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ⅩⅨ

 * * *

「起きろ」

「・・・ん」

「犯すぞ」

「・・・ん」

「襲うぞ」

「・・・ん」

「面倒な奴だ」

「・・・ひゃっ!」

「やっとか」

やっとか、じゃない。

人の身体の上にのって太腿を撫でてきて変態か。

「・・・陛下。何」

「朝だ」

「知ってる」

「起きろ」

「起きた」

抜刀しかけた陛下に嫌でも睡魔が逃げていく。

こいつは恐ろしすぎる。

「何よ・・・もう少し寝かせて」

「軽く紹介したいやつが色々居るんだが、未だ寝るか」

そういわれては起きなくては。

お世話になっている身、挨拶くらいしたい。

・・・なんて?

"異世界から来ました人間です。どうぞよろしく!"

駄目だ。此れは駄目だ。

"陛下を惚れさせるために頑張って居ます。ご協力ください!"

駄目だ。此れも駄目だ。

まあ、為せば成る!という事で其の場で考えれば良い。



「上級官吏官。どうせ名などお前には判らんだろうから適当に呼んでおけ」

頭を下げたいかにも頭の良さそうな眼鏡の男性。

黒髪で優しそうだ。

「よろしくお願いします。紅様」

「あ、此方こそ」

様をつけられると慣れないが、まあ良いか。

「主に雑用などしかしない給料泥棒だ。友人も少ない可哀想な奴だ。優しくしてやれ」

「・・・はぁ」

そんな事云われる方が可哀想だ。

「王。彼の人が来て居ますが」

そんな事も気にせず笑顔で陛下に連絡。部下の鏡や!

「追い返せ」

即答。

彼の人って誰だろう。

「ですが彼の人の父が」

「追い返せ。五月蠅い奴は御免だ。契もいい加減破棄しようと思って居るのだから」

「ですが」

「我に命令か。良い度胸だ」

「真逆。勘違いなさらぬよう」

不機嫌になった陛下から笑顔で逃げていった上級官吏官。駄目な部下や。

「陛下、彼の人って誰?」

「形だけの婚約者だ」

流石、王だからそういう人がいるのか。

普通に上級官吏官は人間に見えた。そうか、なんだ普通に人がいるのか。

行動範囲外の廊下を抜けて時々メイドさんみたいな人に会いながら広い廊下を歩いて少し階段を降りてある部屋に入って、此の人だ。

「良いな。戻るぞ」

また来た道を戻り始めた陛下の横に並んで居るとすれ違う人の視線が凄い。

貴方誰、というか。

「陛下、仕事は終わりました?」

「火急の物はな。出かけたいのか」

「いえ、忙しいなら別に。書物もありますし」

そうかと呟いた陛下の口からまた言葉が漏れる。

「其処、罠」

「へっ!?」

いきなり上から何か降ってきたと思って何とか避ける。

「糞っ、よけたか。ちなみに其処もだ」

壁から穴が開いたかと思って直ぐにどく。

そうか、世界最大級の罠って此れか。知らせるのが遅い。

「どれ位仕掛けてあるんですか」

「そうだな、我の趣味・・・・でなく、そうだ、上級官吏官の趣味で千個ほど。悪戯☆で済む程度のものもあればあ、死んじゃった。程度のものもあるから気をつけろ」

此の人の趣味で人を殺すのか。

そうか、だから先刻濡れた男性にもすれ違ったのか。最低だな、陛下。

「全部位置の把握を?」

「当然だ。我が引っ掛かっては元も子もない」

策士策に溺れれば良いんだ。

もっとも、策に溺れる様な愚者は策士ではないが。

「今日は如何する心算だ」

「本」

だろうなと笑った陛下が私の行動範囲内の廊下前の扉をくぐって其れに倣う。

仕事部屋に入る陛下に珈琲を頼まれながらキッチンとはもう云えない給油室に向かう。

今日は歴史関連の本でも読もうか。

 * * *

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