バケモノ?
間章最終回です。
長かった…。
―休み時間。
「…」
なにそれー。きもーい。
ゴミだな。あいつ。
だりぃ…。眠い…。
「有稀ちゃん。職員室の倉石が呼んでるよ」
「…うん」
…あの子無愛想だよね。
「…」
―廊下。
数学の倉石、つかえねー。
あれ有稀先輩じゃない?
顔は良いんだけどな。人の心覗き見るってのはな…。
もしかしたらこれも聞こえてたりして。
なわけないだろ。もしそうなら化け物だろ。
っだよなー(笑)。
「失礼します。倉石先生に用件があり参りました」
―職員室。
「有稀。その目は止めてくれないか?」
「…?」
「その見透かしてるような目。印象は悪い。面接とか色々な面で不便になるから今のうちに―」
―というか、俺が恐い。全部悟ったようで気に食わない。
「―聞いているのか、有稀」
「…はい。気をつけます」
―なんで俺がこんな奴の担任なんだ…。
「失礼しました」
―廊下。
きもい。うざい。きえろ。だるい。うざい。めんどう。ねむい。つかえない。しね。きえろ。こわい。ばけもの。よるな。きもい。しね。しね。しね。しね。しね。しね。しね。死ね。しね。しね。死ね。しね。しね。シネ。シネ。死ネ。しね。しね。しね。しね。しね。しね。しね。死ね。しね。しね。死ね。しね。しね。シネ。シネ。死ネ。
「……!」
もう聞きたくない。聞こえなくていい。
何回、死ねばいい?
何回聞こえた言葉に怯えればいい?
―神様、なぜ私たちは普通に生まれてこなかったの?
「…普通に生きたい?」
…ぬいぐるみ?
「僕が君を普通の人に―」
*
―右肩に太い杭を打たれた。
「…っ―!」
喉奥から絶叫が上り詰める。視界端には、はっきりと赤を滴らせるランスが見え、視界中央の彼女はしたり顔をした。
木の葉の揺れのみが時間経過を知らせる。激痛は閃光のごとく体中を駆け回った。
ここで叫んではいけない。奥歯を噛み締め、笑った。
「…!」
理心の両手がランスを掴む。そのまま、足を乗せるように下半身を捻り上げる。
ただ速度は蹴撃に近いものである。現に理心の左足はまっすぐ、有稀の顔に向かっている。
蒼白の有稀は動けない。間もなく理心の右足が有稀の横顔を捉えた。
感触は僅かに凍ったペットボトルを蹴ったようだった。有稀はぐりんと首を揺らし、顔面から叩きつけられる。
手ごたえはある。死にはしないが意識は飛んだだろう。
一瞥して、理心は肺に酸素を取り入れ、むせた。右肩の痛みを再認識し、左手で抑える。次々どろっとした生暖かいモノが指の隙間をこぼれていく。
「…あらら…」
理心は小さく笑ってみる。ランスはぽろりと落下して地面に突き刺さる。
はっきりと大きくなる痛みに耐え切れずふらふらとよろめき、背中を大銀杏の木に託した。
拡大を続ける痛覚。おもわず目を閉じると凍てつくような冷気を感じていた。
「っ…」
痛みと間違えそうな冷たさに意識がはっきりする。そのまま理心の両目は右の来葉を見た。
いつもの無感情の思考が読めない顔で、右手を理心の傷口に翳している。驚くことに傷口から流れていた血は凍り、瘡蓋のように赤い氷となって傷口を塞いでいる。
感じた冷気はこの瘡蓋だ。
「…応急処置だ」
来葉は気づいていたようで、素っ気無く言葉を口にする。
ただ血が凍っているのではない。いつの間にか痛みも消えている。不思議そうな顔に無感情が呟く。
「溶けたら死ぬほど痛いだろうな」
そう呟き、来葉は手を退けた。
傷口を冷やし、神経を麻痺させ、現在一時的な無痛状態を与えているだけだ。
確かに痛みはないが、肩から先の感覚もほとんどない。実際、指は動くが霜焼けのように指先の感覚が無く、違和感がある。まさに応急処置である。
