表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜  作者: 出雲大吉
第6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

235/249

第235話 攻略


 俺達はさらに奥に進んでいき、魔物を倒していくが、そろそろ厳しい時間になってきそうだった。


「AIちゃん、まだか?」


 さすがにもうナタリアのことを考えると引き返した方が良い。

 それにナタリアだけではなく、アリスも結構魔法を使っているし、そもそもアリスも体力はない。


「この先をまっすぐ行けば終点です。そこまで行って、帰還しましょう」

「わかった」


 この迷宮ももうすぐ終わりかと思いながらそのまま進んでいくと、魔力を感じた。


「ん?」


 なんだ?


「マスター、いかがされましたか?」


 AIちゃんが聞いてくると、皆が足を止めた。


「んー?」


 首を傾げながら壁をじーっと見る。


「どうしたの?」

「…………壁に何かあるの?」


 ナタリアとアリスも聞いてきた。


「ちょっと魔力を感じてな……」

「そうですか? 私のセンサーには引っかかりませんよ?」

「本当に微弱なんだ。タマちゃん、ちょっと見てくれ」

「にゃ!」


 タマちゃんが俺が見ている壁をカリカリと爪で引っ掻く。


「爪とぎしてるようにしか見えない……」

「…………可愛いね」


 確かに可愛い。

 パメラやリアーヌがぞっこんになるのもちょっとわかった。


「タマちゃん、どうですかー?」


 AIちゃんが聞く。


「にゃにゃにゃー!」

「ほうほう。それは興味深いですね」


 いや、通訳。


「にゃにゃにゃん!」

「ふーむ……」


 AIちゃんが腕を組んで考え込み始めた。


「訳してよー」

「…………気になる」


 2人も気になるようだ。


「あ、すみません。マスターが言うように確かにこの先に何かあるようです。これまで以上の隠蔽魔法がかかっているうえに微弱に感じる魔力も実際はかなり大きいだろうとのことです」


 タマちゃん、よくわかるな。


「それで?」

「メレルが言っていた迷宮のコアがあるんじゃないかにゃって言ってます」


 コアか……


「ありえるな」

「私もその可能性が高いと思います。迷宮は明らかに意思があり、しかも、狡猾です。そんな迷宮が心臓を隠すならわかりやすいところではなく、ただの通路に隠すのは十分に考えられることです」


 もし、俺が迷宮でもそうする。

 手前は怖いし、隠すなら奥だ。

 でも、一番奥も怪しいからその手前付近の何でもない通路に隠すな。


「迷宮のコアと仮定して、放っておく、でいいな?」

「はい。やはり迷宮は残すべきでしょう。後の人が困りますし、睨まれるのも嫌です」


 昨日、決めた通りだな。


「よし、スルーして、奥に行こう」

「ですね」


 俺達はこの場をあとにし、奥に進んでいく。

 すると、行き止まりだったのだが、宝箱が置いてあった。


「2つ目か」


 運が良いな。


「きっとスルーしてくれた迷宮さんのお礼でしょう。タマちゃん、罠は?」

「にゃー」

「よしよし。では、私が開けてきます」


 どうやら罠はないらしく、AIちゃんが宝箱に近づく。

 そして、腰を下ろした。


「お宝と女はー、ぜーんぶ、マスターの物だー!」


 AIちゃんが野盗みたいな掛け声で箱を開ける。


「………………」


 AIちゃんは箱の中を見たまま何も反応しない。


「どうしたー?」


 AIちゃんが箱の中身のものを取ると、こちらに戻ってきた。


「…………はい」


 AIちゃんが握った小さな手を差し出してきたので手を出す。

 すると、俺の手の中にコインが見えた。


「銅貨?」


 しかも、1枚だ。

 安い……


「マスター、迷宮を始末し、高い魔石を持って帰りましょうか……」


 AIちゃんが真っ黒な笑みを浮かべ、提案してくる。


「やめとけっての。死んだ冒険者の持ち物が出てくるんだから銅貨だって十分にあり得るだろ。そういうこともある」


 迷宮はナイフが落ちることもあれば、金貨80枚の杖が落ちることもあるのだ。


「ぜーったい、嫌がらせですよ! 殺しましょう! 偉大なる金狐様のご子息である如月家当主たるマスターへの侮辱です! 死あるのみ!」

「放っておけ。許すのもまた人の道だ」


 当主ならそういうのも大事だ。

 じゃないと、どっかの孤独な蛇になってしまう。


「マスターが許す……この迷宮さん、メスなのかな……?」


 なんでだよ。


「いいから帰るぞ」

「はーい」


 俺達は来た道を引き返していった。

 だが、行きとはまったく異なり、罠が1つもなかった。

 多分、AIちゃんにビビったと思われる。

 そのおかげもあり、帰りは楽に戻れ、夕方になる前には迷宮を出ることができた。


「罠がなかったね……」

「…………うん。見事に」


 外に出ると、ナタリアとアリスが俺をじーっと見てくる。


「AIちゃんが脅すから迷宮さんがビビったんだろ」

「絶対に庇ってくれたマスターに惚れたんですよ」


 んなわけねーだろ。

 だったら帰りで遭遇した魔物から良いものが出るわ。

 魔石だけだったじゃねーか。


「そんなことより、地図は完成したか?」

「はい。バッチリです。金貨100枚は踏んだくってやりましょうね」


 そんなに取れるかね?


「ユウマ、まだちょっと早いけど、どうする?」


 ナタリアが聞いてくる。


「そうだなー……行きたいところでもあるか?」

「うーん、買い物? でも、リリーも連れていってあげた方が良いしなー……」


 あいつ、好きだもんな。


「…………ユウマ、5-5迷宮を見に行かない?」


 アリスが袖を引っ張ってくる。


「5-5? 5番ギルドの最難関か?」

「…………うん。5-1迷宮も終わったし、一番すごいところがどういうところかだけでも見に行こうよ。別に中は入らなくてもいいからさ」


 うーん、ちょっと時間が余ってるし、覗いてみるだけなら行ってみるか。


「じゃあ、そうするか」

「…………れっつごー」

「「ごー」」


 ごー。


新作も投稿しております。

読んでもらえると幸いです。(↓にリンク)


よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【予約受付中】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

【販売中】
~書籍~
最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜(1)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
5-1だからコイちゃんか
迷宮にも穴はあるんだよ
迷宮さんとかいう新たなキャラクター
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