ⅩⅢ
* * *
「明日にでも、此処から移動して貰う」
「・・・移動?」
どうして。
私は何かしたのだろうか。
「何処に?」
「少なくとも・・・此処よりは平和だ」
此処よりはって別に此処は危険でも何でもないのに。
「良く判らないんですけど」
「明日の朝、ないだろうが荷物をまとめておけ
少しくらいなら此処の書物を持っていっても構わぬから」
勝手に話を進めないでほしい。
私から地球の情報を貰うのを引き換えに置いてもらうって言う話だったのにそんなこと。
勝手に決めて、勝手に移動なんて非道すぎる。
「私は此処に居たいです」
此の世界がどんななのかよく判らない不安もある。
でも、沢山の本に囲まれて過ごせて幸せなのに。
「此処に居る限り遠くない未来お前は我に殺されることになる」
何其れ。
死刑宣告?
「其れでも・・・構わないといったら?」
・・・記録更新。
殺されかけそうになったのは7回目です。
「死ねなどしない癖に」
私が此の世界へ来た時に寝ていたソファにまた押し倒されて首に手がある。
どうやら此の人は窒息死をさせるのが好きらしい。
「人を殺すには自分も死ぬ覚悟でいかなきゃ駄目なんですよ
貴方は・・・死ぬ覚悟があるの?」
「殺めるのに必要なのは覚悟でない。
冷酷さと、力だ」
どれほどの人を殺した手で私の首を絞めるのだろう。
そういえば、先刻から此の人とか云っているけど人では無いのだっけ。
でも他に云い方がない。
違う、今はそんな場合でないのだ。
「どうしてそんなに殺したがるの?」
「此の世界に生を受けた者ならば皆そうだ」
よく判らない。
殺人罪とかないのだろうか。
「貴方は・・・私を殺すのが楽しい?」
「少なくとも不快では無い。」
ええそうですか。
何が楽しいか判らないけれど左肩を痛くない程度に噛まれる。
歯が当たっているのだけれどね。
軽い痕がついたら次は手首。
胸元、太腿、足と降りていき視える所に歯形がある。
どういう心算なのだろう。
「我は今すぐにでもお前を殺せる
だが其れでは面白くない」
私の上の重みが無くなったと思ったら荷物をまとめておけ、と言い残して王が何処かへ行ってしまう。
訳がわからない。
誰か、判る人説明してよ。
何処に行けば良いの、何故此処に居れないの。
――人を殺すのに貴方は面白みを求めるの?
優しいのか怖いのか、其れとも両方か。
私はどうなるのだろう、と柔らかいソファ。
一人体を固くして震えていた。
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