冷え切った肩をぽんぽんとさする。冷気は冷静さも取り戻してくれたようで『影』がいないことを気付かせる。
「…魔力で使役されていたらしい」
大した魔力だ、とため息混じりに来葉は呟いた。
使役するものがいないため消えてしまったらしい。消えなければ来葉もこちらには来れなかっただろう。
黒鏡となった窓ガラスを見る。映ったのは右肩に赤黒い花を咲かせる自分の姿だ。
膝を曲げ、知らぬ間に落としていた一対の双剣を拾う。
「クルハ、有稀を担いでさっさと―」
途端、緊張が二人を覆った。
「…僕は…―!」
か細い声がした。
二人は同時に目を向ける。有稀は白いランスを地面に突き立て、立ち上がっている。
「…」
隣で来葉が息を吐いた。両手には再び拳銃が顕現する。
「クルハ」
一言、理心がその拳銃を抑える。
「俺様がなんとかするよ」
「…」
無言で目のみの会話。時間にして一秒も無く、来葉は拳銃を下ろした。
理心は余裕を持って、有稀を見る。
虫の息だった。全身を上下に動かして呼吸をしている。足元を地団太を踏むように覚束ない。
ただ彼女の目は生きている。
本来なら動けないはずだ。頭部へのハイキックで脳に直接ダメージを与えた。さらに地面に叩きつけたとき、胸部の骨を数本折った手ごたえもある。間違いでなければ音も聞いた。
ただ現実、彼女は未だに挑戦的な目で対峙している。ふらついてはいるが、殺意は決して衰えていない。
その決意に理心は動かされたのだろう。
「……」
有稀はランスを引き抜き両手で構える。
理心も呼応するように双剣を構える。
「…邪魔するなよ…」
有稀の口が動く。
「何も知らないやつが…」
「じゃあ殺せよ」
真顔の理心が一言告げる。聞いて彼女は笑ったように見えた。
瞬間、確かめる間も無く彼女は不意を突くように踏み込んだ。五、六メートルの間合いは瞬時に詰められ、ランスの射程距離に入る。さらに勢いそのまま小さく跳び、飛び掛る形になる。
有稀は右手にランスを持ち、後方へ右腕を引き絞っていく。空いた左腕は狙いを定めるように理心の頭に伸びている。
閃光のようだ。理心は右肩の痛みを感じながら双剣を握りなおす。
そして、右腕は引き絞り終えた。
「…っ!」
激しい金属音が鳴り響いた。
彼女が繰り出した一突きは最高速だった。避けようとしても肉は確実に抉るだろう。認識がそう語る。
だから理心は避けなかった。
疾走する白槍を左の剣で受ける。そのまま下から押し上げるように跳ね上げる。ランスを持つ右腕は斜め上に向かって行き、胸元に生まれた隙間に身をねじ込む。
二人の距離が近くなった。
有稀と目が合う。見開かれた目は信じられない様子であり、じんわりとした恐怖が混ざっていた。
理心は意外と褪めた目で返答した。念を押すように右の剣を握りなおす。
距離にして数センチ。理心と有稀の顔は近づいていた。
見開かれた有稀の目にじんわりと涙が溜まる。
右の短剣が大気に切り口を入れる。
ぽとりと、頬に水が落ちた。
―一閃。
理心らの周りに木の葉が舞い上がった。
「…」
理心は目視する。
下から上に駆け抜けた蒼色の残像。
はさみで裂いたような滑らな有稀の制服の切れ口。
ぷつりと目を閉じ、こちらにもたれかかる有稀。
そして、宙に投じられたくまのぬいぐるみ。
「……」
すかさず左手の剣がぬいぐるみを貫く。胴体の中央を突き刺し、傷口から白い綿を噴出す。
理心は倒れてきた有稀を右腕で受け止める。彼女から魔力の反応はない。彼女はただの生徒となっていた。
目をぬいぐるみに戻す。最中、ぬいぐるみは微動だにしない。目は重力に伴った方向を見ている。
理心は下を向く。足元には制服の粕と円状に赤黒くなった土が見えた。
