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「んっ・・・んんっ」
「よく啼くな」
傍から訊けば如何わしそうな会話。
だが、結局は私はまた殺されそうになって居るだけである。
特に何かした覚えはないのだが、二番目の円の存在について尋ねたらこうなった。何故。
「ん・・・陛下」
「余計な事は云わぬと誓え」
「・・・手放してくれないと誓えません」
「其れだけ良く喋る癖によくもまあ」
なんだかんだいいつつも手を放してくれる。
「で、誓え」
「陛下に忠誠を誓いますー」
そうじゃないだろうとまた殺されかけると思ったら伸ばされた手は首の裏にあてられて声帯のあたりに口づけられた。
いきなりの事に慌てふためいていると陛下が嗤っている。
「・・・何するんですか」
「お前には殺戮は無意味だからな。此方の方が効果あるかと」
確かに効果はてきめんだった。
「顔紅いぞ?」
「・・・気の、所為です」
自分からする分には問題ない。恥ずかしいとは思わない。けれどもされるのは恥ずかしいというのはおかしいだろうか。
「此れから逆らったらこうすれば良いのか」
嫌な事に気づかれてしまった。
もういいや、読書を再開しよう。
読みかけの頁を開いた処で陛下に取り上げられる。
「我が来てやったんだ。奉公しろ」
何故そうなる。来てくれと頼んだ覚えはない。
「仕事は?」
「火急は終えた」
「じゃあ出掛けよう」
其れも良いかと偉そうに頷いて立ちあがった。王なのにそう簡単に外に出て良いんだ。別に捕らわれの身と思って居た訳じゃないけれど。
「で、何処に行くつもりだ」
「私が知るわけないです」
「其れはそうだ。では選べ。拷問部屋、武器店、猟奇殺人愛好家いきつけの店」
なんかどれも微妙。
「じゃあ、任せます」
心底嫌そうな顔した此の人。
「知ってます?此れデートって云うんですよ」
「嫌な響きだ」
「デートじゃ手を繋ぐんですよ」
手を伸ばすと手首を掴まれる。
ひねくれ者め。
「細いな。食事量を増やすか」
「今のままで十分。女性は此れ位ですよ」
細いと連発してくる陛下と階段を下りる。
どんな世界が広がって居るのか楽しみだ。
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