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8話 海にて

2024年6月8日


「夏だ! 海だ! 青春だぁぁ!」


 クゼツは水着姿でそう叫ぶ。


 青く輝く波打ち際には大勢の人が太陽の光を浴びながら駆け回り、白い砂浜にはカラフルなパラソルが点在し、家族ずれが多くいた。


「クゼツうるさい」


 しかめっ面のハナは露出の少ない水着を着ている。


「お? ハナもテンション上がってんなー?」


「どうしてそうなる」


 ハナはクゼツと会話するのがめんどくさいのか、他の三人を置いて進んだ。人と関わる事が嫌いなハナは一人で行動することが多い。しかし結社の中では、特にミミとはそこまで一緒にいることを苦と思わないらしい。恐らく面白いおもちゃと思っている。


「ミミ、一応ついて行ってくれ」


「え、私がですか? 先輩は何するんですか?」


「それはもちろん、クゼツと稽古だ。この前の敗北は許されないからな、生きている時間は全て反社撲滅のために使う」


「稽古って……まぁ分かりました、ハナ先輩は私が見てるので二人は稽古とやらを頑張ってください」


 ミミはそう言いながらハナの元へ駆け足で向かった。


「ハナにいじめられるなよー!」


「んッ! 大丈夫ですよっ!」


 ビーチに響く心配する声に、ミミは余計なお世話だと叫ぶ。


 ハナの元まで走るミミを見ながら、クゼツは腰に手を当て付けていたチャラいサングラスを上げる。ハナに比べれば肌が見える水着を着ているクゼツは隣に立つヒカリの方を見ながら思う。


(だいぶ元気になったな)


 先日、二度目のキルズ敗北を喫したヒカリは、その日こそ正気を保っていたが、翌日からは敗北のショックからしばらく家から出てこなかった。そして最近やっと持ち直したところである。


 しかしその引きこもりからの反発か、家から出てきてからは今まで以上にキルズ捕獲のためできることを全てしている。むしろ詰め込み過ぎで今度は疲労で倒れそうなので今日はリフレッシュの為に海に誘ったのだが……


「んじゃやるかー?」


「そうだな、クゼツ、全力でかかってきてくれ」


「もちろん、ヒカリこそすぐ倒れんじゃねぇぞ?」


 結局やることは訓練鍛錬稽古らしい。



 ■



「輝く太陽! どこまでも広がる青い空! まさにブルースプリングをするには持ってこいの舞台!」


 kill's vampireのリーダーであるアゲハは肩くらいの長さの髪の毛をひとつに結び、魅惑的な水着を着ている。しかし子供っぽい見た目からか異性の視線はない。


「ブルースプリングってもしかしてアオハルってことですか?」


「そう! アオハルってことはつまり青春! しかしね、青春とは悪あり嘘であるんだよ」


「はー? どゆことですか?」


「こんな世の中だからね、青春もろくに謳歌出来ない、今このビーチにいきなり反社がやってくる可能性だってある。そんな中呑気に遊んでいるこの人達は何なのか? それはもちろん反社という訳ですよ。つまり悪! そして民間人と騙る嘘!」


 熱心に説明するアゲハのことを見ながら、ミナは「ただ言いたいだけなのでは」と考える。


「それでー、今日はただ遊びに来たんですよね?」


 ミナは自分の豊乳をあえて主張しない水着を着ながら、太陽に向けて手を挙げているアゲハに質問する。


「もちろん、たまには息抜きもしないとやってられないからね!」


「……いつも息抜きしてるようなもんでしょ」


 比較的露出の少ない服装のシアは辛辣につっこむ。


「私はそうかもしれないけどシアちゃんは違うでしょ? この前だって()()()()()()で疲れたでしょ?」


 ヴァイルという単語にシアは反応する。


 そう、今アゲハが言った通り『エターナルナイト』の持ち主であるウィンダー・ヴァイルを滅多刺しにしたのはシアだ。


「疲れた? 僕は殺し屋だよ、あんなジジィ一人殺すくらいなんでもない」


「でもシアさんはどうしてヴァイルさんを殺したんですか? 確かに私もヴァイルさんがあの宝石を“ただの石ころ”と言った時は私もムカッときましたけど……」


 エターナルナイトについては以前話した通り、決してただの石ころでは無い。しかしヴァイルにとってあれはただの貴重な石というだけで、なんの想い入れも無かった。それを聞いたミナはさすがに思うところがあった。


