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第071話 めんどい


 アニー、ナタリア、リリーの3人は薬草を採取している。

 狛ちゃんはそんな3人の周りをうろうろしている。

 AIちゃんは腰を下ろし、ずっと地図を描いている。


 俺とアリスは塀に背中を預けながら周囲を見張っていた。


「…………暇。ユウマ、何か楽しい話をして」


 隣で暇そうにしていたアリスが腰を下ろし、杖で地面に落書きをしながら無茶ぶりをしてくる。


「お前、将来設計とかあるか?」

「…………つまんない話が来た。なんで?」


 大事なことだろ。


「クライヴは料理人になるんだろ? アニーは冒険者を引退しても薬師として働けそうだ。お前らは? 身体を使う仕事だし、いつまでも冒険者はできないだろ」

「…………冒険者はその日暮らしだからあまりそういうのを考えないんだけどね。でも、私やナタリアは魔法が使えるからそういう仕事に就くんじゃないかな? 魔法が使えれば職には困らないよ。まあ、一番は冒険者として大成してお金持ちになることかな。それで一生遊んで暮らす」


 一応、考えてはいるんだな。


「俺もそんな感じかねー? 自堕落に生きるのもいいし、世界を見て回るのもいいな」

「…………いいね。引退する最後は世界一周旅行しようよ」


 旅行ではないが、思い出作りにはいいかもな。


「どこか行きたいところはあるか?」

「…………色々あるよ。まずはリリーの実家かな? 失敗エピソードがいっぱいありそう」


 あー……


「聞こえてるよ! いっぱいあるけど!」


 やっぱりあるんだ……


「なんかそんな気がしたわ…………あ、スケルトンだ」

「…………ホントだ」


 槍を持ったスケルトンが敷地に入ってきた。


「風迅!」


 スケルトンに指を向け、術を放つと、スケルトンの足元から竜巻が起きる。

 すると、竜巻に巻き込まれたスケルトンはバラバラになり、骨が周囲に散乱した。


「…………おねーさんとの約束。それをゾンビには使わないで」


 腐肉が飛び散りそうだしな。


「しねーよ。あと、おねーさんは無理があるぞ」


 チビだし、俺より年下だ。


「…………0歳じゃん」


 アリスはそう言いながら槍を拾い、空間魔法で収納した。


「0歳でいいのかねー?」


 俺達はその後もたまに来る魔物を倒しながら3人が採取をしているのを見守っていった。

 なお、ゾンビを倒すと、ナタリアが途中で採取の作業を止め、魔石を取ってくれた。

 非常に働き者である。


 その後、昼になると、昼食を食べる。

 昼食を食べ終え、午後になると、午前中と同様に3人が採取をし、AIちゃんが地図を描く作業に戻った。


 俺とアリスは引き続き、塀に背中を預けながら見張りをし、やってきたスケルトンやゾンビを倒していく。

 もちろん、ゾンビの魔石取りはナタリアがやってくれた。


「アニー、帰りのことを考えろよー」


 昼に入り、結構な時間が経ったのでアニーに声をかける。


「暇そうねー……まあ、今日はこれくらいでいいか。よく考えたらクライヴがいないからご飯の準備をしないといけないし」

「…………そうそう」


 ずっと暇していたアリスが同意した。


「あんた、見てるだけで料理しないじゃん…………あんたらって得意なこと以外は全然できないわよね」


 アリスは料理の際も見ているだけらしい。

 まあ、そんな気はした。


「…………だって、ナタリアがやってくれるもん。ナタリアの方が上手だし」


 そんな気もした。


「俺は試みる気概はあるぞ。でも、誰も手伝えとも言わないし、それどころか厨房にすら入れてもらえないだけだ」


 何もしていないのに出禁になっている。

 というか、厨房に入ったことすらない。


「ハァ……まあいいわ。帰りましょうか」


 アニーがため息をつくと、ナタリアとリリーに声をかけた。


「そうだね。ご飯を作らないと」

「明日は休みだね」


 採取をしていた3人が片付けをしだす。


「まあ、休みでいいかー……AIちゃん、地図はどう?」


 そう聞くと、AIちゃんが顔を上げた。


「半分くらいですかねー。ちなみに、やっぱりオークはいませんでしたよ?」


 スタンピードの時の逃げたやつをたまたま見たっていうのが濃厚かね?

 もうこの辺にはいないのかもしれない。


「わかった。とりあえずはそう報告しよう」

「はい」


 俺達は帰る準備を終えると、屋敷の敷地から出て、来た道を引き返していく。


「今日でどのくらい稼いだんだろ?」


 魔物も結構倒したし、3人も色んな薬草を採取していた。


「かなりいいと思うわよ。報酬はどうするの? 私はあんたらのパーティーメンバーじゃないけど……」

「逆にどうがいい?」


 わからん。


「私は自分で採取したやつだけでいいわ。というか、ギルドで売らずに加工してから知り合いの魔法屋に売るし」

「ナタリアとリリーが採取したやつは? ついでにやってくれ」


 そっちの方が儲かる。


「当たり前だけど、お金を取るわよ? というか、数が多すぎるから時間がかかりすぎてダメね。採取した薬草は何日も持たないし」


 枯れちゃうのか。

 そりゃそうだ。


「じゃあ、ギルドで売るか」

「そうしなさいよ。売り上げが落ちて苦悩しているパメラに貢献しなさい」


 それもそうだな。

 パメラが可哀想だし、そっちの方が良いか。


「じゃあ、そうしよう」


 俺達が話しながら戻っていると、遺跡の中央にある噴水跡が見えてきた。

 だが、そこには3人の冒険者が見えている。


「あーあ、最悪……ストーカーかしら?」


 アニーがものすごい嫌な顔をした。

 他の3人も微妙に嫌な顔をしている。

 気持ちはわかる。


 何故なら噴水跡にいる3人の冒険者はサイラス、パット、リックのチンピラ三人衆だったからだ。

 そして、そんなチンピラ三人衆は俺達のことを不機嫌そうな顔で睨んでいた。


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