第260話 フィオレ「お金を貯めよう!」
すみません。
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「ユウマー、そろそろ起きたらー?」
ナタリアの声が聞こえる。
「まだ朝だろ」
「いや、朝は起きる時間でしょ。AIちゃんも起きなよー」
「眠いでーす」
ふっ……ふふふっ。
「おい、子ギツネ、布団の中で尻尾を振るな。くすぐったいわ」
というか、お前、どこで寝てる?
さすがに目が覚めたので上半身を起こして布団をめくると、AIちゃんが足元で丸まっていた。
「寒いですー。冬眠の時期ですー」
「コタツに行けよ」
そう言うと、AIちゃんがのろのろと動き出し、そのまま這いつくばってコタツの中に入っていった。
『あれー? もちもちアニーさんじゃない? これは……』
「…………頬ずりしているのは私の足。くすぐったいからやめて」
生首になっているアリスらしい。
「もちもちアニーさんはやめろっての。あんたの頬の方がよっぽどもちもちよ」
生首のアニーが文句を言う。
「ナタリア、お茶をくれ」
ベッドから降り、コタツに入りながらナタリアに頼む。
「うん。どうぞ」
ナタリアがお茶を淹れてくれたので一口飲んだ。
「ふう……眠い」
なんで朝は眠いんだろうか?
特に冬。
「ユウマは本当に朝が弱いね」
「こっちに来てからだな。なんでかはわからん」
「疲れてるのかな? あ、なんかエントランスの狛ちゃんが寝ているところになんか色々いたけど、あれは何?」
あいつらはそのまま寝たのか。
「遅くまで人の悪口で盛り上がってたぞ」
聞こえてくるのは動物の鳴き声と悪口を言いながらきゃっきゃしてるAIちゃんの笑い声だけど。
「へ、へー……悪口は良くないね」
まあ、いつものことだ。
「ユウマ、おはよう! 朝ご飯を持ってきたよ!」
2人分の朝食を持ったリリーが元気よく部屋に入ってきた。
「悪いな。AIちゃん、飯だぞー」
「食べまーす」
AIちゃんが出てきたので2人で朝食を食べる。
「リアーヌ、パメラは?」
この場には全員いるが、パメラはいない。
「寝ているタマちゃんを抱いて仕事に行きましたよ。もう10時を過ぎてますので」
寝たなー。
「そうか。昼前には出るか」
「そうしましょう。あ、ごゆっくり食べてください」
俺とAIちゃんは朝食を食べ始める。
そして、食事を終えると、着替えて、コタツに地図を広げて相談することにした。
「どうせだからそのまま王都に向かうか」
「良いと思います。蜂さんも頑張るって言ってました」
AIちゃんがそう言うと、いつの間にかいた蜂さんが飛んで丸を描く。
「お前は良い奴だな。となると、王都はここだから南東か」
地図でリアンを指差し、なぞって王都で止めた。
「そうなりますね。蜂さんの超スピードなら半日で着くでしょう」
無慈悲なAIちゃんがそう言うと、蜂さんがリアーヌの背中に隠れる。
「お前は鬼か」
いくら式神でも可哀想だろ。
こいつら、俺のスキルでちゃんと自我があるんだから。
「鬼じゃなくてキツネでーす。ひょこひょこ」
AIちゃんが可愛らしく狐耳を動かした。
「妖という点では一緒だな。蜂さん、自分のペースで良いぞ。別に急いでない」
そう言うと、蜂さんが出てきた。
「まあ、明日には着きますか……よし、では、こんな時間になっちゃいましたけど、行きますか」
「そうだな。朝早く起きていたら今日中に着けたかもしれないが、仕方がない」
なんか女性陣がすごい見ているが、スルーして準備をすると、皆で宿屋に転移する。
そして、1階に下りると、店員の女の子と目が合った。
「あ、出られます?」
女の子はちょっと悲しそうだ。
「ああ。十分に稼げたからな。今日まで世話になった」
そう言って、腰を下ろして目線を合わせる。
「う、うん……ありがとうございました。またいらしてください」
「ああ。この町に来たら寄らせてもらう。じゃあな」
「うん。また……あ、フィオレって言います。掃除が得意です」
そういえば、名前を聞いてなかったな。
「俺はユウマだ」
「素敵なお名前だと思います」
「どうも。フィオレ、またいつか」
「はい……」
立ち上がると、フィオレの頭を撫で、宿屋を出た。
そして、5番ギルドに向かって歩いていく。
「本当に私達のことを見てなかったね……」
「顔真っ赤だったよー」
「ね? ちゃっかり名乗って、ユウマの名前まで聞き出してたし。セリアの町のユウマなら探そうと思えば探せるわよ。アピールまでしてたしね」
アニーがしゃべったのか。
「私の方をチラッと見たぞ。目が合ったし」
「…………あ、私も合った」
「私も合いましたよ。私とリアーヌさん、アリスさんを見て、いけるって思ったんじゃないですかね?」
まだ13、4歳の子なんだがな……いや、早い子は早いか。
後ろから複数の視線を感じながら歩いていき、ギルドにやってくると、中に入る。
そして、受付にいるジーナのもとに向かった。
「やあ、ユウマ、今日は全員集合だね」
「ああ。この町を発つことにした」
「だろうね。正直、こうやって全員が揃って挨拶に来てくれるのは非常に嬉しいよ。もう何度も悲壮感ある挨拶を受けてきたからね」
パーティーメンバーを失ったり、大怪我をして撤退……ここはそういう町なのだ。
「イルヴァ達もか?」
「あれは悲壮感じゃなかったね。パーティーの終わりとしてはまだ理想的な方さ」
シーラとフェリシアの結婚による解散だからな。
「俺達もだが、イルヴァ達のパーティーが抜けても大丈夫なのか?」
「ここはそういう町。また新しいパーティーが迷宮に挑むだけだよ」
ジーナも慣れたものか。
「世話になったな」
「いや、こっちの方が世話になったよ。イルヴァがどうするか聞いたかい?」
「ライズ王国の王都に向かったぞ。ロザリアと2人でやるそうだ」
「ライズね……あんたは本当に恐ろしいね」
勘違いしてない?
「元々、そういう予定だったらしいぞ。まあ、2人が抜けるのは予想できなかっただろうけど」
「そうかい。まあ、同じ国にいるなら気にかけてやってよ」
「そうする。じゃあ、俺達は行く。魔石を卸せなくてすまなかったな」
「地図で十分に稼がせてもらうよ。元気でね」
俺達はジーナに別れを告げると、ギルドを出て、門に向かう。
そして、門を抜けて町を出ると、昨日転移した位置までやってきて立ち止まる。
「さて、この辺でいいか」
「ユウマ様、これから蜂さんで移動ということはナタリア達を送ればいいですね?」
「ああ。この人数で蜂さんに乗るのはさすがに可哀想だ」
というか、無理だな。
「では、私とユウマ様ですかね? 子ギツネはどうする?」
「もちろん、乗りますとも。マスターがいるところが私の居場所です」
蜂さんはお前も帰れよって思ってそう。
「あとではちみつを買ってやるか……では、4人と狛ちゃんを送ってきますので」
「ああ。頼む」
頷くと、4人と1匹はリアーヌに群がり、消えてしまった。
「AIちゃん、フィオレをどう思う?」
「確実に来ますよ。下手をすると数年で来ます」
「子供なのになー」
「12番目の奥様は拾ってもらった8歳の頃からマスターのことをそういう目で見てましたよ。女の子は成長が早いんです」
へー……俺が8歳の頃はカブトムシを捕って、弟と夢中になってたのにな。
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