「……アゲハだって分かってたでしょ、ヴァイルがあの後結社にしようとしていたことくらい」


 アゲハは伸ばしていた手をおろし、どこか哀愁を漂われた表情をする。


「まぁね、取り返しのつかないことはやらされただろうね……てことは何? シアちゃんは結社を助ける為にヴァイルを殺したってこと?」


「僕が反社をしているのは結社に酷い目を合わせるためじゃないし、無意味な殺しもしたくないと思ってる。それでも反社をするのは【disaster】になりたいから、ただそれだけ」


 シアは吐き捨てるようにそう言うと、一人で海に向かって歩いて行った。


 シアが反社をする理由、それはdisasterという反社の王になるためだ。反社の王になってできることはただ一つであり無限にある。それは『この世を変えること』それだけである。


「ふぅー! シアちゃんかっちょいー!」


「いやーほんとですねー、憧れちゃいますよねー。てか私もそろそろ行きますか」


 シロは準備体操をするように腕を伸ばす。ずっと話していたがここに来た目的を思い出したらしい。


「よーし! みんな行くぞー!」


 アゲハの叫び声と共にシロも走り出す。そのまま海に勢いよく飛び込む。先に歩いていたが追い越されたシアは呆れた様子でアゲハとシロを見る。


「私達もどこかいきますか?」


 シアの元まで歩いてきたミナは後ろで手を組みながら聞く。ミナとシアは海に入って遊ぶつもりはないらしい。


「……そうだね、あいつらと付き合っても疲れるだけだし、適当に歩こうか」


 海の家がある方にシアは歩く。それにミナは「はい」と言ってついて行った。





「シアさんは何か好きな食べ物あるんですか?」


 気温35度、いくら薄着とはいえ歩いているだけで汗が出てくる気温の中、とりあえず店が並ぶ道まで来たミナとシア。シアは口数が多い方ではないのでミナから話しかけた。


 いつも寡黙で無表情なシアが好きなものを、ミナは愛用しているナイフくらいしか知らなかった。家では何をしているのか、学校でも一緒にいることはないため友達がいるのかも分からない、友達はいないのだろうとは思っているが。とにかく、これだけ長く付き合っているがシアのことをミナはほとんど知らなかった。


「別に、特にない。最近あんまり食欲無いんだよね」


「あーなるほど、夏は食欲湧かないですからね」


「そういう訳でも無いけどね」


 食欲が湧かない理由、それは一週間前ヴァイルを殺したからである。


 『無意味な殺しもしたくないと思ってる』とシアは言っていたが、それは嘘でも強がりでもなく本心だった。ではなぜシアは殺しをするのか、さらに、あんな惨い殺し方をするのか、その理由は”狂人のフリをする“ためである。狂人にでもならないと【disaster】になんてなれないから。


「そうですか、となるといよいよすることないですね」


 ミナは困った様子で愛想笑いをする。


「無理にする事を決める必要なんてないんだよ、ただぼーっと座ってるだけでも何かをしている事になるんだから」


「座ってるだけ……そうですね、ただぼーっとしてるだけというのも最近はほとんどしてないですし、たまにはいいかも知れませんね」


 二人は日焼けしたガタイのいい男性が経営する海の家に入り、何もすることなくただ座って海を眺める。





「よーし! じゃあシロちゃん、どっちが先にあの島まで行けるか勝負しよ!」


 プカプカ海に浮かびながらアゲハは、浮き輪を付け海を漂うシロに話しかける。アゲハが言ったあの島、ここから1キロは距離が離れている。普通の人間ならとても泳いで行こうと思う距離では無い。しかしこのふたりは普通の人間では無いのでシロも勝負に乗る。


