第249話 まあいっか
寮に戻り、イルヴァの話とジーナに地図を売ったことを皆に説明した。
「ふーん……金貨1000枚はすごいわね。それでイルヴァからの依頼は受けるってことでいいの?」
頬杖をついているアニーが聞いてきた。
「そうなるな。ただでさえ儲かるのにそれに金貨100枚が付いてくるんだから断る理由がないだろ」
「まあねー……じゃあ、明日にでも行く?」
「そうだな。リリー、行きたいか?」
昨日、お預けとなったリリーに確認する。
「行く行くー!」
リリーがはいはーいと元気よく手を挙げた。
「じゃあ、ナタリアとお前な……リアーヌ、悪いが、お前もついてきてくれないか?」
「私もですか? 明日は休みなので構いませんが……」
リアーヌが首を傾げる。
「ちょっと思うところがあってな。戦闘なんかはしなくてもいいから付き合ってくれ」
「わかりました。迷宮ではたいしたお役に立てませんが、お供します」
「頼むわ。よし、じゃあ、カードゲームでもしようか。おい、メレル、起きろ」
寝転がって本を読んでいるメレルに声をかけた。
「ハァ……強いナタリアさんとやればいいじゃないの」
メレルが起き上がる。
「ナタリアはわざと負けるからダメ。その点、お前とリリーは良い奴だな」
「カッチーン。魔族代表として女の敵を倒してやります」
俺達はこの日、カードゲームをして過ごした。
メレルはやっぱり良い奴だった。
翌日、AIちゃん、ナタリア、リリーに加えて、頭にタマちゃんを乗せたリアーヌと共に5-1迷宮に向かう。
そして、迷宮前の広場にやってきたのだが、露天商を見ているイルヴァ達がいた。
「おやー? あの方達も迷宮に行くようですね?」
AIちゃんが手を額に当て、遠くを見るリアクションをする。
「みたいだな」
イルヴァは鎧を着ているし、他の3人も武器を持っているところを見ると、これから迷宮探索で間違いないだろう。
「イルヴァ」
4人に近づき、声をかけた。
「やあ、ユウマ。君達も迷宮かい?」
「金貨100枚は美味しいからな」
「そうかい。レイピアをドロップした君達には期待しているよ。なんか良いものが憑いてそうだし」
キツネの加護かね?
「この前はドロップゼロだけどな」
まあ、魔石も儲かるし、パメラが笑顔になるから別にいいんだけど。
「アニーさんが悪かったのでは? あの人、運がないって言ってましたよ」
AIちゃんがそう言いながらうんうんと頷く。
「何の運だ?」
「男運。悪い男に捕まったって言ってました」
ひっどいことを言うな。
「コタツだろ」
今朝も生首だった。
「うん、コタツ」
「全然、出てこないよね」
「あとアリスもな」
なー?
「まあいい。じゃあ、イルヴァ。先に行くわ」
「ああ。私達もすぐに行く」
イルヴァが頷いたので迷宮に向かい、階段を降りていった。
「明るいし、迷宮は生きてるな」
前に来た時と変わらない光景だ。
「そのようですね。もう地図作成は不要ですし、私も戦闘に加わります」
「わかった。タマちゃんも頼むぞ」
そう言うと、タマちゃんがリアーヌの頭の上からジャンプして床に降りる。
「にゃー」
「任せるにゃーって言ってます」
「だろうな……」
俺達はタマちゃんを先頭に歩き出す。
これまでと同じようにナタリアに定期的に回復してもらいながら魔物を倒していき、魔石を拾っていった。
そして、グールが出てきたのでAIちゃんとリリーの魔法と弓で倒す。
「あ、ユウマ、何か落ちたよ!」
グールを弓で射止めたリリーが指差した。
「んー? なんだ、あれ?」
「拾ってきましょう」
AIちゃんが近づいていき、拾う。
「指輪ですね」
「売れそうか?」
「魔力は感じますし、そこそこ良い値が付くんじゃないですかね?」
ふーん……
でも、お目当ての首飾りじゃないか。
「次行くぞ」
俺達はその後も魔物を倒していくが、首飾りをドロップすることはなかった。
そして、昼になったのでセーフティエリアで昼食の弁当を食べると、食後のお茶を飲む。
「首飾り、落ちないねー……」
リリーがしょぼんとする。
「そう簡単には落ちないだろ」
「まあねー……でも、イルヴァ達のことを思うと遺品は渡したいって思うよ」
「エルフの風習みたいなものか?」
「うん。エルフは人族と違って、遺体を弔うことをしないんだ。代わりに遺品を身に着ける」
へー……
「お前もそうするのか?」
「いやー、ユウマは長生きしそうだからなー……」
褒めてるのかね?
「お前も長生きすると思うぞ」
「そうかなー?」
嫌味ではなく、絶対にすると思うわ。
「――あ、ユウマ」
声がしたので振り向くと、イルヴァ達がセーフティエリアにやってきていた。
「よう。お前らも昼休憩か?」
「まあね……」
ん? こいつらのこの微妙な表情は何だ?
「どうした?」
4人は複雑そうな表情を浮かべながらこちらにやってきた。
「依頼をしたのにごめんね。ドロップしちゃった……」
イルヴァはそう言って、首飾りを取り出す。
「あー……それが例の?」
「ああ。さっきドロップした」
運が良いのか、悪いのか……
良いのは見つかったこと。
悪いのは金貨100枚が無駄になったこと。
「良かったじゃないか。お前らの方が良いもんが憑いているんじゃないか?」
「だといいけどね……」
イルヴァが苦笑いを浮かべた。
「午後からもやるのか?」
「ちょっとだけね。でも、早めに上がるよ」
それがいいだろうな。
「そうか。俺達もそうするかな。悪いが、金貨100枚も儲けた」
「手伝ってくれてありがとう。ギルドに渡してあるからジーナから受け取ってくれ」
ちゃんとギルドを通してあるわけね。
「了解。じゃあ、俺達は探索を続けるわ」
「ああ。無理するなよ」
「それはこっちのセリフだ。帰りに罠を踏むなよ」
「わかってるってば」
俺達は片付けをし、この場を離れた。
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