Ⅴ あなた
「四人は皆、人を殺してしまった」
なんて悲しいんだろう。
「殺すと言っても、いろいろ種類がある」
社会的に、物理的に……。
「そうだね。君はよく分かっている」
二人はどうなったんだろう。
「さあ……。僕には何も分からない」
誰が、誰を殺す結果になったんだろう。
「それも、僕は知らない」
私たちの知らないところで、こんなにも酷いことが。
「それが現実だよ」
死者が人を殺す。
「それが最も悲しい」
生者が人を殺す。
「皆、気づきはしないけれどね。皆人殺しだ」
人は皆、本能的に人を殺したいのかな。
「きっとそうだろうね」
人は、死を望んでいるのかな。
「朽ちていくものへの憧れがあるだろうね」
私たちは、何なんだろう。
「その答えは、一生出ない」
分からない。
「僕たちは殺人犯、そして自殺志願者。これだけが真実だ」
じゃあ私も死のうかな……。
「それはいけない。本能に従って生きては駄目だ」
何で?
「それが人間という生物だからだよ。殺さなければ生きていけない」
ふぅん……。
「さあ、疲れただろう? ゆっくりお休み」
うん。ありがとう。
私は、私たちが、一人の殺人犯であることを記憶に留める。
そうして、私はそっと目を閉じた。
(了)
Who killed him ? はこれにて完結となります。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
余談になりますが、この作品の真犯人は誰だと思いましたか?
英吾、瑛二、麻都香、敦司――。
誰が誰を殺す結果になったと思いますか?
正直、私自身も決めかねていますし、判断がつきません。
是非とも真犯人を考えてみてください。
それでは――。
読者の方と、創作活動を愛するすべての人に感謝と敬意をこめて。
また、次回作でお会いしましょう。
お疲れさまでした。