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2 周辺を観察しよう。

 今、自分の回りを改めて見てみると、あちらこちらに大小様々な魂石が散らばっている。


 特に喋ったり動いたりしない。

 本当に一つ一つが意思ある魂なのか?疑問ではあるがとりあえず、それらは無視して遠くを眺める。


 スキル超視力のおかげだろうか。生前は確かに目が良かった。友人に羨ましがられた経験がある。でも流石にこんなには視力が良くなかったと思う。


 だいぶ離れている大きな閉まった門は、右と左に広がる長い回廊の中心で存在感を顕にしていた。


 最初は気がつかなかったが長い回廊に等間隔にいくつも扉が並んでいた。

 あれは各々が部屋なのか?もしそうなら物凄い数になるだろう。僕の見える範囲だけでも、いっぱい見える。


 あれ?門が少し開いた!!


 その隙間から入ってきた2人の鬼は台車一杯の草を運んでいる。しばらくすると、また、門の中の森の邪魔にならない場所に、その中身を捨てていた。


 なんと言うか行動が雑。


 門の前を掃除して集めた物を門の中の森に捨てている? 不法投棄では?


 ううーん?どういう事?

 門の前さえ綺麗なら問題ないと思っているような鬼の行動はとにかく大雑把に見える。


 すると次は門の隙間から角の生えたウサギや狼、不気味な鳥、巨大な虫、複数の目を持つ熊のようなもの毒々しい色合いの大蛇。見たことのない様々な生き物までが走り抜けてバラバラに森に駆け込んでいく。


 鬼はそれらに見向きもしない。

 観察した結果、鬼は攻撃とかしてこないらしい。


 この短時間で、わかった事。


 鬼=たぶん安全。


 そして今度は色々な特徴の人が門の隙間をゆっくりと歩いて、こちらは回廊に向かい歩きはじめた。


 背から羽が生えていたり、顔が獣の様だったり、体の一部に鱗や角が有ったり、尾っぽがあったりと多種多様な姿で、あれは何なんだろう? 普通の人間ぽいのもいるが髪色が派手で赤や紫だったりしている。中には肌の色が緑や青白い者もいて、とても不思議な光景。


 それらは各々が違う扉に入っているようにも見え。また、そのまま扉に入らず通りすぎて行く者もいる。


 うーん。何で僕はこんな場所にいるんだろう。


 改めて時間があると色々考えてしまう。突然、若くして死んでしまった。もし死ぬとわかっていたら、もっと真剣に全力で残りの時間を生きていたと思う。


 僕の記憶が何だか曖昧だけど、多分、学生で大学に通う事を将来は考えていたと思う。友人が地元の大学を将来受けると言うので、自分も友人と同じ近くの大学でいいかなと漠然と思っていた気がする。


 将来の目標やなりたい職も特になく、ただ安定した職に就き大人になり社会人として働く、そうなるだろうと生前は思っていた。


 家は裕福でも貧乏でもなくて平凡な家庭だったようだ。家族の名前も今は思いだせないのに専業主婦だった母が僕の塾代の為に近くのスーパーにパートとして働きはじめた事はなんとなく覚えている。


 僕も、こんな早く次の人生に進むとは思わなかった。こんなことなら母の日にカーネーションの1本でも、贈っても良かったと思う。普段、家族とあまり話さず家に帰ったら食事以外は自分の部屋でスマホで漫画をみてゴロゴロしているのだから…。


 今となっては悶々と考えても仕方無いことを色々頭にうかべた。何だか考えてないと端からどんどん記憶が霧のように漏れだし何処かへ消えてしまいそうで恐ろしかったから…。


 名前のように。


 気持ちいい風が吹く静かな森で、僕はじっと大門の方を眺めていた。



 僕の観察は動くことが出来ないので、それからも長々と続くことになる。


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