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第222話 がーん!


 シミターを売り、ギルドを出ると、ジーナが言っていた南の方に向かう。

 すると、北とはまるで違うレベルで人がおり、ものすごい賑わいを見せていた。

 色々な店もあったし、中には怪しい露天商もおり、異様な雰囲気がする場所だった。

 しかも、そんな店に並ぶ商品を見て、リリーが目を輝かせていたため、非常に危なかった。


 俺達はそんなリリーを止めながらも店を見ていき、いかがわしいエリアの手前で引き返した。

 そして、宿屋に戻ると、AIちゃんがリアーヌについている蜂さんに念話する。


「マスター、リアーヌさんは現在、ちょっと頑張っておられるのでもう少し待つべきであろうと蜂さんが言っています」


 仕事がそんなに忙しいのかな?


「わかった。じゃあ、ちょっと休むか」


 俺達はソファーに座り、一息つく。

 そして、30分ぐらい待つと、リアーヌがやってきた。


「お仕事は終わりましたか?」

「ちょっとその辺も話すわ。パメラは?」

「夕食を準備してくれました。帰りましょう」


 そういや休みか。


「わかった。頼むわ」


 俺達はリアーヌに触れ、寮の俺の部屋に戻る。

 すると、コタツ机には料理が並べられており、パメラが定位置に座って待っていた。

 なお、その横でタマちゃんが魚をかじっている。


「おかえりなさい」


 パメラが笑顔で迎えてくれる。


「ああ、ただいま。わざわざ料理を作ってもらって悪かったな」

「いいの。待つだけだしね」


 俺達は靴を脱ぎ、それぞれの定位置に座った。


「疲れたねー」

「…………料理作ってくれるのはすごくありがたい」

「これから作るのはちょっとね」

「昼がちょっと早かったからお腹が空いたわ」


 俺達はパメラが作った料理を食べることにした。

 俺はまず目の前のおにぎりを手に取って、じーっと見る。


「ど、どうかされましたか?」


 隣に座っているリアーヌが不安そうな顔で見上げてきた。


「俺の前世でおにぎりと呼ばれてたものだな。お前の世界にもあったか?」

「ええ。稲作が中心でしたし」


 本当に俺が生きていた世界とリアーヌの世界は近いな。


「ウチではこれに海苔を巻いていた」

「ウチもです。でも、海苔ってこの世界にないんですよ」


 そうなのか……


 俺は一口おにぎりを食べる。


「美味いな」


 塩気が利いていて、非常に美味い。

 まあ、塩おにぎりが不味いわけがない。


「そ、そうですか」


 リアーヌがほっとしたように頷いた。


 やはりこのおにぎりはリアーヌが握ったものだ。

 料理ができないリアーヌの渾身の一作だろう。

 だから蜂さんがちょっと待てと言ってきたんだ。


「…………チビマス、顔真っ赤」

「うるさい。黙って食え」


 俺達はリアーヌが握ってくれたおにぎりとパメラが作ってくれた料理を食べていく。

 アニーが言うように昼食がちょっと早かったことと迷宮と店を回ったことでの疲れもあり、あっという間に平らげていった。

 そして、夕食を終えると、ナタリアが淹れてくれたお茶で一息つく。


「ユウマ様、本日はどうでした?」


 リアーヌが聞いてくる。


「良い報告と悪い報告のどっちがいい?」

「では、良い報告を」


 良い報告が先ね……


「そうだな……まずシミターっていう剣を手に入れたからギルドに売った。金貨50枚だと」

「50……」

「すごいわね。さすがは迷宮都市……」


 リアーヌとパメラが驚いた表情になった。


「それと魔石だな。AIちゃん」

「はいはーい」


 AIちゃんがコタツ机に魔石を並べていく。


「すごいのう……」

「はい。詳細に見なくても高ランクの魔石ってわかります」


 パメラが魔石を1つ取り、じーっと見始めた。


「どうだ?」


 リアーヌがパメラに聞く。


「ランクは最低でもBですね。金貨5枚かと……」

「そうか」


 金貨5枚……魔石は8個あるから金貨40枚だ。


「ちょっと潜っただけで金貨90枚か」


 すげーわ。


「やはり迷宮都市はすごいですね」

「うむ……世界中の冒険者が集まるわけだ。ユウマ様、悪い報告も聞いておきたいです」


 悪いのは多いんだよなー。


「迷宮の難易度が想像以上に高かった。この成果は1時間ちょっとになる。つまりそれだけ潜って引き返したわけだ」

「1時間ちょっとでこれですか……しかし、それだけ難しかったというわけですね? でも、ユウマ様の敵などいないでしょう?」

「魔物も強かったが、確かに敵ではない。それ以外の要素が大きい。特に罠だな」

「罠? 子ギツネのサーチでどうにかできるのでは?」


 リアーヌがそう聞いてくると、AIちゃんが落ち込んだ。


「すみませーん。役立たずでーす……」

「どうした、子ギツネ?」


 リアーヌがちょっと引いている。


「引き返した最大の理由だが、AIちゃんが落とし穴に落ちて死んだ」

「え? いや、生きてますけど……」


 AIちゃんがドヤ顔だ。


「AIちゃんは大蜘蛛ちゃんとかと同じ式神だ。死んでもまた式神を出せば復活する」

「そういえば、そんなことを言ってましたね。しかし、子ギツネが死ぬということは罠を看破できなかったということですか……」


 AIちゃんがずーんっと沈んだ。


「ユウマさん、迷宮は確かに儲かりますが、危ないならやめた方が……」


 パメラが止めてくる。


「まあ、待て。AIちゃん、インストールの結果を教えてくれ」

「はーい……」


 元気出せよ……

 こう言っては何だが、お前って便利でとても役に立つうえに可愛いんだけど、ドジだし、ちょいちょいやらかすだろ。


お読み頂き、ありがとうございます。

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ちょい前も燃え尽きましたね
AIちゃんがこうだとすると 実は完全無欠のははうえも…
リアーヌ乙女可愛い
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