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新サキュレス物語02B(新統治編)  作者: 淫魔の使い
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08S.芹澤美穂

「ゴーレム使いの里」は、淫魔界と隣接しました。独自の時間の流れが有り、それは「中央神ゼビス」の創った人類世界とも、リンクしました。「神々の時間」は、人類世界とは違い「神の1日は、人間の世界で言うと、千年に当たる。」と、言われました。


宗平君は、ここに来てからも、美穂のことを、気に掛けて居ました。旧シャロンのことも、有ったので「酷いことに成って居ないか。」自分が、ちょっかいを出したばかりに「彼女を、不幸にして居ないか。」と、いつも気にしました。結論から言えば、とっくに彼女のことを、不幸にしました。彼女は、もう普通の人間では、無くなりました。バンパイヤに、噛まれた、人間のようなものでした。


芹澤美穂せりざわ・みほ」は、大家の娘でした。性格は地味で、引っ込み思案でしたので、宗平君の父親に、目を付けられました。彼の父親は「はぐれ淫魔」でした。彼女は、内向的な娘でしたが、隠れ美人で、胸も大きかったのです。彼の父親は、彼女に悪い虫が、付かないように、周りの環境を都合良く、調整しました。淫魔に取っては、こうゆう娘が、狙い目で有り、息子の宗平の、良き練習相手にしようと思い、狙って居ました。


美穂の容姿は、顔が福よかで、女性的でした。髪が茶系で、毛髪量が多くて、長髪でした。内向的な性格の為、室内で良く1人で、遊んで居ました。絵を描いたり、ゲームをしたり、ネットを見たり、好きな本を読んだり、家事は好きな方でしたが、余り外出せずに、良く近くばかりを、見て居たので、近眼に成りました。それで、家に居るときは、黒ブチの大きな眼鏡を、掛けて居ました。胸は、意外と大きめでした。着痩せをするタイプで、全体的に女性的な丸みを持つ、内向的な美女でした。


息子の宗平君は「使い魔」としては、ソコソコの能力が、使えるように成りました。後は、彼の母親の元へと、連れて行き「使い魔」としての、本格的な教示を、受けさせれば良いだけでした。息子の宗平君は、そろそろ大人に成り、性交可能な年齢に、達しました。それも有り、父親は「インキュレス(男型淫魔)」でしたので、自分の息子に、その能力の伝授をさせようと、考えました。息子も、当然ながら「淫魔」の力を、持ちました。


「淫魔」は、魔物でした。その能力は、人間の異性に憑依して、毎晩相手に淫夢を見せて、自我を弱らせて「エンタリング(夢入り)」をして「ネトリ(疑似行為)」を、行いました。そして相手の「バイタリティ(生命力)」を奪い、自分の生命の糧としました。また加減に依っては、相手の命を奪ったり、極上の快楽を、与えたりする代わりに、それを欲しさに、対象者を「悦楽の奴隷」に、変えることも出来ました。


対象者が、女性の場合は「淫魔」に、バイタリティを奪われ続けて、体内に大量の「淫魔液」を、浴び続けると、その女性は「淫魔化」しました。マスターで有る淫魔のそれを、定期的に、採取しないと、飢餓に苦しみました。またその採取が、或る事情に依り、マスターから直接、出来なく成ると、それ以外のものでも、初めは代用が出来ました。


しかし人間の体液では、少量では足りないので、取りすぎて相手を、殺してしまうことも、有りました。それは、バンパイヤに噛まれて「吸血鬼」に、成ってしまうようなものでした。しかし彼女のような「人間淫魔」では、相手の体液を、何回も抜き取っても、相手の淫魔化は、起きませんでした。


「人間界」に、捨て置かれた美穂は、自分の身体の具合が「少し変だ。」と、感じました。何かの飢餓を、感じました。初めは、我慢が出来ました。しかし、段々抑え切れなく成り、彼女の股間からは、止めどもなく愛液が、溢れ出て居ました。それはまるで、おしっこを、漏らしたようでした。自分の指で、股間を慰めましたが、飢餓の解消は、されませんでした。自分では「性欲のせいだ。」と、思いました。鏡の前で、自分の身体を見ると、身体全体から、何かを求めて居るような、異様な感じでした。とても卑猥な身体に、成って居ました。