知らぬうちに息切れしている。体全身を痛みが巡っている。
「…あー…結構しんど…」
肉体がぐにゃりと倒れた。
右肩の噴水が再開したと認識すると、彼の記憶はぷつりと切れた。
*
三階。女子トイレに居た彼女は廊下へと出てくる。そのまま窓際まで進み、中庭を見下ろした。
大銀杏の元に居る三名と一体。
認識し、彼女は小さなため息をつく。
まず一人目―大銀杏に寄りかかる褪めた目をした彼に目を合わせる。
現在は消しているが先ほどは拳銃を両手に持って舞っていた。魔力で従えたとは言え、上界の魔物共とは比べ物にならない強さだ。
戦闘に慣れ、且つ冷静な判断力。上界の人間としても納得しがたい年齢。
小さくしたうちする。
二人目―右肩から血が滲む彼。
僕は彼に負けたのだ。操作といえども敗北した。
ここに居た中で一番の実力者だ。命の取り合いに対しての反応は異常である。
なにより、彼は上界にはいないタイプの人間だ。魔力を用いた双剣を使っていたが、彼からもその武器からも一切を感じられない。そもそも魔力ではないものを具現化しているのかもしれない。
とにかく、僕は負けた。
目は三人目―その少年に抱えられるようになった女子生徒に向く。
今回の身体。満足いく働きはなかったが、彼女の限界だろう。相手がバケモノだとは―。
「……」
窓際の彼女は思考を中断する。目前では褪めた目の少年が面倒そうに二人を担いでいる。
どう見ても人間だ。
唇を噛み締める。
「…んー…?」
左から声がした。眠そうに目を半開きにした少年がこちらを見ている。
「…檜山さん?」
名を呼ばれ、僕は目を合わせる。檜山未稀の知り合いみたいだ。
少年の眉がぴくりと動く。
「…じゃないのかな?」
含みを持った発言をし、わざとらしく顎に手をかける。目は変わらず眠そうだが、楽しんでいるようにもみえた。
「だとしたら…麻百合?」
「…!」
自分でも分かるほど動揺が露骨に顔に出た。すぐさま平常の表情へ変貌させるが、少年は顎から手を退けた。
「ビンゴ」
一言、響く。僕は檜山未稀を想定して口を開く。
「…あの…私の名前は―」
「対制約者用装着兵器『七宝石』指揮型・麻百合。現場指揮を目的として作られ、士気の向上、物体憑依による遠隔指揮を目指した兵器」
間違えているか、と聞き、彼は欠伸をした。
間違いはない。ただ、なぜこいつがそんなことを知っているのかが問題だ。今の発言は全て僕が燃やした資料の話だ。
「『七宝石』じゃ一番、純粋らしいな」
「……」
麻百合は口を開かぬまま思考する。
なにが起きるかは分からない。危険性は排除しておくべきだ。
「…それはどこで知ったんだ?」
「秘密だ」
少年は再び眠そうに欠伸をする。目にはうっすらと涙が溜まっているようにも見える。
むかつく態度だ。
麻百合は彼に見えないよう、背後でランスを顕現させる。そのまま一歩ずつ歩き出す。
「で、なんで未稀の体なんだ?」
「…そんなの関係ないでしょ」
「あるよ」
少女の声がした。
「…っ!?」
途端に突風が吹き上げ、麻百合のランスが上に吹き飛ばされる。
風が収まると、麻百合の視界には新たに紺色の髪をした女子生徒が姿を現す。
目を大きく見開いたことを忘れそうにはない。
「…レイラ…」
紺色の彼女の名を呼ぶ。
吹き飛んだランスはざくりと突き刺さる。
澪羅は麻百合を一瞥し、悲哀の目を床に向けた。
「おはよう、マユリちゃん」
目を合わせず、言う。
「変わってないみたいだね」
「お前もか…」
「……」
タイミングから判断つく。
少年の情報元はレイラだ。そして完全に少年を守った。つまり、そちら側だ。
目を合わせようとしない彼女を睨みつける。
