第254話 スヴェン「なんか今日はやけにむかつくな……」
翌日、朝起きて、朝食を食べると、今後のことについて、話し合いをすることにした。
なお、リアーヌは王都で仕事があるということでパメラとタマちゃんを送ったら転移で行ってしまったのでこの場にはいない。
「パメラ、やはり迷宮都市はもう撤退しようと思う」
ギルド職員であるパメラに相談する。
「私も賛成です。正直、すごい儲けでしたし、ウチのギルドもおかげさまで潤いましたが、やはり危ないところです。待っている身としては心配です」
あれだけの量の魔石を卸したからな。
嬉しい反面、怖いのは確かだろう。
AIちゃんなんか一回死んでるし。
「ああ。それでまた別のところに行こうと思う。何かないか?」
まだ冬だし、この町では稼げない。
「トレッタの復興支援か……やはり南征でしょうね」
まあ、そうなるか。
「自由都市トーリーか?」
「はい。迷宮都市を除けばそこが一番稼げます。ですが、前に言った通り……」
パメラは女性陣を見渡していく。
そして、最後にエルフのリリーを見た。
「治安的に危ない町だったな。正直、そこに行くなら俺1人で行くって考える」
「私もそうなるかなって思います。ただ、1人は危険です」
「そうだよー。皆で稼ごうよー」
リリーは反対のようだ。
まあ、全員だろうな。
「トーリーはやめておく」
「それが良いと思います。私もギルド職員として稼げる場所を提案しましたが、個人的には反対です」
だろうな。
「となると、アクサ共和国では王都か……」
最初にパメラがあげたのはこの3都市だ。
「王都はさすがに治安が良いと思いますよ。仕事も多いでしょう。それに迷宮都市リアンからはそこまで離れていません。ただ、情報がほぼないですね」
パメラはもちろん、リアーヌも行ったことがないらしい。
他の連中もないだろう。
「マスター、アクサ共和国の王都ならイルヴァさん達が詳しいのでは? 確か王都出身でしたよね? しかも、イルヴァさんは貴族令嬢です」
優秀なAIちゃんが教えてくれる。
「確かそうだったな。あいつらに聞いても良いかもしれない」
「どうせ午後から会うんだから良いんじゃない?」
生首になっていないアニーも賛成のようだ。
「メレル、アクサ共和国の王都に魔族はいないよな?」
一応の確認。
「あの辺りはロザリアの担当ですからいませんね……よく考えたらさらに南にある国の密偵達も呼び戻さないといけないよう気がしてきました」
タダ働きの可哀想な奴がまだいるのかよ。
「そうしてやれ。面倒なことになる前に魔大陸に戻らせろ」
「そうします。一回スヴェン様に相談して、私はそっち方面に行きましょうかね。密偵は貴重な戦力です」
やっぱり魔大陸の次の覇者はスヴェンになりそうだな。
「スヴェンにこっちには来るなって言えよ」
「わかってますよ。あなただけじゃなく、化け物の蛇女がいますし、もうごめんですよ」
レイラな。
頑張って修行しているスヴェンには悪いが、あいつではレイラに勝てない。
「よし、平和そうで何より。じゃあ、ちょっと午後からイルヴァ達に話を聞いてくるわ。AIちゃんとアニーで行ってくるからお前らは待機な」
その後、カードゲームをしながら過ごしていくと、昼になり、リアーヌが昼食を食べにやってきた。
そして、皆で昼食を食べたあとにリアーヌにリアンの宿屋に送ってもらう。
「それではいつものように帰る時は蜂さんで合図を送ってください。今日はギルドの部屋で書類仕事ですのでいつでも大丈夫です」
「わかった。仕事を頑張ってくれ」
送ってくれたリアーヌの頭を撫でる。
「はい……ひゃー」
リアーヌは目を押さえ、転移していった。
「あの人はいつでも通常運転ですね」
「可愛らしいじゃないか。さて、行くぞ」
「はーい」
俺達は宿屋を出ると、昨日、送っていったイルヴァ達の宿屋を目指す。
なお、アニーは狛ちゃんの上に乗っており、周囲から視線を集めていた。
「お前がこんな感じでトーリーに行ったら危なそうだな」
通りすがる人は男女問わず、二度見している。
まあ、アニーの服装もだが、犬に乗っているっていうのもあるだろうが。
「全員そうよ。AIちゃんやアリス、リアーヌは小さいし、ナタリアとリリーは人畜無害すぎ。さらってくれって言ってるようなもん」
しかも、AIちゃんとリアーヌ以外は武器である杖と弓を奪われたら対抗できない。
もちろん、式神に守らせるが、おちおち外も歩けないようなところに行きたくない。
「一応、聞くが、北のトレッタはどうだ?」
「寒い」
言うと思ったよ。
「クライブ達は元気に働いてるかねー?」
「ちゃんと仕事はやってんじゃない? でも、賭けてもいいけど、男性陣も女性陣も帰りに王都に寄って、すっからかんになって帰ってくるわよ」
まーたか。
「ウチのクランはひどいな」
「ウチだけじゃないわよ。私達みたいに目標がない限り、ほとんどの冒険者が今を楽しんでいるわ」
クライブも店を出すという目標があった気がするんだが……
大丈夫かね?
「あなた達の目標ってハーレム御殿でしたよね? よくもまあ、やるもんですよ。あなたもあなたに嬉々としてついていく女達も……」
メレルが呆れている。
「彼氏持ちは黙っててください。マスターは偉大なんです」
AIちゃんが文句を言う。
「はいはい……ユウマさん、ちゃんと私のことはお義姉さんと呼ぶんですよ」
「呼ばねーよ」
何を言いたいかはわかるが、その場合、下手をすると、スヴェンがお義兄さんになるぞ。
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