父親が経営した、アパートの一室に、若い男の子が引っ越して来ました。父親が大家で有り、自分は、その娘でした。男の子は、真面目そうで、大人しかったのですが、いつも美穂のことを、見て居ました。彼女は、内気でしたが、美しかったので、彼女の魅力に気が付くと、大概の男は、彼女に寄って来ました。彼のことを見た美穂は、直感的に彼は「獲物だ」と、思いました。


美穂も彼に、好意が有るように、わざと誘惑しました。程良くして彼と、肉体関係を持つように、成りました。彼女は少しずつ、少しずつ彼のバイタリティを、奪いました。しかし、彼女の飢餓は、ほんの少しだけ、収まる程度でした。まだ全然足りません。何回か「ネトリ」をして、大量に彼のバイタリティを、搾り取ったときも、有りました。しかしそのときは、男の子が死にそうに、成りました。さすがに、たくさん搾り取ると、自分の飢餓の解消に、成りました。しかし、まだまだ全然、足りませんでした。


美穂も段々と、コツが分かりました。自分の飢餓は「相手のバイタリティを全部、搾り取らないとダメだ。」と、言うことが分かったのです。後日その男の子は、彼女にバイタリティを全部、搾り取られると、3日後に死にました。幸い外出中に急死したので、何も問題は、起きませんでした。


その後、このアパートに新しい住人が入って来ました。また若い男で、前の男の子と同じように、美穂のことを、いつも食い入るように、見て居ました。彼女は「この住人も獲物だ」と、思いました。いつものように彼女は、彼を誘惑すると、また肉体関係を、持ちました。今度の男は、大分、女に飢えて居ました。この男は、美穂を手に入れると、彼女が思いの他、美人で有り、胸も大きかったので、かなり興奮して喜びました。そして変態的な、性欲行為を求めました。


美穂は「面倒くさい奴」だと思い、初めから大量のバイタリティを、抜き取りました。男は大量に、生命力で有る、それを抜き取られると、急に大人しく成り、性欲が無く成りました。彼女は、この男が嫌いに成ったので、頃合いを見極めると、早めにそれを、大量に抜き取りました。男のバイタリティを、大量に抜き取ると、彼女の飢餓は、一時的に収まりました。しかし直ぐに飢餓状態に、成りました。彼も3日後に、近くの公園で、亡くなりました。これも急死でした。


美穂は、この大量にバイタリティを抜き取った後に、対象者を数日後に、死なせるテクニックを、誰かに教わったような気がしました。しかし誰に教わったのかを、思い出せませんでした。彼女の父親が、経営するアパートの住人が、続けて2人も、急死しました。さすがに彼女は、まずいと思い「暫くは、大人しくしよう。」と、思いました。しかし飢餓の苦しみが辛くて、我慢が出来ずに、家を出ました。


その後の美穂は、住み込みのソープランドに勤務して、手当たり次第に、お客の「バイタリティ(生命力)」を全部、搾り取りました。ここは、大変効率が良かったのです。彼女は、美しかったので、直ぐに人気の泡姫に、成りました。人気者でしたが、リピートが少ない、泡姫でした。それは相手が直ぐに、死亡するからでした。問題が起きそうに成ると、早めに辞めて、他店に移りました。


美穂が、お客のバイタリティを、全部抜き取っても、相手は直ぐに死なずに、数日後に亡くなるので、誰も「彼女のせいだ。」と思う者は、居ませんでした。しかし或るとき、1人の刑事が「怪しい」と思い、彼女に目を付ける者が、現れました。美穂は、この仕事に就いてから、たくさんのお客の生命を、奪いました。


しかし最近は、お客のバイタリティを、いくら吸収しても、飢餓を抑えることが、出来なく成りました。もう彼女の身体は、いよいよ限界を、迎えました。人間のバイタリティでは、全く効果が無くなり、強い飢餓に、絶えず苦しみました。容姿も醜く成り、絶えず誰かに、救いを求めるように、成りました。