「なんで邪魔する…」
「……」
澪羅は沈黙する。
「憎くないのかっ! こんな体にされて!」
左手を胸に当て、訴える。
「死ねない体にされ、名簿上死んだことにされ、戦争が終わったら用無し。無かったことにされて…悔しくないのか!」
「……」
「レイラぁあああああああ!」
咆哮のような怒号。
澪羅はおずおずと口を開く。
「それでも、他人を巻き込むのはいけない」
小さな声、夜風のごとく呟く。
「…マユリちゃん。もう止めて」
澪羅の右手に風が集まる。風は徐々に色がつき澪羅の肩に纏わりつく。
「止めないなら、私が止める」
その顔はひどくつらそうだった。
「分かってるよね。人体状態と戦闘状態ならどちらが有利か」
右手に纏った紺色の風を剣と化する。金属の光沢はどこにも無い。殺意を持った風が澪羅の右腕に終息し、僕に向けられている。
「変わってないな…」
一言目は懐かしむように、
「本当…変わってないな…」
二言目は悔やむように告げる。万に一つでも僕に勝ち目は無い。
「マユリちゃんも変わってないよ」
澪羅は哀情を述べる。
「…変わってない…」
二言目は、後悔。
麻百合はランスを消失させ、澪羅らの居ない廊下へと歩き出す。
切っ先は背中が月から見えなくなるまで向けられた。
「…いいのか?」
少年は欠伸交じりに問う。
「大丈夫だよ。あの子は話せば分かるから…もう、しないよ…」
風が拡散していく。穏やかに、ゆっくりと―。
「ふーん…」
少年は興味なさ下にうなった。
「…帰ろう」
澪羅の一言で、二人の歩は麻百合が向かっていない闇へと向かう。間もなく、飲まれ、校舎は無人となる。
*
当たり前の事態が発生する。
「…何か悪いモノでも憑いてるんじゃない?」
翌日、登校すると朱がこう言い放った。心配よりかは怪訝の割合が大きい口振りだった。
彼女が見たのは右肩に包帯を巻く理心の姿と、階段から滑り落ちたという一般的な供述。ただ彼女は審議を確かめる手段も無く、疑心暗鬼のまま授業へと望むしかない。
また今日が始まる。
檜山姉は欠席した。妹によると筋肉痛らしい。
昨日の動きは人間離れしている。誰だって筋肉痛でもおかしくは無い。筋肉痛で済んだ、と考えると気が滅入るので止めておく。
姉はやはり一人だったみたいだ。調べてみると休み時間も一人でいる場合が多い。避ける理由はやはりESP能力である。
一応、生徒会はオープンにしているが、果たして相談に来るだろうか。
個人的な答えが出たところで、次の出来事が起きた。
「俺ら、帰る」
昼休み、生徒会全員を集め綾平がいった。驚いたのは来葉を除いた二人。
「突然だな」
来葉が抑揚無く問いかける。
「俺らもそう思う」
綾平は大きな欠伸をして答えた。
簡単な話だった。澪羅がいないことに気付き、綾平が連れて行ったと思われ、連れ帰るという話だ。
「でも、こっちに生徒長がいなくなるけどいいの?」
朱が問いかける。
「いいんじゃないか? 別に俺がいなくても機能していたって言えばいいし」
「そう…かな…」
「心配なら、それを生徒長にすれば?」
綾平の目は理心に向けられる。
「えぇ?」
包みを開けていた彼は頓狂な声を出す。
「もーらい♪」
「おいっ、俺のモンブランンンン!!!」
向き直り、頭を抱える理心。
犯人の澪羅は口いっぱいに頬張り、幸せそうな顔をしている。
「きぃさぁまぁあああああ!」
「った!?」
鬼の形相をして鉄槌を振り下ろす。べちっ、と重い音がした。
「もう…ふぁふぇてんでふぉーが(食べてんでしょうが)」
「誰のケーキだとおもってんだよ!」
「私のためじゃ―」
「ちがあああああああああう!」
―今日もこんな感じらしい。
