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第099話 王都のギルド


 俺達は馬車が止まったので馬車から降りる。

 すると、馬車の外には一人の兵士が立っていた。


「失礼。アストリー家の馬車とお見受けしますが?」


 兵士が聞いてくる。


「アストリー家で合っていると思う。セリアの町の区長だな」

「確かにアストリー殿は区長をしておられます。あなたは?」


 表立っては会えないって言ってたし、王様の名を出すのはやめた方が良いだろうな……


「使いだ。ギルドに手紙を渡すことになっている」

「手紙ですか?」

「ギルマスに、だな」

「なるほど……わかりました」


 兵士は納得したようで頷いた。


「アストリー殿から馬車をここで預かってもらうように言われているのだが、頼めるか?」

「ええ。大丈夫ですよ。お名前をお願いします」

「ユウマだ。【風の翼】のクランに所属しているBランク冒険者だな」


 Bランクになっておいて良かったな。

 Cランクじゃ格好がつかん。


「かしこまりました。あ、ギルドはここをまっすぐ行ってたところにある武器屋を右に曲がったところにありますよ」

「感謝する……行くぞ」


 そう言って歩いていくと、他の5人もついてくる。

 そのまま町を歩いているが、やはり王都だけあって道も広く、その分、人が多いし、賑わっている。


「確かに都会だな」

「セリアの町も大きい方なんだけどねー。まあ、あれのせいで、ね」


 4つの区に分かれているもんな……


「しかし、この世界の兵士は行儀がいいな。さっきの男も区長のところの門番も丁寧だったわ」

「そりゃ、ユウマがどう見ても庶民に見えないからでしょ。見たことない服を着て、偉そうなしゃべり方だもん」

「そうか? くだけた口調を意識しているんだが」


 気を付けている。


「感謝する、なんて誰も言わないよ」

「…………姿勢も良いし、はっきりとしゃべるしね」

「上から目線だよね!」

「私は良いと思うわよ。チンピラしゃべりもへりくだったしゃべりも好きじゃないもん」


 ふーん……

 リリーの言う上から目線だけは気を付けるか。


 俺はそう思いながら歩き、門番の兵士に教えてもらった通りに武器屋を右に曲がる。

 すると、見覚えのある建物が見えてきた。

 間違いなく、ギルドだろう。


「大きいなー」

「王都だからねー」


 ナタリアが答える。


「お前らって王都出身なんだろ? ここには来たことあるのか?」

「最初の登録だけだね。登録してすぐにセリアの町に行った」

「…………王都はうるさくてね」


 王都育ちのくせにうるさいのがダメらしい。

 まあ、ナタリアは大人しいし、アリスは声が小さいからなー。

 ハリソン君頼みだったのかね?


「そういえば、ハリソン君とかには会うのか?」


 幼馴染で元仲間だろ。


「え? なんで?」

「…………頭になかった」


 幼馴染じゃないのか?


「私はこの前来た時に会ったからいいかな」


 リリーもか。

 薄情な女共だわ。


 俺は少し呆れながらもギルドに入る。

 ギルドに入ると、西区のギルドよりも広く、そして、大勢の冒険者がいた。

 しかも、受付もたくさんあり、受付嬢もその分、多かったため、誰がパメラが言っていたソニアかわからない。


「こんにちは。本日はどのようなご用事で?」


 悩んでいると、一人の年配の男が俺達のもとにやってきて声をかけてくる。


 えーっと、上から目線はダメっと……


「ソニアという受付嬢はどれだ? いや、どちらかな?」

「マスター、無理をしない方がよろしいかと思いますよ。長年染みついたものは取れませんし、アニーさんもマスターのしゃべり方が好きっておっしゃっていたじゃないですか」

「言ってない、言ってない」


 後ろでアニーが呆れたように否定した。


「そうか……それもそうだな。ソニアはどれだ?」


 改めて年配の男に聞く。


「失礼ですが、どちら様でしょう? ソニアが何か致しましたか?」

「俺はセリアの町の冒険者で名はユウマと言う。【風の翼】に所属しているBランクだが、この度、区長に王都のギルドに行けと言われてな。これをギルマスに渡してほしい。あと、これをソニアに渡せ。区長の娘からだ」


 そう言って、2枚の封筒を渡した。


「あなたがユウマ殿でしたか。ギルマスから聞いております。おかけになってしばらくお待ちいただけますかな? ギルマスに取り次いでまいります」

「頼む」


 俺達は年配の男が受付に向かっていったので近くの開いている席に腰かける。

 そのまま年配の男を眺めていると、1人の茶髪の受付嬢に声をかけた。

 すると、その女がちらりと俺を見て、笑顔で会釈をし、立ち上がる。

 そして、そのまま男と一緒に奥の部屋へ下がっていった。


「可愛らしい方ですね。でも、あれはダメですよ」


 AIちゃんが何かを止めてきた。


「一応聞く。ダメな理由は?」

「パメラさんいわく、悪女だそうです」


 あの手紙に何が書いてあるかすげー気になってきた。


「ふーん……まあ、そんなに関わることもないだろう」

「だといいんですけどねー」


 俺達はそのまま待ち続ける。

 すると、先程の男が奥の部屋から出てきて、一人でこちらにやってくる。


「お待たせしました」


 男は俺達のもとに来ると、頭を下げてきた。


「どうなった?」

「まずですが、名乗るのが遅くなって申し訳ございません。私はこのギルドの職員をしておりますケネスと申します。ユウマ殿が王都に滞在している間は私が担当いたしますのでよろしくお願いいたします」


 このケネスが担当らしい。

 てっきりあのソニアがその役目をすると思っていたんだが……


「ソニアはどうした?」

「手紙を読んでいますね。すぐに仕事に戻るでしょう」


 ふーん……なるほど。

 パメラが手を回したのか……

 ハニトラなんかに引っかからないってのに。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] この作者なら毎度のことだろうし悪女が惚れてきても安心できるなw
[良い点] はにトラ仕掛けてきた女を惚れさせて、ガチ恋させるんですねw
[一言] ユウマさんなら悪女も乗りこなせそうな包容力がありそう あるからパメラが先んじたんだろうけどw
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