表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Who killed him ?  作者: 要徹
11/16

Ⅲ 東岸英吾(6)


    6


 次に英吾が見た光景は、眩しい赤い光を放つ、白と黒の混じった車と、血だまりの中で顔を突っ伏している二人組だった。二人ともぴくぴくと躰を痙攣(けいれん)させ、必死に生きようとしていた。あまりにも滑稽(こっけい)なその光景に、英吾は思わず笑いそうになった。


「君がやったのか?」


 突然、青い制服を着た男が話しかけてきた。彼は何やら胸のポケットから取り出し、英吾に提示した。そこには、A警察署、甘利という文字が見られた。どうやら、警察官のようだ。いつの間にここへ来たのだろうか。


「はい」


「君も、すっかりやられたようだね。多分、正当防衛ということになるだろうけど、あのまま彼らを殺していたら、そうはいかなかっただろうね」


「生きてるんですか?」


 どうせなら死んでくれればよかったのに、と心の中で毒づいた。


「ああ。死ななくて良かったと思うがな。その腕章を見るに、君はI高校の二年生だろ? これからの進路に影響しないように、穏便な対処をしてもらえるだろう」

「そうですか。それはありがたいですね」


 まるで、人を殺そうとしたことに、何も感じていないかのように冷徹な表情を浮かべ、英吾が答える。


 今回は、瑛二を間接的に殺したこととは、訳が違った。彼らの無防備な後頭部に石を打ち付けることに、何の躊躇い(ためら)もなかったし、殴り倒した後も、眉ひとつ動かさず、まつ毛の一本も揺れなかった。


 きっと、あの時栂池に襲いかかった時の瑛二も、英吾と同じ気持ちだっただろう。栂池をあの時、殺してしまっていたとしても、何の後悔もなかったはずだ。それどころか、快感すら覚えたかもしれない。


 英吾は甘利に連れられ、警察車両でA警察署へと連行された。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