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ⅩⅦ

 * * *

いろいろ考えた。

私には地球で、親が居て、友達がいて、学校があって、其れなりに楽しんで普通の日常を送って居た筈なのに此の非凡な環境が何故こうも居心地が良いのだろう。

一番小さな円がリィフューズ。此処。

三番目の円が地球。私の前居た場所。

一番大きな円が天。存在是非は不明。

では、二番目は?

地球よりも小さくリィフューズよりも大きい場所は何?

説明が無かったが、必要ないからか判らないからか。

さっぱり判らない。

此の世界で未だ陛下以外の人を見た事がない。

多いのか、少ないのか。

少なくとも農民、といっていたから地球と同じように職業は別れて居るのだろう。

現在読んで居る書物はファンタジー系で陛下が云うにはどの家系でも小さい頃に聞かされるようなお話で地球でいう御伽草子みたいな有名な話らしい。

読んでいて面白いというと、"齢4,5ほどの者が読む書物だ"と笑われた。

年齢の数え方が同じなら相当屈辱的だが面白いから仕方ない。

ノックもせずに陛下が食事を運んでくる。

確かに、此の世界の王たる陛下に食事を運ばせるのは何か申し訳ない。

「あの、私が食事取りに行きましょうか?」

「基本的に此の空間には王以外は入れない。お前を例外として。

そしてお前はあの廊下より向こうに一人で進ませる気はない。

よってお前が取りに行くことは不可能。以上だ」

可愛くない陛下だ。人の提案をそんな無下にしたら痛い目見るんだから。

今日はビーフシチューのようなものだ。

味も結構類似して居る。

料理名を聞いたらまたよく判らない言葉が連なった。

ベッドの上で食べるのはどうも申し訳ない。こぼしてしまったら、というかんじで。

「陛下は私が来る前は何処で食事を?」

「あの仕事部屋だ。資料を見ながら」

うわぁ、仕事人間。人間かはよく判らないけれど。

「独りで?」

「何度云えば判る。此の空間には王以外立ち入り禁止だ」

よく判らない制度。

けれど独りで食事というのはどうも物寂しい。

「じゃあ、此れからは一緒に食べれますね。二人ですよ、嬉しいでしょう?」

「全然嬉しくないな。キーキー五月蠅い奴が横に居ると食事が不味くなる」

「じゃあなんで此処で食べるんですかうるさくて悪かったですね!」

「お前に食事を渡して我は一度仕事部屋に帰って自分も食べてまたお前の部屋に食器をあずかりにくるのはめんどうだからだ」

あっさり正論に近いものが並べられて反応に困った。

確かに二手間だ。

「私の居たイアー?は190位の国で構成されてて国によって言語が違って顔立ちとかも全然違ったんですけど私は其の中で日本って場所に居たんですよ」

「・・・日本?」

「矢張り知らないですよね。また今度和菓子作ってみますね」

「和菓子?」

「日本の伝統菓子?みたいなものです。ちっちゃくておいしいですよ。甘いし。材料さえあれば、ですけど」

「毒はいれるなよ」

失礼な発言だが、食べてくれるという事だ。

陛下の話を聞くからに、此の世界は国は一つしかなく、其の為名前もついていない。しかし言語は統一されて居るにもかかわらず訛りが酷く言葉が通じない地方もあるとの事。

しかも海はなく、広大な湖が其処等其処等にあるらしい。

「そういえば王以外此の空間立入禁止なら陛下の両親は?」

矢張り陛下が王になる前に死んだのだろうか。

でもただ年齢的に交代というのもあり得る。

「死んだ」

「・・・ごめんなさい」

「生ける者の死は絶対だ。其の謝罪は死に対しての侮辱だ。死だとしても其れは其の者の人生の最後。侮辱は筋違いだ」

そんなこと初めて云われた。

「だが、我としては確かにあの死に方は不憫だったと思う」

「事故か、何か?」

「そうだな。お前が我を惚れさせて見せたら、話してやろう」

親の死を駆け引きの品にするとか、罪深き王。

「紫」

初めて名を呼ばれて振り向くと嫌味に嗤った陛下が髪を撫でる。

「我を惚れさせてみろ。其の前に我に惚れたなら、お前の負けだ」


かくして、恋愛ゲームの始まりだ。


 * * *

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