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親友ポジのタイムリーパーは、転生ヒロインのハーレムを阻止したい 〜台本を閉じる方法〜  作者: 月乃ふくや
悪役令嬢ローゼリアの改稿編

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32/75

32.アレスの動揺〜ソフィアside〜

ローゼリアたちが教室から出て行った後のアレスとソフィア



「──アレス君、大丈夫?」


「……」


 ローゼリアとあの女たちが出て行ったあと、教室の扉を見つめたまま動かなくなったアレスに、そう声をかけた。

 しかし、彼からの返事は一切ない。

 私は、顔には彼を心配するような表情を張り付けたまま、心の中で悪態をついた。


(……まったく、なんだって言うのよ。婚約者の女に、きつく言い返されたくらいでそんなになる!?)


 遠くを見るようなアレスの目は、どこか呆けているようにも見えたが、その口がわずかに動いて何かを呟いているのが、かすかにわかった。


「ローゼリアが、あんなことを……俺に言うとは」


(チッ)


 その声を聞いた瞬間、私は慌てて声を張り上げた。


「アレス君!」


「! なんだ?」


 ようやく自分に振り向いたアレスに、にっこりと微笑む。


「……魔法の練習、してくれるんだよね?」


「あ、ああ、そうだったな」


 もともとここに来た理由を思い出させると、はっと気を取り直したように居ずまいを正すアレスだったが、その動きは緩慢だ。


(……まずいわね、まだ気を取られてる)


 今のアレスは、まるで置いて行かれた子供みたいな顔をしていた。


 私は少し考えてから、小さな声で呟いた。


「あの……ローゼリア様、怒ってたね。私には悪くないって言ってくださったけど……時々、怖い目で私のことを見てくる時があるから、ちょっと不安……」


 それは、婚約者からの仕返しを予感させ、かつそれに怯える振りで気を引こうとしての台詞だった。

 しかし、アレスは、まったくそれを気にしなかったのか、それとも気づいていないのか、私を励ましも慰めもせず頷くだけでこう答えた。


「ああ……たぶんさっきは悋気を起こしていたんだろうな。だが、あいつの言うことは決して間違ってはない。たしかに軽率だった……ここで練習をするのはやめて、屋外に行くか」


「はい?」


「なんだ不満か? だが、貴様も、まだ恋人もいない身で、俺様と下世話な噂を立てられて騒ぎになりたくはないだろう」


「……そう、ね」


(何言ってるのよ、噂を立てなきゃストーリーが進まないじゃないの!)


 しぶしぶ頷きはしたけど、心の中では悪態をついて、私は親指の爪を噛みながら、アレスの背中を追った。




 

次回【補正?やまない噂とそれでも】

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