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第229話 ハーレムは政治と一緒


 家に帰ると、今日も夕食が準備されていた。

 どうやらAIちゃんが蜂さんを通じて、リアーヌとパメラに頼んだらしい。


「悪いな、2人共」

「ありがとうございます」

「…………助かる」

「私、パメラもリアーヌも好きだなー」

「迷宮から帰ってご飯を作るのはちょっとね……」


 ホント、ホント。

 まあ、俺は作らせてもらえないけど。


「にゃー」


 タマちゃんがパメラの方を向き、前足で自分の顔を指す。


「あ、もちろん、タマちゃんの分もあるよ」

「にゃ?」


 タマちゃんが首を傾げた。


「うん。魚。好きだもんね」

「にゃ」

「ちゃんと牛乳も持ってきたよ」


 すげー……

 会話ができてる……


 ちょっと呆れながらもパメラとリアーヌが作ってくれた夕食を食べる。


「リアーヌのおにぎりも美味いが、パメラの料理も美味いな。というか、綺麗だわ」


 彩も鮮やかである。

 これは慣れた人間の料理だ。


「寮では持ち回りで作ってるからね」


 絶対にリアーヌはやってないな。

 というか、やらせてもらってないな。


 俺達は話をしながら食事を続けていき、食事を終えると、一息つく。


「なんかご飯食べたら急に疲れが出てきた……」

「…………実は私も」


 俺もなんか疲れてきた。


「え? そう?」

「あんたはいつでも元気だからね」


 まあ、リリーはな。


「これがセーフティーエリアの罠か?」


 AIちゃんに聞く。


「はい。迷宮は洞窟ですし、あのような所ですからストレスや疲れは普段の冒険よりも来ます。ですが、それを感じさせない魔法があそこにはかかっているのです」


 本当に厄介だな。


「ナタリア、今後は定期的にヒールを使ってくれ。あそこでは自分の判断が信用できない」

「わかった」

「それと明日は休みでいいな?」


 休みを決めるのはナタリア担当だ。


「うん。休みにした方が良いと思う。明日はゆっくりしよ」


 無理をするところではないしな。

 屋敷を建てるという目標も必須ではないし、急いでいるわけでもない。

 死ぬとは言わんが、誰かがケガをしてまで得るものでもないのだ。


「あ、ユウマさん、昨日の成果の精算をしたわよ。魔石はどれもBランクで1個当たり金貨5枚。これに色を付けて金貨6枚にしたから合計金貨48枚ね」


 パメラがそう言いながらコタツ机に金貨を置く。


「すごいな……ちなみにだが、今日も成果がある。AIちゃん」

「はーい」


 AIちゃんが魔石を並べていった。


「またすごい数ね……」


 次々と出てくる魔石を見て、パメラが驚く。


「今日は丸一日使ったからな」

「えーっと、32個か……同じく1個金貨6枚だとすると、金貨192枚ね」


 すごいわ。


「それに加えて、他のドロップ品が金貨120枚と銅貨5枚だったな」

「私が勧めたんだけど、迷宮都市はすごいわ……」


 ホントにな。


「俺もびっくりだわ。でも、やはりあそこは毒だ。今日、他の冒険者の話を聞いたが、長居は禁物っぽい」

「ええ。そうした方が良いわ。稼げるところは他にもあるし、無理はしてほしくない」


 待っているパメラはそう思うわな。


「わかってる。一気に稼いでのんびり生活に戻るわ」

「ユウマさんはそれが良いと思います。あなたは放っておくとずっと働きそうな気がしますし」


 まあ、前世は休みなんかなかったしな。


「にゃにゃにゃ」


 タマちゃんがまたもや自分の顔を前足で指す。


「タマちゃんも頑張ったの? 偉いね」


 パメラが満面の笑みでタマちゃんを撫でた。

 ものすごい甘やかされているのがわかる。


「にゃー」

「よしよし」


 俺達はその後も話をしながら過ごしていく。

 しかし、ナタリアとリリーは明らかに眠そうだった。

 そして、アリスに至ってはいつもの生首で寝ていた。


「お前ら、寝ろ。さすがに疲れただろ」

「うん……ちょっと眠いかも」

「急に来たね」


 俺でも疲れを感じるくらいだし、こいつらはもっとだろう。


「アリスを連れて、上に行け。明日また話そう」

「うん。アリス、起きて」

「自分の部屋で寝よーよー。コタツは風邪引くよ?」


 2人がアリスを起こす。


「…………ここが私の部屋」


 違うね。


「アリス、今日はちゃんと寝ないとダメだよ」

「…………わかったー」


 アリスが起き上がると、ナタリアとリリーはアリスを連れて、自室に戻っていった。


「私達も帰るか」


 リアーヌがパメラを見る。


「そうですね。タマちゃんがあくびをしてますし」

「タマちゃんも疲れたんだろうな。ユウマ様、私達もこの辺で帰ります。明日はフリーですのでまた来ます」


 パメラがタマちゃんを抱えると、2人が立ち上がった。


「じゃあ、明日な」

「はい」

