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第232話 えー……やだぁ


 市場に到着すると、俺とメレルはナタリアとリリーが相談しながら種を選んでいるのを見ていた。


「メレル、どれくらいいるの?」


 ナタリアがメレルに聞く。


「いっぱい!」

「いや、さすがにそれは……」


 そもそもこの店にそんなに数はないだろう。


「メレル、種ならいくらでも送ってやるからまずは試してみろ」


 リアーヌの転移があるからメレルがわざわざ来なくても種を運ぶくらいは楽にできる。


「そう? じゃあ、お試しの分だけでいいや。いけそうだったらいっぱい買う」

「お前、金持ってんの?」


 向こうの金貨はこっちでは使えんぞ。


「魔石をあげる」

「まあ、それなら……ナタリア、リリー、数はいいから種類を多めにしてやれ」

「それがいいね」

「えーっと、じゃあ……」


 2人が種を選んでいく。


「良い人達……殺そうとしてごめんなさいね。でも、悪いのはドミクのバカだから私を恨まないでください。私は渋々だったの」


 こいつ、本当にいい性格してるわ。


「そんな感じだったっけ?」

「ユウマがいなくなってチャンスだからついでに殺すみたいな感じだったような……」


 ついではひどい。


「気のせいです。女の子ができたらナタリーって名前を付けますね」


 メレルが笑顔でうんうんと頷いている。


「お前は長生きしそうだな……」


 俺達は種を購入すると、夕食の買い出しも行い、寮に帰った。

 そして、メレルがナタリアとリリーと共に厨房に行ったので部屋で待つ。

 部屋ではすでにアニーも起きており、薬を作っていた。


「ふーん、魔大陸ではそんなことになってんのねー……」


 寝ていたアニーに説明すると、思案顔になる。


「とりあえず、こっちへの脅威は当分、ないと思う」

「レジスタンスは攻めてこないだろうしね。でも、新たなる勢力ができかけているわけだ」


 アニーもわかったようだ。


「スヴェンな」

「レジスタンスとどっちが強いかしら?」

「レジスタンスなんて雑魚だろ。それに加えて人望も失っているっぽい。スヴェンには勝てないだろうな」


 あいつ、フォルカーほどじゃないけど、ドミクよりかは強かったし。


「メレルもいるのが大きいわよね。レジスタンスのことに詳しくて、隠密行動に長けている」


 というか、あいつが強すぎる。

 頭を暗殺して終わりな気がする。


「まあ、安心なのはスヴェンが脳筋なことだな。軍を率いるとか苦手そう」


 実際、あいつは森でも単独行動だった。

 さらには大事な時に修行をして、仕事を放棄するという協調性のなさ。


「メレルもこっちに攻めてくるのは反対してくれるでしょうしね」


 あいつ、ロクな目に遭ってないもんな。


「だな。リアーヌ、このことを陛下に伝えておいてくれ」

「わかりました」


 俺達はその後もゆっくりと休みを満喫していると、夕方になり、3人が夕食を持ってきてくれた。

 メニューは芋料理が中心であり、ナタリアとリリーがメレルに教えながら作ったと思われる。


「うーん、美味しいわ……やはり食事に関してはこっちの大陸の方が断然良いですね」


 アニーの隣に座っているメレルが料理を食べながらしみじみと頷いた。


「作れるようになったか?」

「ええ。簡単なものを教えてもらいました。これなら脳筋のバカ共で作れます。もっとも、スヴェン様は作りませんけどね!」


 メレルがドヤ顔になった。


「あっそ。リアーヌの転移で送ってやるから飯食ったら帰れよ」

「もうちょっといさせてくださいよ。料理を勉強したいんです」


 泊まる気か?


「またコタツで寝るのか?」

「さすがにそれは迷惑でしょ。外のソファーを貸してください。わんちゃんと寝ます」


 エントランスの休憩スペースか。


「寒くないか?」

「私は寒さに強いですし、これくらいなら問題ないですよ。あ、でも、毛布を貸してください」

「それくらいなら別にいいけど……言っておくが、俺達は明日からも仕事だからな」


 蛇に食われても知らんぞ。


「あ、そういえば、アクサで何をしているんです? 新しい奥さんを探しているんです?」


 こいつも俺のことをそういう目で見てるんだな。


「そんなわけないだろ。この辺は冬になると仕事にならんから遠征しているんだよ。迷宮だな」

「ほう、迷宮! 魔大陸にもありますよ。いっぱい魔石が採れるところです」


 魔大陸にもあるのか。


「魔族も稼いでいるのか?」

「そこそこですかねー? 魔石は燃料になりますから足りなくなったら採りに行く感じですね。ウチの山にもあるんですよ」


 へー……


「なんであんなのがいるんだろうな?」

「ん? そりゃそこにあるからでしょ。迷宮だって生きてますから必死なんでしょう」


 ん?


「迷宮って生きてんの?」

「魔物の一種ですからね」


 魔物……


「お前、詳しいな。ちょっと聞かせろ」

「はぁ?」

「あれってどういうものなんだ? なんで魔石を出す?」

「魔石を出して、人を誘っているんですよ。そうやって魔力を吸収します。中には魔物を出して、殺してくる迷宮もありますね」


 魔力を吸収……


「え? 吸われてんの?」

「そうですよ。迷宮の中に入ると、少しずつ魔力を奪われます。そうやって迷宮は栄養を摂取し、排泄物を出すんです」


 排泄物って……


「まさかその排泄物が魔石か?」

「そうなります」


 うんこじゃん。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

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