「いいですよぉ、その代わり負けたらお昼奢ってくださいね」


「ほー、シロちゃんが私に勝てるとでも?」


「え? 逆にキルズ最強の快速に勝てると思っているんですかぁ? それはちょっと調子乗りすぎですよぉ」


 シロは付けていた浮き輪を外す。


「じゃあ早速いくよ、よーい、ドンッ!」


 アゲハのスタート合図と共に両者は泳ぎ始める。【吸血鬼の力】により二人は人外の速度で島へと近づいていく。波は穏やかで風もない。あるのは「夏」という二文字(ふたもじ)だけ。


 「楽しい!」それだけを考えてアゲハは泳いでいた。キルズを創ってからも遊ぶことはあったものの、ここまで羽を伸ばすことは無かった。


 泳ぎ初めてから約二分、二人は直径300メートル程の無人島に泳ぎ着いた。


「よーし私の勝ちですねアゲハ先輩ぃ!」


「クソーさすがにシロちゃんには勝てなかったか〜」


 勝負はやはりキルズ最強の快速であるシロの圧勝だった。泳ぎ着いたのは綺麗な砂浜ではなく、丸みを帯びた石で作られている海岸で、裸足で歩くには向かない場所だった。


「いやーそれにしても無人島なんて初めて来ましたよ〜、キルズの拠点も私の家じゃなくてここにした方がいいんじゃないんですか?」


「いやいやシロちゃんよく見てよ、いかにも不気味そうで居心地悪そうな島だよーここ?」


 アゲハの言う通り島内は生い茂る木々により不気味さが増している。さらに物騒な野鳥が円を描くように飛んでいる。まるで死体を見つけたカラスのように。


「確かにーってかよく見たら建物建ってるじゃないですか〜」


「あ、ほんとだ、建物が建ってる、建物が建ってる!?」


 こんな辺鄙(へんぴ)な場所に、怪しげなトタン屋根で作られて建物がそこには存在した。壁には何か文字が書かれているが掠れていて読むことは出来ない。それに驚いていると────


『おい! 誰だテメェら! どこから湧いてきやがった!』


 人の怒声が島に響く。二人はゆっくりと声のした方に振り向く。そこにはこの猛暑の中、死神が羽織っていそうなローブを着用している人間が岩の上に立っていた。フードは外しているので表情は見ることができるが、当然と言えば当然だが威圧的で相手を警戒するような目つきをしている。さらに、手には鋭利な鎌が握り締められていた。