「おやすみなさい」


 2人は転移し、帰っていった。


「風呂に入ってくるわ」


 立ち上がると、風呂に行き。湯船に浸かっていると、今日の疲れが取れていく感じがし、それと同時に眠気も襲ってきた。

 そして、風呂から上がると、アニーがまだおり、休んでいた。


「お前は寝ないのか?」

「私はまだ眠くないし、ここにいる」


 ふーん……


「マスター、飲まれますか?」

「そうだな。アニー、お前も飲むか?」

「飲む。明日は休みだし」


 飲み過ぎないようにしないとな。

 アニーは酔うとそんなに強くないくせに止まらなくなるから。


「取ってきますねー」


 そう答えると、AIちゃんが部屋を出ていき、すぐに戻ってくる。

 そして、乾杯をすると、ワインを飲み始めた。


「あんたさー、本当にあの4人を狙ってんの?」


 アニーがジト目で聞いてくる。

 イルヴァではなく、4人をまとめる辺りが俺の信用のなさを現している。


「それなー……AIちゃん、ちょっといいか?」

「ほえ?」


 気配を消して、部屋を出ていこうとしているAIちゃんを止める。


「ちょっと来い」

「はーい、何でしょう?」


 AIちゃんがいつもナタリアが座っている俺の正面にちょこんと座った。


「お前、俺のためにあの4人をどうにかしようと思っているだろ?」

「はい。マスターが好きそうな子だなーと思いまして」


 俺の好きそうな子ってどんなんだろ?

 まあいいか。


「やめろ」

「え? なんでです? 今日だって、タマちゃんを使って、皆さんの名前を聞きだしたじゃないですか」

「あんた、そんなことしてたの?」


 アニーがまたもやジト目で見てくる。


「それは違う目的があったからだ」

「ふーん……」


 信用なし。

 まあ、これについては俺が悪いのはわかっている。


「ちょっと確認したいことがあってな……とにかく、あの4人をどうにかしようとするのはやめろ。ついでに宿屋の娘もな」


 多分、この子ギツネはあの子も狙っている。


「はーい……でも、なんでです?」

「アニー、ちょっと耳を塞いでろ」

「はーい」


 アニーは棒読みでそう答えると、ワインを飲んだ。

 なお、耳を塞ぐ気配はない。

 まあいいか。


「AIちゃん、俺が今後、何人の女性を囲うかはわからない。俺にそんな気はないが、未来のことは誰にもわからないからな」

「んー? まあ、はい……」

「ふっ……」


 AIちゃんが無理無理って顔をし、アニーが鼻で笑った。


「いや、本当のことだから。今でも12人ってバカじゃねって思ってる」

「はい……でも、あなたはそういう人です。実際、すでに6人も囲っています」


 バカなハーレムパーティーな。


「それだ。いいか、AIちゃん、人というのは非常に難しいんだ。許容できるラインがある。これを超えたら人間関係は簡単に崩壊するんだよ」

「人と書いて女性……」

「私達のことよね」


 男女問わずのことだが、もうそれでいいよ。


「仲間を増やすのは慎重にならないといけない。たとえば、町の人やこのクランの人間ならアニー達も仲良くできる。でも、知らない他所の国の者が急に仲間になるのは非常に難しい。確実に派閥ができる」

「派閥ですか……」

「ああ。わかりやすくライズ王国派閥とアクサ共和国派閥だな。前にも言っただろ? こいつらが俺の愚痴を言うのはいい。実際、3階では愚痴ばっかりだろう。でも、女同士が争うのは良くない。それは遅かれ早かれ崩壊する」


 派閥はそれがより厄介になる。

 人は集まると罪悪感が分散しやすくなるからだ。

 だから敵対すると、何をするのかわからなくなる。


「それが起きると?」

「こいつらはイルヴァ達をよく思っていない」

「語弊があるわね。そもそも知らないからどうでもいいのよ」


 そう言うアニーを見たAIちゃんが気まずそうな顔をした。


『すみません……私が間違っていました。泥棒猫って聞こえました……』


 俺も聞こえた。


『AIちゃん、今はデリケートな時だ。例えばの話だが、俺がこいつらと結婚し、子供ができたとしよう。そうしたら余裕もでき、こいつらも仕方がないなーと思えることもある。もしくは、イルヴァ達と交流し、仲が良くなったらありえる。でも、今はない。時期尚早だ』


 そもそもそんな気はないんだがな。


『わかりました』


 AIちゃんも納得したようだ。


「アニー、ほら、飲め」


 アニーを手招きし、グラスにワインを注ぐ。


「ありがと……」


 その後も飲んでいき、アニーの機嫌を良くしてから就寝した。


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さすがプロは違う 迷宮編なんか思ったより早々に終わりそうだな。。。
急いては事を仕損じるって言うしね!
ん これは一族の長でハーレム王だな!
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