

「言ったろ? 魔法と魔訪は違う。魔訪にはね、制限と対価とリスクがつきものなのさ。君のその不死の身体を維持する為に何より必要なもの、それは……《甘味》だ。甘いもの、お菓子、スイーツとも言い換えられるが」

「なん、だと?」

「それらを定期的に摂取しないと、君は不死の力を発揮できない。というか死ぬ。ぶっちゃけ死ぬ。むしろ不死どころか、いともあっさり死ぬ。《甘いものを食べないと、君は死ぬ》ひゃっっひゃっひゃっ。な? 笑えるだろう? 魔訪って奴は実に素敵だと、そう思わないか?」

 ああ、本当だ。最高に笑える。 

 本当にこの女、何してくれちゃってるの?

 

 この女、一体オレの身体に、何してくれちゃってるの?

 

「…姉貴、知ってるよな? オレの苦手なもん、知ってるよな?」

「少年。君の事で知らない事など殆ど無いぞ。当然、君が甘いものが苦手なのも知っている。だが、それがどうした? 私は、君とずっと一緒にいたかったのだ。《あんな冗談みたいな事》で、君に死なれては困るんだ。私の人生において、君は必要不可欠な存在なのだよ。だからこそ、もう二度と、私の前で死ぬような真似は許さない。だからこその、その体というわけだよ」

「あまい、もの。アマイモノ。甘い物」

 オレは、呪詛のようにそれらを呟きながら、糞姉貴殿の言葉を脳内でひたすらに反芻させる。

「そうさ。好き嫌いは良くないしな。甘いものを食べるだけで不死で超人。人間を超越した存在になれるんだ、安いものだろう? この幸せ者め。君は、ひたすらに私の側にいればそれでいいんだよ」

 オレは、猛烈に現実逃避へと思考が傾きつつある我が緋色の頭脳を必死に働かせ、何とか言葉にもならない単語を捻り出す。

「どうして」

「どうして? どうしてだって? ふふっ。それこそ愚問だろ。私は君を愛している。ただそれだけさ。それはもう、ひたむきにひたすらにね。それ以上の理由なんて、全く持って必要ない。そうだろ?」


 丁度、累計一万回目の、そんな聞き慣れた愛の言葉を囁きながら、姉貴は失神寸前のオレにそっと手を差し出し呟く。


「これで君も、今流行りスイーツ男子の仲間入りというわけだ。ふふふっ、いや待て、そうだな。少し違う。君の見た目、その性格を考慮すると…君の場合はスイーツ男子というより男児かな? 九州男児然り。男子って柄じゃない。という事で、スイーツ男児、朝鳥夕多。君の明日は…果たしてどっちにあるのかな?」


 そんなの、オレが一番聞きたいっつーの。




二の甘 END


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