「あ、すいません、ここ人いたんですねー。こんなカビ臭いところてっきり無人島かと」


 ローブ少女は岩から降りて二人から数メートルの距離まで近づく。体勢は今にも斬りかかってきそうだ。


「カビ臭いだァァ? テメェらあたしらが何者か知らねぇだろ? 私は『死神堕天使』所属『カマエル』、最恐最悪で凶悪の反社だ、その狂った嗅覚、あの世で治してこい」


 カマエルは耳に残る怒声を島内に響かせながら二人を睨む。


 アゲハは心底退屈そうに、シロはポケーっとローブ少女を眺めながら話を聞いていた。


「へー。誰もそんなこと聞いてないんですけどね。じゃあそろそろ私達も帰りますねー、まぁ反社の活動頑張ってくださいカマエルさん」


「いや待てや! さっきの話聞いてたか? 生きて帰れる訳ねぇだろ、お前ら二人はここで死ぬんだよ、なんでここまで来たのか知らねぇけどよ!」


 死神堕天使に所属しているカマエルは、相手をただの民間人と思って話していた。しかし実際は違う。


 大きな鎌を構えながら走って二人の元に向かってくるカマエルに対し、シロはつまらないものを見る目つきをしながら、カマエルを吹っ飛ばす。


「うえ? があッ────」


 パンチ一撃でカマエルは森の中へと飛んで行った。実に呆気なく、先程までの威勢はなんだったのかと理解できないほどに。


 カマエルが挑んだ相手は【吸血鬼の力】を持った怪物である。


「……シロちゃん、あれはさすがに死んだんじゃ?」


 パンチ一撃と言っても飛んで行った速度は凄まじく、あの勢いで木にぶつかればまず助からないだろう。


「まぁでしょうねぇ、でもいいじゃないですか、あいつは自分を反社だって言ったんですよ? そいつを殺すなんて社会貢献しているのも変わりませんよぉ」


「確かに反社を殺すことはそうかもしれないけど、それでも()()()()()()()……殺しは()()()()()()()()だもん」


 今までキルズは目標達成の為に何人か殺してきた。しかしそれを行ったのは全てシアである。汚れ仕事(殺し)は全てシア、それがキルズのルールである。


 だからこそ今シロがあっさりと殺しをしたことにアゲハは驚愕していた。シロがキルズに参加したいと言った理由は『楽しそうだから』、アゲハはそんなシロが面白いやつだと思って仲間に引き入れたが、まさかこれも楽しいからという理由で行ったことなのだろうかと考える。


「アゲハ先輩普段あんなに適当なのにこういうルールにはうるさいんですねぇ」


 ルールどうこうという話ではない。殺人を(いと)わない、もしかするとシロはシア以上に狂人なのかもしれないとアゲハは思った。


(いい、実にいい! 本物の反社も一人くらいいた方が有名になれるだろう)


 その後、二人は泳いで本土へ戻った。約束通りアゲハはシロに昼を奢った。





 アゲハとシロから少し離れた砂浜では、ヒカリとクゼツが殴り合いをしていた。それは普通なら野次馬が集まる程の戦いだった。しかし二人は普通では無い、【幽霊の力】によってどれだけやり合おうと気に止める者は誰もいない。


「いいじゃねえかヒカリ、結構戦えてるぞ! お前引きこもってた時トレーニングしてただろ」


「多少はな、しかしさすが結社最強の格闘家だな、ついて行くのに精一杯だ」


 二人は足場の悪い砂浜で激しい戦いを続ける。クゼツは遠慮のない攻撃をする、ヒカリは体を横に向けそれを(かわ)す。


 キルズと対等にやり合ったクゼツと戦うのは、ヒカリにとっては実戦的な訓練になっている。しかし、キルズと対等な戦いをできるようにするという考え自体が、もしかしたら誤りなのではないかと、心の片隅にはそんな気持ちもあった。


「よし、そろそろ休憩するか」


 数十分戦った二人は滝のように汗を流している。


「あそこでかき氷売ってるから、ちょっと買ってくるわ」


「ん、ありがとう」


 夏定番の食べ物を買ってきてくれるクゼツに対してヒカリは礼を言う。


 クゼツは財布を持って立ち上がり、近くのかき氷屋に向かう。


(ヒカリの好きな味は確かミルクだったか)


「おじさん、ミルク二つ……あの、あのー! おいジジイ!」


「ん、あぁ! すまんね気づかなかったよ、はい、注文は?」


「ミルク二つ」


「はいよ!」


(ったく、やっぱこの力は日常生活にはクソ不便だな)


 結社が持っている力、【幽霊の力】は影が薄くなるという地味な力だが、それはほぼ透明人間になると言っても過言ではないレベルだ。反社との戦いにおいては有利な力だが、ただの民間人にも気づかれなくなるのは厄介なものである。


