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第091話 仕事再開


 朝早くにAIちゃんに起こされた俺は準備をすると、バッチリ準備が完了した女4人と朝食を食べた。

 そして、朝食を食べ終えると、玄関の前で尻尾を振りながら待つ狛ちゃんと共に寮を出て、ギルドに向かう。


 ギルドに着き、中に入ると、冒険者連中が依頼票が貼ってある掲示板の前に集まっていた。

 以前ほどの人数ではないが、かなり賑わっているように見える。


 そんな光景をちょっと嫌そうに見る女性陣を置いておいて、受付に向かった。

 受付に行くと、笑顔のパメラと受付の上でうろうろしているタマちゃんがいる。


「にゃ」


 タマちゃんは俺の顔を見上げると、前足を軽く上げた。

 そして、他所の受付嬢の仕事の邪魔をしに行く。


「よう。迷惑な子猫だな」


 タマちゃんはパメラの隣で書き物をしている受付嬢の手元でうろうろし始めていた。


「おはようございます。まあ、かわいいですよ。あと、どうせすぐに遊び疲れて寝ます」


 狛ちゃんもだが、ウチの式神は遊ぶか寝るかだな。

 まあ、平和なのは良いことか。


「そうか、そうか。しかし、賑わっているな」


 掲示板の方を見る。


「いやー、良かったです。まだ少ないように見えますが、徐々に戻ってくるでしょう」


 パメラは満足そうだ。


「人員整理がなくて良かったな」

「笑えませんねー……」

「まあ、お前は職を失ってもどうとでもなるだろうよ」


 区長の娘だし。


「そ、そう?」


 パメラに少し動揺が見える。


「……口説いてる?」

「……じゃない?」

「…………さすがは12人も奥さんがいた男」

「ユウマ、すごいね!」

「まあまあ、暖かい目で見守りましょうよ」


 うるせーなー……

 女が3人集まるとなんちゃらって言うが、AIちゃんを含めて5人もいると本当にうるさいわ。


「パメラ、無視しろ」

「う、うん……あ、それでですね、この前も言いましたが、ユウマさんはBランクになりました」


 パメラが仕事用の口調に戻った。


「どうも。それでなんだが、こっちも言ってた通り、アニーを仲間に入れた」

「本当にアニーさんをパーティーに加えたんですね」


 パメラが少し呆れながらアニーを見る。


「まあな。アニーも是非にと言っていた」

「言ってない、言ってない」


 後ろから抗議の言葉が聞こえるが、無視だ。


「これでBランクが3人、Cランクが2人ですね。あとはまあ、AIちゃんと狛ちゃんか……パーティーランクを上げる申請をします?」

「頼むわ。それと休んでいたリリーはともかく、ナタリアはBランクに上がんないの?」

「うーん、どうですかねー? Bランクパーティーとして活動して、そこそこの実績があれば自然に上がるとは思いますけど」


 そういうことなら焦る必要も催促する必要もないか。


「わかった。とりあえず、パーティーランクの申請を頼むわ。ジェフリーに今度奢ってやるって言っとけ」

「堂々と賄賂発言をしないでくださいよー」

「賄賂じゃない。パーティーランクを上げてもらったらお礼をするだけだ」

「そうですか……あなたって、貴族なだけあってそういうところがありますよね……」


 身分は関係ない。

 礼をすることは大事なだけ。


「お前もちゃんと奢ってやるからな」

「どうも……」


 こういうの持ちつ持たれつの関係が大事。


「それで今日は西の森に行くが、良い依頼はないか?」

「解禁になったばかりですからねー。良い依頼というか、とにかく魔石や薬草を持ってきてください。今なら色を付けますので」


 まずは供給の回復が優先か……


「わかった。じゃあ、行ってくるわ」

「はい。あなた方は問題ないと思いますが、お気を付けて」


 俺達はパメラに見送られ、ギルドを出た。

 そして、西門に行くと、森を目指して歩いていく。


「私を誘った理由がわかったわ」


 歩いていると、狛ちゃんの背に乗ったアニーがジト目で見てきた。


「何のことだ?」

「私が入ればBランクが3人になるからでしょ。この前、パメラと逢い引き中にそういう話をしたわけね」


 逢い引きではない。


「そういう話もしたが、お前が心配なのは確かだぞ」

「はいはい。わかったからコレクションを増やそうとしないで」


 コレクションって……


「AIちゃん、こいつらにちゃんと説明しておけよ」


 誤解がひどい。


「わかりました! マスターの誠実っぷりをちゃんと説明しておきます!」


 AIちゃんが自信満々に答える。

 あまりにも自信満々なため、ちょっと怪しかったが、任せようと思いながら歩いていくと、森の前までやってきた。


「やっぱり近くていいな」

「東の遺跡は遠いからね。私も嫌よ」


 お前は狛ちゃんに乗ってるだけだろうが。


「さて、パメラは魔石や薬草を取ってこいと言ってたが、どうする?」

「この前と同じでいいんじゃない? あんたとアリスが魔物を倒す。私達が薬草を採取する」


 まあ、そうなっちゃうか。

 俺とアリスは採取が苦手なんだし。


「あ、私は食べられそうな魔物や獣を狩るよ。それも売れるし」


 リリーが手を上げた。


「大丈夫か?」

「大丈夫! 私は森育ちだから狩りが得意!」


 リリーが自信満々にそう言うと、上空からカラスちゃんが降りてきて、AIちゃんの肩にとまる。


「もう射ようとしないよー……ごめんねー……」


 カラスちゃんの動きを見ていたリリーが落ち込んだ。


「大丈夫か?」


 リリーが心配になり、ナタリアに確認する。


「信用ない!? 大丈夫って言ってんじゃん!」

「大丈夫だよ。リリーは索敵が得意だし、本人が言うように狩りも上手」


 ナタリアが苦笑いで答えた。


「そうか……じゃあ、リリー、適当に狩ってくれ。AIちゃん、不安だからついていけ」

「やっぱり信用ない!?」

「わかりました」


 AIちゃんが深く頷く。


「ねえねえ、なんで信用してくれないのー?」


 その落ち着きのなさだよ。


「俺達は何のために一緒に行動している? 協力するためだろ」

「うん、まあ……」

「お互いを補っていこうじゃないか」

「うーん……わかった!」


 心配な奴……

 まあ、AIちゃんが一緒なら大丈夫だろ。


「じゃあ、行くか」

「うん。薬草が多いところに案内するよ。こっち、こっち」


 俺達は森に入ると、ナタリアの案内で森の奥へと歩いていった。


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