「最近風俗好きの、若い男の不審死が多い。」と言って、1人の刑事が、美穂の所にまで、尋ねて来るように、成りました。しかし、彼女の「異常な容姿」を見ると、びっくりして、少し話しを聞いただけで、直ぐに帰りました。その後この刑事は、二度と来ませんでした。


「この苦しみは、病気ではない。」と、美穂には分かりました。もう自分は、美しくないので、お客は取れなく、成りました。取ったとしても、人間のバイタリティを、いくら取り込んでも、もう飢餓が、収まることが、有りませんでした。ここで働いても意味が、無く成ったのです。「助けて、助けて下さい。」美穂は、ただ只管ひたすらに、誰かに救いを求めました。「助けて、マスター・・・。」彼女の口から、自分の知らない言葉が、出ました。


「マスター?て、誰だ。」美穂は、混乱しました。「マスター?て、誰。」それでも自分の、この苦しみを、取り除いてくれるのは「マスター」だけだと、彼女はすがりました。彼女は生存本能から、その言葉を、思い出しました。「助けて下さい。マスター」・・・彼女は、助けてくれる者の名前を、呼び続けました。


美穂は、藻掻き苦しみながら何日も、ただマスターの名前だけを、呼び続けました。やせ衰えて、やがて限界が、近づきました。そして或る日のことでした。彼女は気が付くと、何時の間にか、部屋の片隅に、若い男が立って居ました。衰えた視力で、その若い男の姿を見ると、美穂は、突然「マスター!」と、叫びました。


するとマスターで有る「鹿島宗平」は「美穂ちゃん、久し振りだね。」と、話し掛けました。美穂は、自然と次の言葉が、出て来ました。「マスター何故、私を置いて行ったのですか。私もマスターの元へと、連れて行って下さい。」すると驚いた彼が、言いました。「君の記憶は、消去された筈だった。それなのに、もう思い出したのだね。それは、凄いことなのだよ。それだけ君が〝魔人化した″と、言うことだな。本当は、君は人間として、ここで最後を、迎える筈だった。少し苦しむ人生では有ったが。」


「僕が君を、巻き込んでしまったので、僕が一番悪いのだが、君は美しくて魅力的だった。君は、淫魔好みの女性だったのだ。僕は父に言われて、君に手を出したのだ。君は、純真だったので、僕に素直に、従ってくれた。僕は長い間、君を弄んで居た。その結果、君は淫魔化して、僕のファミルに成ったのだよ。君は、僕の4番目のファミルだった。ここに残って居れば、君は人間として、寿命が尽きるまで、生きることが出来たのだが。」


「君は、シャロンと同じだった。僕は悪いマスターで有り、自分の眷属を、不幸にしてしまう。彼女のことも有ったので、ここに置いておくことは、悪い選択で有ると、気付いたのだ。だからこうして、君を迎えに来たのだよ。美穂ちゃん。」


美穂は、無言で聞きました。宗平君の言うことを彼女は、理解出来ませんでした。けれども、その目からは涙が、こぼれました。そしてまた、あの飢餓の苦しみが、始まりました。「マスター早く私に、たくさんの淫魔液を下さい。」と、彼女が悲痛に、訴えました。その為、宗平君は久し振りに、彼女との長い一夜を、過ごすことに、成りました。


「鹿島宗平」は、美穂の体内に何度も、大量の淫魔液を放出すると、その都度、彼女の干からびたスポンジが、大量の水分を得たように、急激に満たされました。それに伴い、彼女の劣化した美貌が、みるみる回復しました。そして彼女は、元通りの美しい娘に、戻りました。そして何時の間にか、あの辛い飢餓も、無くなりました。また、彼女の身体は、久し振りに、大量の淫魔液を、補充出来たので、淫魔特有の「黄色い光」をまとい、定期的な発光を、繰り返しました。


やがて美穂の頭の側面には、羊のような巻き角が現れて、背中には黒い蝙蝠のような羽が、出て来ました。尻尾も出現して、その先端は、ハート型の尖った部分に、成りました。彼女は「淫魔サキュレス」に、変化すると、宗平君を見上げて「どこまでも付いて行きます。」と言うと、ゾッとするような美しい目で、彼を見ました。

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