Ⅴ
* * *
「学生っていうのは学校に通う徒のことをいいます。」
話すなら一回座りましょうよと提案し承諾してくれたのでソファに腰掛けて簡易な説明をする。
でも、学生が判らないなら
「学校とは何だ」
そうきますよね。
「学校っていうのは、義務教育で・・・紙とペン借りていいです?」
流石に学校の仕組みを口先だけで説明出来るほど語句を知らない。
「我に物乞いか」
「お願いです、物乞いなんてしてません」
口のきき方に気をつけろ、と机の上に乗っていたいかにも高そうな万年筆と和紙のような紙が投げられる。
「・・・どうも」
素直に礼を云う事が出来ないのは此の人の態度の問題だ。
「先ず、学校を説明するには義務教育を知ってもらいたいんですけど判りますか?」
「知るか」
何故こうも上からなのだろう、まあいいけど。
「国や政府などが子供に受けさせなければならない教育の事です。
多くの国で普及されていますが、私の居る所では7~12歳で小学校、13~15歳で中学校というところに通わなければなりません。
其処では主に、読み書き、算道、地理などを勉強します。」
説明がわやわやになってきた。
そして、わざわざ貸してもらった紙とペンが使えていない。
「で、其処に通うのが学生です。」
無理やり終わらせた感が満載だ。
「ようするに、幼子が国に云われて勉学に励むための建物が学校で、其の幼子を学生というわけだ。」
「・・・そうですね」
とても簡潔にまとめてくれた。
私の今まではなんだったのだ。
「で、次は貴方です」
「我か?」
「此の世界はリィフューズ?と云っていましたがどういう処なんですか?
私は、地球という世界の住人なんですけど」
真逆、異世界トリップ!?なんてオタクの弟なら喜びそうだけど私は生憎嬉しくない。
「其れをよこせ」
私の手元にある何もしていない紙とペンを渡すと小さな綺麗な円を描いた。
其れの上から、二重三重と円を4つ。
「此の一番小さい円が此処、リィフューズ。
一言でいうならば、他世界の芥置き場だ。
お前がいう地球とは文献でしか知らぬが此処だろう」
3つ目の円を指して其処にイアーと書き込む。
「イアーって何」
「お前等のいう地球は此処ではそう呼ばれる」
場所によって呼び方が違うのか、変な感じだ。
一番大きな、4つ目の円を指して其処には天、と書き込む。
此処にも漢字があったのか。
「天、って神様の住まう処?」
「然り
我も見た事は無い。
存在するかも判らぬ未知の世界。」
「ならなんで天の存在を知ってるの」
存在を判らないなら、誰も知らないのだから存在を問う事も出来ないじゃないか。
「知るか。」
3文字で私の疑問は一蹴される。
「で、此処が吐き溜めっていうのはどういう事?」
ぎろり、と睨まれた。
「吐き溜めとはいっていない。芥置き場といったのだ」
あまり変わらないじゃないか。
いったらまた睨まれるだろうから黙っているけれど。
「此処は、他世界の住民の負感情、穢れ、そう云うものを請け負う世界だ」
其処を治める王は、複雑な表情で以上だ、と終わらせた。
* * *