19.条件と恋と、救える道
次は、悪役令嬢の番。台本ごといじります。
ソフィアが階段下で倒れていたのを見たあの日、
私は、彼女には要所要所で“死”の分岐が潜んでいるという予感を覚えた。
そして、それを越える鍵は、友人では足りない“恋人の守る力”だと思い、それからずっと、彼女の恋を実らせることで、遠回りに命を守ろうとしてきた。
(根拠はなかった。全部、勘)
でも今周回、ソフィアの前世の話を聞いた感じ、その想像は概ね正しかったらしい。
それが知れたことは……少し気持ちが救われた。
彼女が言うには、危機の局面までに“体力・魔力のステータス”か恋人候補との“親密度”が閾値に届かなければバッドエンド。
そのため、鍛錬に精を出しつつ、攻略キャラとの親交を深めて学園卒業と結婚を目指す、そういうゲームだったそうだから。
——そして、その初年の山が、誰のルートでも避けられない“悪役令嬢とのいざこざ”だった。
階段の事件を無事に超えて、悪役令嬢のそれまでの嫌がらせの数々を暴いて学園から追放……という“断罪イベント”。
それをクリアしてようやく、ソフィアは無事にクリスマスパーティーを終え二年次にあがる。
つまり、タイムリープ前と一周目は彼女自身の“ステータス”が足りていて大事にならなかった。二周目は仲が良かった=“親密度を上げていた”ブルーノ君が助けてくれた。でも三度目は、彼は現れなかった。……代わりに、接触頻度が増えていたはずのアレスが助けに入れなかった。“親密度”が一定のラインに足りていなかったからだ……とするなら、辻褄は合う。
じゃあ、改めて現在。ハーレムを阻止しつつ、彼女を卒業まで守り切るには、私は、何をしたらいいのか……
「── アレス様、貴族でもない者たちに構いすぎですわ。思いあがって親しくできると勘違いをされたらどうなさるの」
「俺の行動に文句をつける気か、ローゼリア」
学園の植物園。一組の男女の言い合いを茂みに隠れて聞きながら、私は小さくため息をついた。
ここから数話、悪役令嬢ローゼリア周りの改稿編が続きます。どうぞお付き合いください
次回【目立つソフィアたち】