「…そう思うか?」
目で否定しながら来葉は問いかける。
「形だけだよ。中身は今までどおり二人でやればいい」
面倒そうに言うと澪羅の首元をつかみ、ひょいと持ち上げた。澪羅は大人しくなり、そのまま廊下口へと連行された。
「ケーキぃ…」
「さよなら、みなさん」
「おつかれさまでしたー」
数秒無く、扉は閉まった。
「…」
途端、来葉が理心に近づき、彼の目の前にあったケーキの箱を取り上げる。
「おいこらぁあ!」
「後で買って返す」
それだけ言い残すと理心を一瞥し、二人を追うように生徒長室を出た。
残された二人。朱は何も無かったように隅の書記席に着き、理心は手に持っていたスポンジを口に入れた。
*
西の生徒長と副長は玄関へと向かっていた。
「…ケーキぃ…」
いまだ口にする澪羅。足取りは重く、気分が下方修正されていた。まるで飼い猫が死んだときのような沈みよう。
綾平はため息をつくように目を瞬く。
「何のためにこっち来たんだ」
「…」
「麻百合、ほっといてよかったのか?」
声の抑揚は無く、だがしっかりと問いかけていた。間が開いてから澪羅の口が開く。
「あの子はもうやらないよ…」
「そうかね?」
「やりそうなら、また止める」
楽天的な彼女が真面目に答える。綾平もそれ以上は聞かずに口を封じた。
「…」
玄関を目前とし、ぴたりと綾平の足が止まる。追うように澪羅も止まり、二人は振り向く。
そこには褪めた目の少年が立っていた。手にあるのは先ほどのケーキの包み。
「見送りご苦労さん。掃除係」
「けーきぃ!」
とびかかりそうな彼女にモノを与え、来葉は綾平の目をじっと見た。
「…今回の事件。関係してるのか?」
「生徒長代理としては一応」
「…虚言は好まない」
「真だよ。君の名前にもあるように」
綾平は相変わらず、眠そうな目をしている。
来葉はケーキに夢中な澪羅を一瞥し、低い声を続ける。
「食べないと死ぬのか?」
「いいや」
即答する綾平。
「じゃあ、戦えない?」
「そう…腹が減ったら戦は出来ぬってね」
おちょくった口調だ。そのまま、くるりと背を向き、澪羅の首を掴んだ。
「帰るぞ」
ずりずりと足を引きずりながら、玄関へと向かう。夢中の澪羅は次々と口の中へ放りこむ。
「…心配せずとも、邪魔しないよ…」
一つ綾平の声が悟った声を出す。
「もし、俺が邪魔になったら?」
問いかけと同時に綾平を照準をつけるように背中を指差す。直後、微風が来葉に向かって吹いた。
風が止むと澪羅の左手が来葉の首に触れていることを認識した。
口を動かし、右手に食べかけを持ち、平然な顔で、首を掴んで、居た。指先の体温が首に広がる。
来葉はゆっくりと手を下ろす。見ずして綾平は答える。
「…分かっているだろ?」
そういうと、澪羅の名前を呼び、小さくため息をつく。彼女は何も無かったように振り返り、綾平の後ろについた。
来葉は足を動かさない。外の靴に履き替える二人を見ていた。
履き終えて、綾平がこちらをみる。穏やかで、無表情だ。
「さよなら、氷の王子様」
一礼して、二人は去っていった。
来葉の手は無意識に首をなぞる。
微かに震えた手は首筋につけられた生クリームを拭い去った。
次から本編に戻ります。
理心―かなり怪我してる。
来葉真一―氷は便利な魔法って証明した。
柳川朱―出番なし。最近、こいつの存在に疑問が…
綾平―苗字もあったけど、こっちの名前で呼んでいる。同時系列の作品の主人公であった。(ここで書くかは未定)
澪羅―上記にしかり。『七宝石』の一つ
麻百合―犯人。百合なので武装は全部白です。
有稀・未稀―ただの超能力兄弟
『氷の王子様』―綾平最後のセリフ。伏線です。