ⅩⅧ
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陛下と恋愛ゲームをスタートさせたは良いもののどう惚れさせればよいのだ。さっぱり判らない。
まあ為せば成る!適当にやっていけば良い。
夕食を終えて睡魔と闘いながら陛下の仕事部屋へ珈琲を運ぶ。
廊下は本当に静かで、陛下は王であることからしても特別感満載だ。
天井が高く、シャンデリアが豪華だ。
異世界トリップでもしなきゃ絶対に味わえない待遇だ。
王と喋り、大量の書物を勉強もせず読みふける毎日。
贅沢過ぎる。
両手でトレイを持って居る為、ノック出来ずに女性としてはどうかと思うが足で扉を開けて中に入る。
「陛下・・・・」
怖い。考え事しながら歩いて居たから、普通に注意して居れば気づいただろう入ってくるなオーラに気付けなかった。
なんだ、あの不機嫌。
何故頭を抱えている。
「・・・何だ」
「珈琲」
「おいておけ」
相当不機嫌だ。
仕事でも増えたのだろうか。
陛下の机に近づきながら机の上に置いてある資料を覗き込むが、読めない。
「何か問題でも?」
「・・・19区の連中の騒動についてだ」
「19区?」
そうか、国は無くとも区くらいは判れて居るか。
19もあるのか。実はもっとあるかも。
「失業者の集まる区全体が暴力団のような処だ。どうにかしなくてはと思っても腐るほどある職場で首にされるのはどう考えても自業自得だ。其れで何処かの店を襲うなど・・・餓鬼すぎるな」
目を覆って現実から目を背けるように椅子に凭れる陛下。
意外と完璧人間ではないのだ。
「我は忙しい。其処等の死などしるか。勝手に死体の肉喰って生き延びておけ」
怖っ。
確かに此の世界全体の人口からしたら小さな死かもしれないが。
「王も大変ですね。平凡な私にはさっぱり」
「平凡?誰が」
「私が」
「お前は非凡だ。普通じゃない変人だ」
「私は普通の人間です」
「非凡だ。変人だ。異常だ。おかしい」
酷過ぎる。其処まで云われる筋合いはあるのだろうか。
「非凡なのは陛下です。何百居る中のたった一つの王の椅子に座るのだから」
「誰かがなる。其れがたまたま我だっただけのこと。
お前はどう考えても非凡だ。何故、いきなり芥置き場に放られてそんな風になじめる。まるで以前住んでいたかのように慣れているな」
「環境変化に、あまり影響されないだけです」
そうかと興味なさそうに返事した陛下が資料を見ながら何やら読めない文字を書き込む。
「お仕事、がんばってください。じゃあ、おやすみなさい」
「・・・ああ」
此の人はそう云えばどこで寝るのだろうとか思いながら部屋を出る。
「あ、陛下。また今度桃太郎伝説やシンデレラでも話してあげます」
「桃太郎伝説?シンデレラ?」
「面白い童話ですよ」
此れで面白いと若し陛下が云ったら、小さい子が好きな作品だと教えてあげよう。
仕返しとか、悔しいとかではない。違うのだ。
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