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「お前、何者だ」

私に刃物を向ける男性を観察する。

端整な顔立ち、重く高そうな剣、其れに素人目に見ても判る上等な服。

此の人は、貴族かなにかだろうか。

いや、其の前に質問に答えた方が良いのだろう。

「私、紅紫と申します」

親が遊んでつけたのだ。

弟は、紅蒼。

紅いのか蒼いのか判らない。

私の発言に対して、端整な顔を歪めて睨んだ。

「誰が名前を聞いた」

「何者、という質問に答えただけですが」

種族人間ですとでもいえば良かったのか。

「我が聞いたのは、そう云う事では無い。

何故此処に居るのかということだ」

其れは私がききたい。

「此処は何処?」

私は誰、とノリで云いたいけれども此の人には通用しなさそうだ。

「此処はリィフューズ。

我が治める世界。」

「ああ、いえ此の世界でなく此の部屋はという意味なんですが」

今此の世界を知っても意味がない。

「・・・・・・・」

無言で、見下ろされた。

其の、リィフューズ?という世界が此処というけれど

私は地球で生まれた日本人だ。

「此処は、我の仕事部屋だ」

ああ、矢張り仕事部屋なのか。

「そうですか。

では泊めていただき有難う御座いました。

此の御恩は一生忘れません。

其れではしつれいしま――「待て」

何処に行くつもりだ、とソファから起き上がって扉に直行した私の背に刃先をむける。

「此処は数え切れない(トラップ)、門外には数百人の騎士。

此の世の王が住む城として、世界最大級の悪戯――じゃなく護衛が施されて居るにもかかわらずお前は此処に入った。

何者だ?」

此の人、悪戯って云ったよね。

此れで判った、此の人は性格が悪いだろう。

「何者、といわれましても何処にでもいる平凡な学生です」

いつものような説明をすると、心底不思議そうな顔でこう問われる。

「学生とはなんだ」

色々驚いたけど、先ず背中にある刃の矛先が私じゃなくなっただけ良しとしよう。


 * * *

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