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1 ここはどこ?僕は何?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 長い長い回廊を静かに歩く。

 今はここで自分の足音しかしない。


 いつから歩いているのか、何百年たったのか?ぼーっとする頭では、ずいぶん前の事は思いだそうとするが思い出せない。


 考えることも疲れ、もういいかなと思った。そして、多くの扉の中から、目にとまった扉の前で足を止める。目の前の海のような青い扉を見つめ私はふっーと、ため息を吐きゆっくりと、その扉を開いた。


 その決断が自分に多くの幸を与えることを願って。


 フードをかぶった回廊の旅人は、その長すぎる旅に終止符を打った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 

 その日の僕は駅の近くの商店でいつも通りに、おにぎりとドリンクを買おうと店に入った。ついでに何となく、お気に入りの雑誌が発売されているか見るためにその棚に近寄る。


 それがいけなかったのだろうか。


 突然、大きな音が僕を襲う。


 ガシャーン!!バリバリと音と共に車が店の壁とガラスを突き破り、目の前に迫ってきた。店内に店員とも客とも分からない悲鳴が聞こえる。

 何が起きたのか状況確認をする暇もなく、あっという間に熱さと痛みが僕の全身をつつむ。


 あっ…これ、なんか駄目な気がする。


 それから数分もしないうちに僕の意識はそこでとぎれた。

 僕の人生、短かったな…()()()()()()()()をまだまだ…いっぱい感じたかった…。





 ああ…そして今にいたる。


 次に目を開けた時、僕は訳のわからない場所にいた。


 回りは濃い霧にかこまれていて良く見えないが目の前に立派で大きな門がある。まるでそれはお城の大門のようだ。


 そう、今、僕はその門の前にいた。


 ここは何処なんだろう?そんなふうに思いながら静かに辺りを見渡す。その時、何故か体は上手く動かせなかった。

 

 近くに見えるのはお城の城門みたいな丈夫そうな門。その近くには屈強な姿の門番が両サイドに立っていた。姿はまるで鬼のようで日焼けした健康的な肌に長身で筋肉質な体。頭には立派な角が2本並んでいる。


 鬼?は二人いて対のように静かに立っていた。


  そして大事な事なので二度言うが今、何故か僕の体は動かせられない。


 手も足もでないというやつだ。鬼の二人が怖いのに体は上手く動かす事が出来なかった。もちろん逃げることなんてできやしない。


 それから…数時間たったのだろうか? 鬼に恐怖しながらも、どうにかならないものかと僕の心臓はずっとドキドキしていた。


 何も進展しないまま時間だけが刻々と進む。

 すると、そのひとりが静かに動き背中に背負っていた棒を突然握り振り下ろす。


 えっ何故…チリトリ?  そしてホウキ?


 鬼は各々が巨大なチリトリとホウキをつかみ、おもむろに門の前を掃除し始めた。


 僕は改めて周辺を見渡した。

 そこらじゅうに鈍く光る石が沢山転がっている。様子を見るに鬼は門の前を掃除しているらしい。

 客観的に見ると、その姿は滑稽だが現状を考えると笑えない。


 門の前は手入れがされていないのか?背の高い草があちこちに繁っていた。僕は動けない体で近くの草の影で息をひそめ、それを静かに見つめていた。


 そうやってやりすごすつもりでいた。


 まさか…その後すぐに自分がその鬼の持つチリトリに乗せられて運ばれるなんて、微塵も思わなかったから…。


「ブン!そっちはどうだ!」


「おお、こっちは粗方集めたぞ」


 鬼達は慣れた手付きで光る石を集め終え、僕は今そのチリトリの上で他の石に埋もれている。


「今日は魂石(こんせき)が一杯だな…これ片付けたら、さっさと草の方もやらないとだな。それにしても最近はやけに多いなぁ」


「あれだ。また、どこかの世界が滅んだんだろ!魔王か邪神辺りが暴走したんだ。本当に迷惑な話だよな」


「だよな~。俺たちの仕事がふえるから勘弁して欲しい~」


 二人は話ながら門を少し開けて中に入り奥へと進む。


「セツ、ここらでいいだろう。通行の邪魔にならなければ良いんだし」


「まあ、そうだな」


「それじゃ~それっ!!」


 バラ!バラ!バラ!


 鬼達は集めた石を森の奥深くに向けて無造作に投げ捨てる。


「よーし、次は草だな、さっさと終わらせて昼飯にしようぜ!」


「おお、そうだな」


 ギィーと重い音と共に巨大な門は閉まる。 


 巨大なチリトリ。それにのせられた大小様々な石。その中のひとつの石が森の中に放り込まれ飛んだ先で木にコツンとあたり、その下に落ちた。 


 そう、今、僕、門の中をずっと進んだ所にある木の根元にいる。


 これってあれだよね!僕、石に生まれ変わっちゃった?!


 門の中に広がる緑いっぱいの森。涼しげな風がそよぐ。鳥はさえずり虫の鳴き声も遠くから聞こえてくる。


 心なしか花の良い香りさえしそうな素敵な森。


 自分が身動きできない状態でなければ最高のピクニック日より。


 はい!僕、ずっとここにいます!


 そして、あまりに暇なので自分が運ばれてきた場所をそれとなく観察した。少し遠いけど何故か遠くがよく見える。不思議。

 それで僕は、せっかくなので時間もあることだし試しにあれを心の中で唱えてみた。


 ステータスオープン!

 はい、その結果が次の通り。


名前 なし

職業 なし(※無限回廊で職に就くと記載される)

種族 石(魂石(こんせき)(たましい)ポイントを無くした魂の宿った石)

レベル※※※(※レベル制の世界でのみ解放)


魂pt 0pt

スキル 念話(※喋らなくても相手に思いが通じる)

    超視力(※すごく目が良いでも疲れやすい)

    ステータス(※簡単な自分を知れる)

  小さな幸せ(※たまに少し良い事がある)new!


称号 優柔不断な頑固者(※特に効果はなし)


 色々突っ込みたい内容のステータスだけど。


 僕は普通の石ではないらしい。つまり回りにあった鈍く光る沢山の石も僕と多分同じ。ポイントを無くした魂なんだ!ていうか、ポイントって何?魂ってポイント制なのかいっ! 


 それに名前がないよね…僕って、うそだろ?! 

えっ、何で名前が思い出せないの僕は学生で男だったよね。


 ヤバい…自分の名前がわからん!!!

 

 まあまあ…落ち着け僕!!まず石に転生したんじゃなくて死んで直ぐにここへ来たから、ここは天国!!!いや地獄かな…だって鬼がいたし。


 あと、newついてるスキルあるし知らないうちにスキル取得してた。これっていつ取ったんだ?!


 とにかく状況把握、現状確認。あれ、ポイントって貯めた方が良いんだよね。どうやって貯めるの? 買い物するの?お店なんて無いけど。



 誰か~教えて!!!



 えーと、という事は話しかけたら他の石から反応があるのかな…。よく分からない状況を把握したいしなぁ。でも、話しかけて無反応だったら恥ずかしいし、やっぱりやめた方がいいかな…。だけどこのまま何日もここにいてひょっとしたら?何十年いや何百年もここにいることになる!?




 うーん、悩む…あと数分、数時間様子をみてから考えよう!



 そうだっ!そうしよう、それが良い。

 



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