「へいお待ち! ミルク二つで千円ね!」


 料金を支払ったクゼツは日陰で休んでいるヒカリの元へと歩く。


「へいどうぞ」


「ありがとう」


 二人は並んでかき氷を食べる。何の変哲もないただのかき氷だが、汗をかいた体にはとても美味しく感じた。


「……次のキルズの動きについては、何か考えはあるのか?」


 前回もキルズに敗北したが、それでも諦める訳にはいかない。結社はキルズを捕らえるまで追い続ける。


「あぁ、一応次に盗みに来そうな展示会の候補はある。まぁ詳しい話は後で話す」


 もはや言う必要も無く、ヒカリの心中は『キルズを捕らえる』という気持ち一つである。先週キルズに敗北しメンタルがやられていたヒカリであったが、今はどこか楽しんでいるかのような、まだまだ完全敗北することはなさそうな表情をしていた。


「ほーもう候補あんのか、さすがだな……」


 クゼツはどこか気の抜けた口調で返答する。太陽の光が反射する海では、とんでもない水しぶきが上がっている。一体どんな遊びをすればあんなことになるのか、クゼツはそんなことを思いながらかき氷を食べていた。





 ハナとミミはひたすらに歩いていた。


 ハナ、落ち着いた雰囲気と、凛とした目つきに黒いロングヘアはまさに優等生のなりだ。さらに露出は少ないものの、形の良い胸は男の視線を惹く。しかしなぜかナンパしてくる男が来ないのは暗殺者であるハナが醸し出すオーラのせいなのか、それとも他のせいなのか。


 一方ミミは、ツインサイドの赤髪とつり目によって何もせずとも威圧感が出ている。しかしそれを気にする人間は周りにはいない。


「…………」


 口数の少ないハナ、そしてハナのことが苦手なミミとの間に会話は生まれずにいた。


「はぁ、暑いですね、ハナ先輩」


 黙って歩く沈黙に耐えられないミミは口を開く。


「ね」


「ねって……」


 ここ最近のハナはどこか上の空だということをミミは感じていた。何を考えているのか最近はさらに分からない。


「…………どこかでゆっくりしたいよね、あの店に入ろうか」


 ふと、ハナは喋る。そしてある店に入る。そこには日焼けしたガタイのいい男が接客をしていた。奥にはハナやミミと同じくらいの年齢の少女が二人が、椅子に座って海を眺めていた。


「…………」


 ハナは黙って二人の少女の後ろ姿を見る。


「適当に座りますか、あとここで何か食べますか?」


 ミミは空いているテーブルに座る。店の奥に遮るものは無く、涼しい風が吹いてきている。


「ん、いや、お腹空いてないからいいよ。ミミは何か食べたいの? 奢ってあげるよ?」


「いえ別に食べたい訳じゃないですし奢ってもらわなくても大丈夫です。何も食べないならどうしてここに入ったんですか?」


 不思議そうに聞くミミの質問に対し、ハナは無表情で答える。


「別に、何かをしに入った訳じゃないよ、さっきも言った通りただゆっくりしたかっただけだから……あと、あの奥にいる二人の女、もしかしたら……」


「もしかしたら?」


 何かを言おうとしたが口を塞ぐ。


「いや、なんでもない。多分勘違いだと思うから」


「…………まさかあの二人がキルズなんて言うつもりだった訳じゃないですよね?」


 ミミは神妙面持ちで言った。隣に座るハナは紅い凛とした目を正面の壁に向ける。


「……まぁね。確証は無いよ、でも右に座ってる人とは先週戦った気がするし、隣の人は……()()()()()()()


「妹? ハナ先輩妹がいたんですか?」


 ハナに関してほとんど知らないミミは、もちろん妹がいることも知らなかった。なんせ自分の事は一切話そうとしないハナだ。しかし今突然の妹がいた告白を聞くに、別に隠していた訳ではなさそうだ。


「そうだよ……でも、もしも本当にあれが妹なら私はあの子を殺さなきゃいけない」


 そんなことを言いながら、ハナは再度二人が座ってる席を見る。


 そこに二人の姿は無かった。

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