第262話 ないこと……?
昼食を食べ終えると、AIちゃんを置いていき、代わりにリリーと共に転移した。
そして、蜂さんに乗り込み、進んでいく。
「おー! 速い! 蜂さん、すごーい!」
リリーははしゃいでおり、すごく楽しそうだ。
「良かったな」
「リリー、はしゃぐのはいいが、落ちるなよ」
さすがにリアーヌも心配になったらしい。
「大丈夫ー! エルフはバランス感覚が良いから」
「でも、お前、ドジだろ」
「リアーヌもじゃん」
まあ……
「だから私は大人しくしているんだ」
リアーヌは俺の袖をぎゅっと掴む。
『発情しているの間違いですよねー』
寝てろ。
『カードゲームをしているんですけど、ナタリアさんが強すぎて……』
人工知能に勝つか……
「ユウマ、見て! 鳥だよ!」
リリーが飛んでいる鳥を指差した。
「射ってみ? 晩飯になるぞ」
「よーし!」
リリーが弓を引く。
「いや、飛んでいる鳥じゃないか。しかも、こっちも飛行中。無理、無理」
リアーヌが呆れたように顔の前で手を振る。
しかし、リリーから放たれた矢はまっすぐ飛んでいき、飛んでいる鳥に突き刺さった。
「嘘ぉ……」
「すごいな、リリー」
「えっへん」
リリーが胸を張ると、蜂さんが方向を変え、落ちている鳥を回収してくれる。
「リアーヌ、家に送ってくれ。残っている連中が捌いてくれるだろう」
「わかりました」
リアーヌは蜂さんから鳥を受け取ると、転移で送った。
『おー、鳥です。ナタリアさんが鳥鍋にするって言ってます』
『頼むわ』
寒いし、鍋が良いな。
「アクサ共和国なら狩りができるかもね」
リリーは迷宮よりもそっちが良いんだろうな。
唯一無二の活躍ができるし。
「そうだな。そういう仕事もあればいいし、暇そうにしているパメラや解体屋の連中も喜ぶだろう」
王都のギルドで聞いてみるか。
「リリー、鳥が1羽では足りないだろう。あそこにもいるぞ」
リアーヌが飛んでいる鳥を指差す。
「よーし!」
俺達はその後も鳥を狩ったり、話をしながら進んでいった。
そして、暗くなり始めた頃にAIちゃんからそろそろ帰るように連絡を受けたので家に帰る。
すると、パメラがタマちゃんと遊んでいたが、他のAIちゃん、ナタリア、アリス、アニーがいなかった。
「あ、おかえり」
「にゃ!」
パメラが笑顔で挨拶をすると、タマちゃんも前足を上げる。
「ああ。ただいま。他の連中は準備か?」
「うん。でも、もうすぐ来ると思うわ」
俺達はコタツに入り、一息ついた。
すると、パメラが言っていたようにすぐに4人がやってくる。
なお、アニーが皿に山盛りに積まれた鳥肉を持っていた。
「多いな……」
「あんた達がどんどん送ってくるからでしょ」
リリーが嬉しそうに狩るから……
「レイラにも分けてやれよ」
「一緒に食べるかって聞いたら1人が良いんだってさ。だから焼き鳥定食を持っていってあげた」
まあ、あいつが一緒に鍋をつつく姿は想像できんな。
「それでもこんな量か。パメラ、余ったら寮の女性陣に持っていってやれ」
「そうするわ。皆も喜ぶと思う。この時期は肉も魚も高くなるからね」
獲れないからな。
「さて、食べようか」
ナタリアが鍋に肉や野菜なんかの具材を入れていき、煮込んでいった。
そして、いい感じになったので皆で食べる。
「美味いな」
やはり獲れたては美味いし、程よく脂が乗っていて、非常に美味い。
「鍋は良いよね」
「…………リリー、ナイス」
ナタリアとアリスも美味しそうに食べている。
「ホント、すごかったな」
「狩りは得意だから」
リアーヌが褒めると、リリーが誇らしげな顔になった。
「アニーさんが入れた謎の調味料もぴりっとして美味しいですね」
「謎のって言うな。普通の調味料よ。冬はこれが良いの」
このピリッとしたのはアニーの謎の調味料か。
冬には良いな。
「タマちゃん、食べないの?」
タマちゃんの前にはパメラが取り分けた鶏肉が置いてある。
「にゃ!」
「あ、熱いのはダメか。もうちょっと冷ましてからね」
ホント、わがままな猫だな。
化け猫のお前ならいけるだろ。
俺達はその後も会話を楽しみながら鍋をつついていく。
「ユウマ、どれくらい進んだの?」
ナタリアが聞いてくる。
「蜂さんが頑張ってくれたからかなり進んだ。明日の午前中には着くと思う」
リリーが『蜂さん、すごーい!』って喜ぶもんだから蜂さんが頑張ってた。
悪い女だよ、まったく。
「じゃあ、午後から王都を回ってみる?」
「そうだな……リアーヌ、どうだ?」
「すみませんが、午後からは仕事がありますし、人と会う約束があるのです」
リアーヌはギルマスだし、忙しいわな。
「わかった。だったら午前中だけ付き合ってくれ。王都に着いたら拠点とする宿屋まで行こう」
「わかりました。それでしたら大丈夫です」
リアーヌが頷く。
「そういうわけだから王都に着いたら皆で行くぞ」
仕事は必ずしも全員でやる必要もないし、休み休みやるが、最初のチェックインとギルドに顔を出すのだけは皆でやらないといけない。
「了解」
「…………わかった」
「行こう、行こう!」
「寒くないならいいか……」
冒険者4人が頷いた。
「私は?」
パメラが聞いてくる。
「パメラは……この前もなんとかなったんだよな……」
パメラは後から一緒に宿屋から出たが、フィオレもスルーだった。
「まあ、あれだけいれば一人増えたところで現地調達したんだなって思うんじゃないですか? 実際、マスターはそういう人ですし」
AIちゃんがケラケラと笑う。
実に主想いな人工知能だ。
「パメラ、仕事がなかったら一緒に行こう」
「じゃあ、そうする。あ、推薦状も書いたから後で渡すわね」
まーた、あることないこと書いてある推薦状か。
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