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Ⅶ
* * *
「命乞いは聞かないといっただろう」
だって、此の書物の量。
しかも此れはたった一部なんて。
此れ等凡て読むまで死ねないでは無いか。
「い、いいこと考えたんだけど!
私を此処に置いてください!」
「・・・は?」
意味が判らない、と今日だけで何回か判らないが端整な顔を歪める。
「だって、私は貴方の知らない地球をたくさん知ってる。
貴方にとって便利な情報もあるのでは?」
学校と云い、猫と云い、そうとう知らないらしいし。
「情報を吐く代わりに殺さないで下さい、と?」
「ついでに此処の書物を読ませてください」
本当は此方が主ですけど。
「本が好きか?」
「はい!」
好き?大好きなくらいだ。
「そうか、ならば良い。部屋を与えよう。好きに使え」
・ ・ ・ ・ ・ 。
「はい?」
「お前が云ったのだろう、厭なら良いが」
「いえっ、有難うございます」
なんでいきなりこんなにあっさり決まった。
「本好きに悪い奴はいない」
まさにだ。
此の人は神様か!
とりあえず、暫くの平穏は手に入れた。
* * *