表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

215/241

第215話 効果てきめんの推薦書


 ギルドの中は吹き抜け構造の2階建てのようでかなり広く、セリアの町や王都のギルドよりも大きい。

 丸テーブルが10卓近く置かれており、そこで話し合っているいくつかのパーティーっぽい冒険者達もいる。

 冒険者達はギルドに入ってきた俺達をチラッと見たが、すぐに話し合いに戻った。


 そんな丸テーブルの奥には受付があり、5人の受付嬢が座っている。

 俺はその5人を見比べる。


「一番右がマスターの好みじゃないです?」


 一番右の受付嬢は若いうえに可愛らしいと思うし、座っていてもスタイルが良いのがわかる。


「あれは既婚者だ」

「……少々、お待ちを」


 AIちゃんが小走りで一番右の受付嬢のところに行き、話し始めた。

 受付嬢は笑顔で対応しており、うんうんと頷いている。

 すると、話を終えたAIちゃんが戻ってくる。


「先日、結婚されたそうです……」

「だろ?」


 見ればわかる。


「……その女を探す嗅覚にはお母様もびっくりでしょうね」


 AIちゃんがものすごく呆れている。


「表情や雰囲気でわかるわ。な?」


 後ろの女性陣を見たが、全員が一斉に首を横に振った。


「確信して言えるけど、あんた、私が既婚者だったら絶対に声をかけてないでしょ」


 アニーがジト目になる。


「確かにしないが、それは旦那さんに配慮してだぞ。他意はない」

「はいはい……一番左にしておきなさい。多分、お偉いさんよ」

「そうだな……」


 アニーの言う通りだと思う。

 一番左の女性は年配なのだが、他の4人とは微妙に距離がある。

 間違いなく、上司だ。


『マスター、一番右はダメかもしれませんが、他の女性もお綺麗ですよ?』


 AIちゃんが念話を使ってくる。


『お前が俺のために女を集めているのは理解しているが、ギルドの受付嬢はやめろ。軋轢を生む』

『パメラさんですか?』

『人はな、違うタイプで差がつくのは納得するが、同タイプだと納得できないんだ』


 というかね、この都市で得た魔石はパメラに卸すことになっている。

 こっちの受付と仲良くしたら面倒なことになるのだ。


『なるほど……さすがはプロフェッショナル。同タイプの女性はケンカしたり、不満を持ちやすいから良くないわけですね』


 人って言ってるだろ。


「また内緒話してる……」

「…………きっとものすごく高度な話だろうね」


 ナタリアとアリスが顔を見合わせた。


「嫌味を言うな。行くぞ」


 俺達は一番左の年配の受付嬢のもとに向かう。


「いらっしゃい。見ない顔だね」


 受付嬢が声をかけてきた。


「今日、着いたんだよ。ユーズ王国の冒険者だ」

「はいはい。ユーズね。この時期はよく来るよ」


 遠征する冒険者も多いって言ってたしな。


「門番からここを勧められてきたんだが、迷宮というのは初めてでな。少し話を聞きたいんだが、時間はあるか?」

「初めてね……その前に冒険者カードを出しな。全員分な」


 そう言われたので冒険者カードを提出し、後ろの女性陣も提出した。


「ふーん……あんたがAランクで4人がBランクか。このおチビちゃん2人はGランクね」


 受付嬢がAIちゃんとリアーヌを見ると、AIちゃんがピースする。


「その2人は気にしなくていい」

「まあ、好きにすればいいが、門番がウチを勧めたのもわかるね。AランクにBランクが4人はすごいよ」


 すごかろう?


「ああ。それとこれがウチのパーティーランクの証明書になる」


 パメラにもらった証明書を渡した。


「ふむふむ。パーティー名は如月……ランクはBか。まあ、そんなところだろうね。でも、Bランクの4人は魔法使い。あんたも見慣れない格好をしているけど、魔法使いに見える。バランス的には大丈夫なのかい?」

「俺は接近戦もできるから問題ない」


 あと狛ちゃんがいる。


「武器を持ってないようだけど?」

「その辺の説明もいるのか?」

「アドバイスがいらないなら言わなくてもいいよ。そういうのも含めて自己責任さ」


 こいつ、絶対にお偉いさんだな。


「お前、名前は?」

「ここを仕切っているジーナだ。言っておくが、既婚者だよ」


 仕切っている……

 ギルマスか。


「そうか……それは残念だ」

「なんか怖いね、あんた……私、もう40歳だよ?」

「見えんな。30前半に見える」


 本当に若く見える。


「ユウマ、やめようよ……」

「…………不倫は良くないよ」


 ナタリアとアリスが袖を引っ張ってきた。


「何もせんし、口説いてもない。ただの挨拶だ」


 相手がギルマスなら世辞の一つも言うもんだ。

 ジェフリーにはせんがな。


「……あ、こいつら全員、あんたの女か。そういうこと……」


 ジーナが納得する。


「なんでもいいな。俺は魔法で剣を作るから接近戦もできるんだよ。転生者なんだ」

「へー……それで変わった服を着ているんだね。まあ、実力があることも前世がとんでもない権力者なのもわかったよ」


 やはりしゃべり方だろうか?


「あ、そうだ。推薦書もあるわ」


 推薦書を取り出し、受付嬢に渡した。


「推薦書? ふーん……」


 ジーナは推薦書と俺を見比べ、他の女性陣も見る。


「ちなみに、何て書いてあるんだ? 中身を知らん」

「あんたのツレがもう1人いることはわかったかな……まあいい。こっちだって他の女性冒険者を強制引退させそうな冒険者はいらないよ」


 おい、パメラ、何を書いた?


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~
週末のんびり異世界冒険譚 2 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

【販売中】
~書籍~
最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜(1)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
嫁さんのぶん旦那が働くから人手へらないよ!
なんなんだその謎の既婚者レーダーはw そんなスキルもってる主人公みたこと無さすぎてビックリした…w
パーメーラーwww推薦書というより…。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