ⅩⅤ
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「我がお前なんかに惚れる訳ないだろうお前は莫迦か」
「惚れるのが怖い?」
抜刀しかけた手を両手で食い止める。流石に一日に何度も殺されちゃたまらない。
「阿呆か。お前などに惚れる訳ない。よって怖くも無い」
「じゃあ、楽しみにしててくださいね」
サラサラの髪に触れると何だと訝しげに眉を寄せる。
「綺麗な髪。私とは大違い」
少しくせ毛の変に青みがかった黒髪。
陛下よりも劣っている私の髪に陛下が触れた。
「少し歪んで居るが質は良い。手入れを怠らなければ其れなりに整う筈だ。まあ、お前には無理そうだがな」
鼻で嗤った陛下に絶対に陛下よりも綺麗な髪にしてやろうと誓った。
「陛下。珈琲ある?」
「ある。イアーにもあるのか」
「ありますよ沢山。良かった、じゃあ淹れてきてください。飲みましょうよ」
陛下が固まった。何。
「良い度胸だな格下。我を給仕に使うか」
「ちょっ、今格下って云いましたよね、酷くないですか」
「事実だろう。お前が淹れろ」
「何処にあるか知らないんですって」
其れもそうだと頭を鷲掴みにする手を放した陛下がついてこいと部屋を出ていく。
酷過ぎるぞあいつ訴えろ!
キッチンは無いっていったくせに、あるじゃないか。
でもフライパンが無い。鍋とかガス台とか。
「おかしな話、城にガスを通し忘れた愚か者が居てな。
なんとかつなげたといったが食事を作れない。毎朝毎夜食事は作られて届けられる。面倒にもほどがある。
粉は其処。作ってとっとと持ってこい」
なんで私がまるでメイドみたいになってるんだ。
まあ問題はないけれどさ。
此処は陛下がぎゃふんというような珈琲を淹れてやろう。
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